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かつては一世を風靡もいまや絶滅危惧種に…「ステーションワゴン」はどこへ消えた?

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かつては一世を風靡もいまや絶滅危惧種に…「ステーションワゴン」はどこへ消えた?

おもに1990年代から2000年代前半にかけて流行したボディタイプ、それが「ステーションワゴン」です。ただ、当時は多くのメーカーが競い合って投入したにもかかわらず、現在新車で購入できるステーションワゴンは数えるほどとなっています。そこにはどんな背景があるのでしょうか?

●1990年代に一世を風靡したステーションワゴン
「ステーションワゴン」の定義にはあいまいな部分もありますが、一般的には「セダンをベースにキャビンとトランクをひとつなぎにしたもの」と理解されています。そのため、セダンより多くの荷物を積むことができ、ミニバンよりも運動性能に優れている点などが魅力ととらえられることが多いようです。

ステーションワゴンの「ステーション」とは、そのまま「駅」という意味です。自動車がまだ一般的ではなかった1800年代後半から1900年代前半、長距離輸送の要となっていたのは鉄道でした。駅に運ばれてきた荷物を周辺地域へ届けるのは馬車が利用されていましたが、馬車の中でも2頭でひくような大型のものは、当時「ワゴン」と呼ばれていました。つまり、「駅を起点として周辺地域を荷物や人を輸送するワゴン」が「ステーションワゴン」というわけです。

そんなステーションワゴンですが、日本で広く知られるようになったのは1980年代後半のことです。火付け役となったのは1989年に発売されたスバル・レガシィツーリングワゴンと言われています。

ワゴン自体はそれ以前にも存在していましたが、商用バンをベースに装備を追加したものがほとんどであり「カッコいい」というイメージのものではありませんでした。一方、乗用車として開発されたレガシィツーリングワゴンは、スポーティな見た目と走りを持ち、利便性も高いことから、発売早々から大きな支持を集めました。

その後、トヨタ・カルディナや日産・ステージアなど、スポーツカーと同じエンジンを搭載したよりスポーティなモデルも登場し、ステーションワゴンは大きなブームとなります。しかし、2000年代に入るとその人気は徐々に下火となり、2000年代後半には国産ステーションワゴンそのものが絶滅危惧種となってしまいます。

その結果、現在新車で購入可能な国産ステーションワゴンは、トヨタ・カローラツーリング、マツダ6、そしてレヴォーグの3車種程度であり、輸入車を含めてもそれほど多くはありません。

なぜ、ステーションワゴンは絶滅危惧種となってしまったのでしょうか?

●コンパクトカー、ミニバンの台頭が背景に?
ステーションワゴンの人気が下火となった大きな要因に、コンパクトカーやミニバンといったボディタイプのクルマの台頭があります。

レガシィツーリングワゴンが登場した1990年代後半は、乗用車のほとんどがセダンもしくはセダンベースのクーペであり、コンパクトカーやミニバンはそれほどメジャーな存在ではありませんでした。その背景には、技術上のさまざまな制約から、商品として十分な性能のクルマとするためには、セダンもしくはセダンの派生車種とせざるを得なかったというメーカー側の事情がありました。

そんな中、主流となっていたセダンより、さらに積載能力の高いものをつくろうとすると、必然的にセダンベースのステーションワゴンというボディタイプのクルマとならざるを得ませんでした。

しかし、1990年代後半になると、トヨタ・ヴィッツのようなコンパクトカーや、トヨタ・エスティマのようなミニバンが登場し、さらに2000年代に入ると、ホンダ・フィットやステップワゴン、日産・マーチやセレナといったクルマが新車販売台数ランキングの上位に名を連ねるようになります。

これらのクルマは、必ずしもセダンをベースとしているわけではありません。つまり、セダンをベースとしなくても、商品として優れたクルマを開発できるようになったと言えます。

ボディタイプのバリエーションが増えたことによって、より経済的なクルマが欲しければコンパクトカーに、大人数を乗せたり大量の荷物を積んだりするのであればミニバン、といった具合に、消費者は自身のニーズにより合わせたクルマを選ぶことができるようになります。

加えて、2000年代初頭は、厳格化された排ガス規制などによりスポーツカーが続々と生産終了となるなどの社会情勢の変化も重なり、クルマを楽しむということ自体が下火になっていました。そうした事情もあり、経済的なコンパクトカーや人や荷物を効率よく移動できるミニバンが人気を得るようになっていきました。

そうなると、そもそも「走りを楽しむ」ということ自体が下火となってしまうことになります。そうした背景から、かつてはクルマの基本形とされていたセダンでさえも、2000年代後半には徐々に姿を消してしまうことになりますが、ステーションワゴンもまた、そんな世の中の変化とともに消えゆく存在となってしまったのです。

●ステーションワゴンの復権はある?カギとなるのは「電動化」
そんな中、2014年にはステーションワゴンの新型車としてスバル・レヴォーグが登場しました。伸びやかでスポーティなスタイリングに、最高出力300PSというパワフルな水平対向エンジンによるスポーツカーのような走りは、まさにかつて流行したステーションワゴンそのものでした。

レヴォーグは発売当初から安定した売れ行きを見せることになります。しかし、時代はSUV全盛期の様相を呈しており、レヴォーグに続いて登場する新型ステーションワゴンは皆無でした。

正直なところ、ステーションワゴンが復権する可能性は低いでしょう。かつては魅力的だったステーションワゴンの持つ運動性能や積載能力ですが、現在ではどちらもSUVがその役割を担っています。そうした中では、かつてのようにステーションワゴンが続々と登場することは期待できないと言えます。

一方で、わずかに可能性があるとすれば、電動化によって電気自動車(EV)が主流となった時です。EVは大量のバッテリーを搭載しなければならない事情から、車内にある程度のスペースを確保しなければなりません。そうなると、荷室空間に余裕のあるステーションワゴンは、セダンやコンパクトカーに比べて有利です。

さらに、EVの強力な加速性能は往年のスポーツカーファンも舌を巻くほどであり、その点でも全高が低くスポーティなステーションワゴンとは相性が良いと言えます。現在ではすでにお役御免となりつつあるステーションワゴンですが、その復権のカギとなるのは電動化かもしれません。

文:ピーコックブルー

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みんなのコメント

23件
  • レガシィの時代だってコンパクトはスターレットやマーチ、ミラージュ、シビックなどメジャーだったし、ミニバンとまだ呼ばれる前のワンボックス時代はタウンエース、ライトエース、セレナ、ボンゴなど一定の需要がありマイナーではなかった。
    何と言ってもステーションワゴンが廃れたのは街乗りのFFのSUVの台頭だろう。当時はSUVはガチのクロカンが多くてステーションワゴンとはバッティングしなかったが今はSUVがステーションワゴンの代わりになっている。
  • 今考えてもレガシィは素晴らしい車だったと思うよ
    自分はバンタイプが好みでなかったのでセダンを選んでいたが
    高出力ターボでAWD.それにMT.これ以上ないゲレンデエクスプレス
    BDとBLEを乗り継いで次は単に下取りが良かったからBS9を所有したけどCVTが全てをぶち壊してましたね
    来週そのアウトバックも下取りに出します
    長年スバル車に世話になってきたけどもう買う事はないかな
    スバルには電動化で新たな境地を見出してもらいたいかな
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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