昨年(2020年)12月末に販売を開始した新型ノートの売れゆきが好調だ。
ノートが加わったことで、コンパクトカーは本格的な激戦の幕が切って落とされた! 徹底テストで実力を試す!
ついに新型86初披露!! なぜBRZも2.4Lエンジン搭載可能に? HV追加投入の可能性はあるか!?
●トピック
・TEST01 燃費比較テスト
・TEST02 ユーティリティ(使い勝手)テスト
・最終判定01 走り&技術で選べば?
・最終判定02 コスパ&使い勝手で選ぶなら?
・【番外コラム01】新型ノート 鈴木直也のファーストインプレッション
・【番外コラム02】新型ノート 渡辺陽一郎のファーストインプレッション
※本稿は2021年2月のものです
文/鈴木直也、渡辺陽一郎 写真/ベストカー編集部 撮影/平野 学
初出:『ベストカー』 2021年3月26日号
【画像ギャラリー】バリバリの新型ノートほか エントリーされた5台とテストの様子をギャラリーでチェック!!!
■テスト参加はこの5台
昨年11月に発表され、12月23日より販売が開始された新型ノートが加わったことで、コンパクトカーは各メーカーのラインナップが新世代に切り替わった。
2月1日現在、ノートは受注2万台を突破。1月の販売台数はヤリス=8180台、フィット=5889台、スイフト=909台に対しノートは7532台で販売も好調だ。
従来型ノートはヤリスやフィットなどと比べるとひとクラス上のボディサイズという印象だったが、新型はホイールベースを20mm短縮し、全長は55mm短い4045mmとしたことで、Bセグコンパクトカーの激戦区に殴り込みをかけるがごとく参入した。
ってことで、新型ノートが加わったことで「コンパクトカー勢力図」はどのように変化するのか!?
e-POWER専用となった新型ノートを、ヤリスハイブリッド、フィットハイブリッド、さらにスイフト(マイルドハイブリッド&ストロングハイブリッド)などのガチンコライバルたちと、燃費テストやユーティリティチェックなど、直接対決しながら、最新コンパクトカーの実力を徹底的に比較チェックしていこう!
ノートX(218万6800円)…昨年11月にフルモデルチェンジした新型ノートは先代型よりホイールベースを20mm短縮し、全長は55mm短くなってBセグサイズになった。パワーユニットはe-POWERのみ。モーター出力は向上した
ヤリス ハイブリッドZ(229万5000円)…全長3940mmと短く割り切ったことで後席居住性や荷室サイズは犠牲になったが、小気味よい走りを得たヤリス。ハイブリッドのほか1L NA、1.5L NAもあるがすべて3気筒エンジン。燃費のよさはピカイチだ
フィットハイブリッド(HOME・206万8000円)…全長は4mを切るサイズながら、センタータンクレイアウトなどによって、室内の広さが自慢。パワーユニットは1.3Lガソリンとモーターを駆動力の主とするe:HEVの2タイプ。ソフトな乗り味も特徴的
スイフトRS(マイルドハイブリッド・187万9900円)…全長3885mmで今回の各車のなかで最も短く、ホイールベースも最短。エンジンは1.2LでIGSをアシストモーターに使うマイルドハイブリッドでトランスミッションはCVT。最もコンベンショナルなパワーユニットだ
スイフトSZ(ストロングハイブリッド・208万7800円)…車体、エンジン本体はスイフトRSと同じだが、5速AGSに13.6ps/3.1kgmモーターを組み合わせたストロングハイブリッド。車重は60kg増となる。リチウムイオンバッテリーの搭載により、荷室が狭くなる
主要諸元ほかスペック比較表
■TEST01 燃費計測コース走ってわかった!
