フェラーリのル・マン24時間レースでの勝利には、イモラで得た変化するコンディションへの対処法に関する教訓が「大いに役立った」と、同ブランドのグローバル耐久レース責任者アントネッロ・コレッタは考えている。
フェラーリはトヨタ、ポルシェ、キャデラックら強敵を克服し、6月15~16日に行われた世界耐久選手権の最高峰レースでニクラス・ニールセン、アントニオ・フォコ、ミゲル・モリーナがドライブする50号車フェラーリ499Pが勝利を収め、昨年からの連覇を達成した。
「天気予報を信じられず」屈辱的敗戦のフェラーリ。ウエットへの交換が遅れ、コミュニケーションも破綻/WECイモラ
この勝利は、雨に影響されたレースの後に達成された。レースではコンディションが絶えず変化し、セーフティカーが何度も出動したため、ハイパーカーの集団は接近し、終盤まで4つのメーカーが優勝争いを続けた。
■「ドアの問題がなければ、おそらくもっと大差で勝てた」
フェラーリはレース中、異なるタイヤ戦略を頻繁に採用した。その中には、ハイブリッドシステムの問題で終盤にリタイアしたサテライトチームのAFコルセ83号車も含まれていた。
コレッタは、ル・マンの結果は、跳ね馬が4月のWEC第2戦イモララウンドから学んだことを示していると考えている。イモラで彼らは明らかにペース面で優位に立っていたにもかかわらず、ファクトリー車両の2台を濡れた路面でスリックタイヤのまま走らせてしまい、ほぼ確実な勝利を逃していた。
「イモラでは、チームとドライバーの間で誤解が生じ、レースに負けた」と、サルト・サーキットでの11回目の総合優勝におけるイモラの重要性について、Sportscar365に尋ねられたコレッタは述べた。
「イモラの後、メカニックやエンジニアと何度も会議を開いたことを覚えている。問題を理解し、なぜそれが起こったのかを知りたかったので、彼らと話した」
「いま、我々は非常にうまく機能したことを証明できたと思う。このレースで我々が取った選択はすべて正しかったと思う。誤解もなかった。おそらく、イモラのレースは、この24時間レースにとって大きな助けになっただろう」
「率直に言って、(地元イタリアの)ファンの前で負けたことが大惨事となったあのレース後の、チームの(ル・マン優勝という)成果には非常に満足している」
フェラーリは、ニールセンの最後から2番目のスティント中に50号車のドアが閉まらなくなり、デンマーク人ドライバーの最後から2番目のピットストップで修理する必要が生じるという、終盤での危機に陥った。
マラネロのチームは昨年、勝利に向かう途中でも同様に終盤のピットストップのドラマに対処しなければならず、アレッサンドロ・ピエール・グイディは終盤に51号車の『パワーサイクル』(再起動)を2回行わなければならなかった。
コレッタは「おそらく毎年、最終スティントで別の問題が見つかるだろう!」と冗談めかした。しかし、状況は2023年にピエール・グイディが対処しなければならなかったものほど深刻ではないと述べた。
「ドアの問題がなければ、おそらくもっと大きな差で勝っていただろう」と彼は付け加えた。
「ピットストップを予測しなければならなかったため、20~25秒ほど失った」
■“雨量が少ないとき”が弱点だったフェラーリ
ル・マンでのフェラーリの11回目の勝利を振り返り、コレッタは、レース1週間前のテストデーの結果に基づくと、最終的に彼ら出した結果は「不可能」だと思っていたと語った。テストデーでは、レース前に優勝候補と目されていたポルシェ963が、圧倒的な優位のうちに終えていた。
しかしコレッタは、レース序盤に499Pがフィールドの先頭に躍り出ると、勝利が可能だと信じ始めたと付け加え、その段階での戦略はライバルの本当の競争力を測るために激しくプッシュすることだったと認めた。
「特別なレース、天候の変化、その他の問題がなければ、我々が勝つことは不可能だというのが私の考えだった。表彰台に立つことが最高の結果だろうと思っていた」とコレッタは語った。
「レース中、状況は悪くないと理解したので、考えを変えた」
「我々の戦略は、最初の3、4時間から最大限の攻撃でスタートし、我々のクルマと他の競争相手の本当の価値を理解することだった。そして、天候によって状況は変わった」
「多くの雨が降っているときは競争力があったが、雨が少ないときはそうではなく、順位を落とした。これがこの24時間レースの本当の問題だった」
「雨がなければ、我々の競争力は非常に強かった。だが、レース中は『よし、レースに勝てる』と考えるのは難しいことだ。考えられる最大のことは、『勝つチャンスがある』ということだ」
「24時間レースは最終ラップで終わるものだ。どのレースでも、私は最終ラップを待っている」
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