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トヨタMR2に搭載された4A-GELUと、モアパワーに応えてスーパーチャージドされた4A-GZE【GTmemories9/第4回】

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トヨタMR2に搭載された4A-GELUと、モアパワーに応えてスーパーチャージドされた4A-GZE【GTmemories9/第4回】

1980年代まで自動車メーカー各社が発売に向けて試行錯誤していたが、その市場を読みきれず市販化に至らなかったミッドシップスポーツカー。しかし、そんな中でトヨタが1984年に発売したのが、国産初MRスポーツ「MR2」だった。今回はその魅力を4回に分けてお届けしよう。(GTメモリーズシリーズ第9弾「AW11 トヨタMR2」より一部抜粋)

直列4気筒ツインカム16バルブは、ライトウェイトスポーツの証だった!
1984年の初登場時、MR2に搭載されたパワーユニットは「レーザーα4Aツインカム16」と通称された。エンジン型式では4A-GELUとなる。バルブ駆動方式にDOHCを採用した1.6L直4の16バルブエンジンだ。最高出力は130ps/6600rpm、最大トルクは15.2kgm/5200rpmのパフォーマンスを発揮した(いずれもグロス)。まずこのエンジンから見ていこう。

国産初のミッドシップカー「トヨタ MR2(AW11)」はデートカーの皮を被った?スポーツカーだった【GTmemories 9/第1回】

2本のカムシャフトを収めるシリンダーヘッドは、熱伝導性に優れたアルミ合金製とした。カムシャフトは合金鋳鉄製で、カム部にチル処理を施し高度を高めて耐摩耗性の向上を図っている。バルブの開閉はロッカーアーム等を介さず、ベルト駆動の2本のカムシャフトによる直動式だ。1気筒あたり吸気2、排気2のバルブはR歯型のタイミングベルトでカムシャフトによって精緻に開閉される。

バルブ系パーツは軽量と剛性の高さを追求しており、高回転域でも正確なバルブタイミングを刻む。合わせてバルブ開口面積およびポート径を拡大することにより、吸気抵抗を低減して高速時の吸気効率を向上を図っている。ペントルーフ型の燃焼室の中央にスパークプラグが配置され、バルブ挟み角は50°の狭角という現代的な作りによってコンパクトな燃焼室となった。

小型スパープラグの採用によりプラグ回りの冷却性を図るとともに、各シリンダーとも2つの吸気ポート間に水通路を確保しているが、これによりレギュラーガソリン仕様ながら9.4という当時としては高めの圧縮比を実現した。

シリンダーブロック内を見ていくと、ピストンは高温強度を高めるべくアルミ合金製とするとともに全高を低くするとともに軽量化を図った。出力軸となるクランクシャフトは炭素鋼製。軽量8バランスウエイトを採用し、剛性が高くバランスの良いものとなっている。

燃料噴射は電子制御式インジェクションであるEFI-Dを採用した。これは吸気量を吸気圧力センサーで計測するDジェトロニック方式だ。フラップのようなエアフローメーターが不要のために吸気抵抗が少なく、スロットルレスポンスに優れるのが特徴となる。

絶対的なパワーではなく扱いやすい性格がベストマッチ
その後、1986年8月のマイナーチェンジでMR2は大きく進化を遂げた。それまでは16バルブとは言いながら1.6Lの自然吸気エンジン搭載車が主力で、パワフルとはいい難いのも事実だった。

モアパワーをという声に応えるべく、この時は新開発のスーパーチャージャー付きツインカムエンジン「レーザーα4Aツインカム16スーパーチャージャー」と通称するエンジンを搭載した。エンジン型式では4A-GZE型となる。これによって最高出力は145ps/6400rpm、最大トルクは19.0/4400rpm(いずれもネット)までアップされた。

ベースとなるのは4A-GELU型と変わらないが、スーパーチャージャーで過給したのがポイントとなる。このスーパーチャージャーはSC12型と呼ばれるトヨタ内製のものだ。ターボチャージャーと同じ過給機の一種で、吸入空気を圧送することにより、シリンダー内に大量の混合気を送り込みエンジンの出力を向上するシステムとなる。

SC12型スーパースーパーチャージャーの空気圧送方式は、2個のまゆ型ローターを回転させて過給を行うルーツポンプ式となっている。さらに駆動力伝達部にコンピューター制御の電磁クラッチを採用し、加速時や高負荷走行時には過給を開始し、低負荷走行時には過給を停止することにより、静粛性と低燃費を追求している。

スーパーチャージャーは低回転域でのトルク増大やレスポンスアップに効果が大きい一方で、高回転になると機械的ロスの方が大きくなってしまい必ずしも効率的ではない。高回転でのパワーアップについては、ターボに譲るというのが現実だ。

ただ、MRという基本的にはピーキーな操縦性のクルマでは、絶対的なパワーよりも、低中回転でのエンジンの扱いやすさがより求められる。この4A-GZEエンジンは、MR2だけでなく、AE92レビン/トレノなどのFF車とも共用のものだが、結果的にMR2にベストマッチといえるものだった。

4A-GELUエンジン 主要諸元
●エンジン型式:4A-GELU
●種類・シリンダー数:直4DOHC
●内径✕行程:81.0✕77.0mm
●総排気量:1587
●圧縮比:9.4:1
●最高出力:120ps/6800rpm(グロス)
●最大トルク:14.5kgm/5200rpm(グロス)
●燃料供給装置:EFI-D
●使用燃料・タンク容量:レギュラー・41L

4A-GZEエンジン 主要諸元
●エンジン型式:4A-GZE
●種類・シリンダー数:直4DOHC+スーパーチャージャー
●内径✕行程:81.0✕77.0mm
●総排気量:1587
●圧縮比:8.0:1
●最高出力:145ps/6400rpm
●最大トルク:19.0kgm/4000rpm
●燃料供給装置:EFI-D
●使用燃料・タンク容量:レギュラー・41L

[ アルバム : トヨタMR2 はオリジナルサイトでご覧ください ]

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