ノートe-POWERとそのライバルたちを、いつもの擬似WLTCモードコースで燃費計測してみた。
今回は最初の市街地セクションが渋滞気味で、ラストの郊外路セクションも交通の流れがあまりよくなかった。そのため、全般的に燃費の数字が伸びていない。
都内三鷹市から一般道を走り、練馬から関越道で熊谷を目指す
この影響をいちばん受けたのが、前回抜群の燃費を記録したヤリスハイブリッドだ。トップは死守したものの、2位以下との差が詰まってきた印象がある。
ヤリスハイブリッドは、前回郊外路で40km/Lを達成してスタッフを驚かせたが、今回の郊外路は31.2km/L。
高速セクションでは前回越えの28.1km/Lをマークしたものの、全コース平均では28.2km/Lにとどまった。
まぁ、これでも充分に素晴らしい成績なのだが、潜在的なポテンシャルを引き出しきれなかった感はある。
今の時代、Bセグコンパクトカーのパワーユニットは多種多様。スイフトにはマイルドハイブリッドとストロングハイブリッド、ノートはモーターで走るe-POWERのみ。ヤリスとフィットにはコンベンショナルなガソリンエンジンとハイブリッドが設定される
一方、フィットハイブリッドは郊外セクションで前回に肉薄する28.0km/Lをマークし、全コース平均でも23.2km/Lと健闘。
瞬間風速ではなく、実用燃費でいい結果を出すタイプのようだ。
それを象徴するのが、渋滞のひどかった市街地セクションの結果だ。前回テスト比でヤリスは20%ダウンしたが、フィットは13.3%の低下にとどめている。長期的な実用燃費では、カタログ値ほどの差はないかもしれない。
新たに参戦したノートe-POWERは、WLTCカタログ燃費ではフィットを上回る28.4km/Lだが、実燃費ではすべてのセクションでそれを下回った。
セクション別に見ると、やはり高速で燃費が伸びないのが弱点。郊外路セクションではフィットとの差は6%なのに、高速セクションではそれが11%に広がる。
スイフトマイルドハイブリッドは実測燃費17.7km/Lだったが、車両価格は20万~30万円安く、また車体も軽く、走りは軽快だ
e-POWERはエンジン直結モードを持たない純粋シリーズハイブリッドだから、原理的に高速セクションは不利。エンジンやインバーターの改良で旧型より改善されてはいるが、今後の課題として残る部分だと思う。
今回初テストとなったスイフトのストロングハイブリッドモデルは、高速セクションで健闘したものの全般的にやや物足りない成績に終わった。
このハイブリッドは5速AMTとモーターを組み合わせたスズキ独自のメカニズムだが、ドライバビリティや燃費が期待値に届いていない。
もう一台持っていったスイフトのマイルドハイブリッド仕様と比較すれば、確かに全セクションでそれを上回ってはいるのだが、20万円の価格差を考えると「マイルドハイブリッドでいいや」になる可能性が大。
ソリオはモデルチェンジでストロングハイブリッドがカタログから落ちたが、スイフトも同じ運命をたどるのかもしれませんね。
コンパクトカー燃費テスト結果
(TEXT/鈴木直也)
■TEST02 コンパクトカーはユーティリティが重要だ!
後席が最も広いのはフィット。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ2.5個分になる。
この余裕はミドルサイズセダンと同等。後席の座面も470mmと長く、テストした5車では最も快適に座れる。
後席居住性や荷室の使い勝手は細かくチェックした
2位はノート。先代型の後席はフィットと同等の膝先空間を確保したが、新型はホイールベースを20mm短くしたから少し狭くなった。
それでも前述の測り方で握りコブシ2個分だから窮屈ではない。座面は柔軟で座り心地もよい。
3位はヤリスで、4名乗車は可能だが、後席は窮屈に感じる。ノートに比べて明らかに狭い。座り心地は適度に柔軟だ。4位はスイフト。後席の膝先空間はヤリスと同等だが、座り心地が少し硬く順位も下がった。
次は荷室を比較。奥ゆき寸法はマイルドハイブリッドのスイフトRSが最長だが、荷室開口下端部の地上高は、フィットの630mmが最も低い。
スイフト2台の荷室。左がRSで右がSZ
燃料タンクを前席の下に搭載した効果で、荷物を高い位置まで持ち上げる必要もない。フィットは後席を床面へ沈ませるように畳むので、2名乗車時には大容量の荷室になる。荷室の1位もフィットだ。
荷室の2位はノート。荷室幅は1250mmで最も広く、スーツケースを横に並べて積む時などは都合がよい。3位は荷室奥ゆきが最も長いスイフトRS、4位はヤリス、5位はストロングハイブリッドのスイフトSZだ。
各モデル 後席&荷室サイズ実測値
■最終判定その1:走り&技術で選べば?
2030年代なかばまでにガソリン車の販売を終わらせる。世界の趨勢を見ると、政府の方針がこの方向で固まったことは確実だ。
電動車にはPHEVやハイブリッドが含まれる公算大で、むしろハイブリッドの重要性がますます高まったと考えるべきだ。
電動化の目的は言うまでもなくCO2の削減だが、そのための課題は二つある。
ひとつはもちろん燃費性能を向上させること。
この点ではヤリスハイブリッドが先頭を走っているのは今回の燃費テストからも明らか。日本のハイブリッド技術は世界トップレベルだから、ここはそんなに心配しなくていいだろう。
もうひとつはコストの低減だ。
ボストンコンサルティングによると、2019年時点で日本のハイブリッド車シェアは22%だそうで、あと15年で残りの約8割を電動化しなければならない。
とりわけ、国内販売台数の4割を占める軽自動車に関しては、低コストな電動化デバイスを工夫しないと庶民の足に大きな負担増が生じる。内燃機関そのものの効率アップとともに、マイルドハイブリッドの技術革新が大いに期待される。
今回の燃費テストの結果はトップがヤリスの28.2km/Lだったが、あと10年くらいでWLTCカタログ値なみの35km/Lの台の実燃費を実現したい。また、最下位のスイフトRS(マイルドハイブリッド)は17km/Lだったが、コストを引き上げず実燃費25km/Lあたりが目標だ。
日本では1kWhの電力を発電するのに約500g前後のCO2を排出している。電費を7km/kWhとすると、EVでも走行1kmあたり約70gのCO2が出るということ。これはヤリスハイブリッドとほぼ同等のCO2排出レベルだ。
電動化もいいけど、こういう事実を踏まえたうえで広く議論してもらいたいものですね。
910kgという軽い車体で軽快なフットワークが魅力のスイフトRS。フィットの総合力の高さを再認識した
●ランキング決定
1)フィット
2)ヤリス
3)ノート
4)スイフトRS
5)スイフトSZ
(TEXT/渡辺陽一郎)
■最終判定その2:コスパ&使い勝手で選ぶなら?
最も評価が高い車種はフィットだ。安全に直結する視界を向上させ、特に後方はライバル車と比べて明らかに見やすい。
後席のドアや荷室の開口部も広く、乗降性や荷物の収納性も良好だ。居住空間と荷室の広さにも余裕があり、家族でも使いやすい。しかもフィットe:HEVホームの価格は、運転支援機能やLEDヘッドランプを装着して206万8000円だから割安感も強い。
2位はノート。後席と荷室の評価はフィットの次に高く4名乗車にも適する。荷室幅は今回取り上げた5車のなかで最もワイド。内装は上質で、乗り心地も向上させたから総合的な商品力が高い。
ノートで注意したいのはセットオプションの内容と価格。運転支援機能のプロパイロットは、液晶ルームミラーなどと一緒に備わり、セットオプション価格が42万200円と高い。LEDヘッドランプも9万9000円だ。これらをXに加えると総額は270万6000円。商品力は高いが価格も割高だ。
3位はヤリス。後席は狭いが座り心地はよい。荷室は狭めで1~2名乗車の用途に適する。価格はハイブリッドZが229万5000円で、運転支援機能やLEDヘッドランプを標準装着。衝突被害軽減ブレーキは先進的だ。ノートに比べて走りと後席の快適性は下がるが、価格は割安で、燃費は国産乗用車で最も優れる。総合的な経済性は高い。
4位はスイフトRS。後席は狭いが荷室の奥ゆき寸法は長い。運転支援機能、LEDヘッドランプ、エアロパーツなども装着して価格は187万9900円だ。マイルドハイブリッドだから割安になる。
スイフトにストロングハイブリッドを搭載したSZは、後席はマイルドと同等だが荷室は狭い。しかもSZの価格は、マイルドのRSよりも約21万円高く、計測した総合燃費の差は3.2km/L。レギュラーガソリン価格が140円/Lとすれば、価格差の21万円を燃料代の差額で取り戻すのに16万kmの走行を要する。
スイフトSZの荷室はバッテリー搭載により狭くなった。ユーティティも含めた総合力はフィット、続いてノートだ
●ランキング決定
1)フィット
2)ノート
3)ヤリス
4)スイフトRS
5)スイフトSZ
(TEXT/渡辺陽一郎)
【番外コラム】新型ノート・ファーストインプレッション
●鈴木直也のファーストインプレッション
新型ノートe-POWERの第一印象は、やはりデザインのカッコよさだね。
日産の新世代デザインは“タイムレスジャパニーズフューチャリズム”という概念なんだそうで、要するに日本の伝統美を踏まえた未来感ってことかな。
シンプルでくどくないのは和のテイストなんだろうが、それでいて鋼のような芯の強さがあって斬新。パッと一見するだけでチカラの入れ具合が伝わってくる。
インテリアもいい。9インチ液晶のセンターディスプレイと7インチ液晶のメーターパネルが一体化したインパネや、新しいデザインになったシフト周りがワクワク感を盛り上げる。全体の造りがもうちょっと緻密に仕上がっていれば“なおよし”だが、内装の質感はBセグの水準を突き抜けたと評価できる。
新型ノートは普通のエンジンモデルを廃止してすべてe-POWERで統一。そのためエントリー価格は200万円を超える。その割り切りがこの上質感を醸し出せた要因なのだろうが、実際、今回のテストのようにライバルを一堂に集めて試乗してみると、ワンランク上の車格感が際立っている。
走らせてみると、相変わらず気持ちいいアクセルレスポンスが魅力的だ。「ここで前へ出たい」と思った時、スッと加速する力強いトルク感がe-POWERの醍醐味。加速、減速の多い市街地の交通状況で、そのドライバビリティが光る。
元気のいい走りという点ではヤリスハイブリッドも相当なものだし、フィットハイブリッドの“心地よさ”にこだわった自然なパワーフィールも心地よい。また、マイルドとストロング2種類のハイブリッドがチョイスできるスイフトのラインナップも楽しい。
将来ガソリン車の販売が終了したとしても、バラエティに富んだこれらハイブリッドが電動車にカウントされれば全然問題なし。
ピュアEVのリーフとノート”をセットで用意する日産の戦略が、現時点では最も堅実な電動化対策だと思うな。
新型ノート
●渡辺陽一郎ののファーストインプレッション
2020年11月に発表された新型ノートは、先代型に比べて内外装、走行安定性、操舵感、乗り心地、安全装備などを大幅に向上させた。運転支援機能のプロパイロットも選べる。
その代わりe-POWERのみになったが、開発者は「低価格のノーマルエンジンを用意したら、コスト低減に縛られて、質感をここまで高められなかった」と述べている。
コンパクトカーは、国内で売られる小型/普通乗用車の40%を占める人気のカテゴリーだ。競争も激しく、特にノーマルエンジン車は低価格が重要で質を高めにくい。そこで新型ノートは、e-POWERのみにして上質に作り込んだ。その結果、コンパクトカーの質感の平均水準が以前より高まり、ライバル車の勢力分布にも影響を与える。
並み居る競合を相手にどこまで食い込めるか?
最も大きな影響を受けるのはヤリスだ。日本自動車販売協会連合会のデータでは、ヤリスの登録台数はN-BOXを抜いて国内の総合1位だが、この数字にはSUVのヤリスクロスも含まれてヤリス全体の約50%を占める。
従ってコンパクトカーのヤリスにかぎると、今の売れゆきはルーミーやアルファードと同等だ。ヤリスハイブリッドの燃費は、WLTCモード、実走燃費ともに際立って優秀だが、前述の内外装、走行安定性、乗り心地、後席の居住性、ノイズを新型ノートと比べられると辛い。
逆にフィットは影響を受けにくい。全高を立体駐車場が使いやすい1550mm以下に抑えた5ナンバーサイズのコンパクトカーでは、後席の足元空間が最も広く快適に座れるからだ。燃料タンクは前席の下に配置され、荷室容量も最大級になる。
その点で新型ノートは、ホイールベースを先代型よりも20mm短く抑えて後席の足元空間も少し狭めたから、フィットの広さは圧倒的だ。新型ノートとも競争しにくい。スイフトも低価格を独自の価値としている。
それでもコンパクトカーであれば、各車種とも需要を少なからず新型ノートに奪われる。特にハイブリッドは、割安な特別仕様車の設定など、対策を急ぐことになりそうだ。
【画像ギャラリー】バリバリの新型ノートほか エントリーされた5台とテストの様子をギャラリーでチェック!!!
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ここらへん各車の検証をやってもらいたいな。