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王者N-BOXはなぜない!? スーパーハイトワゴンのSUV化はどこまで続く!?

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王者N-BOXはなぜない!? スーパーハイトワゴンのSUV化はどこまで続く!?

 スペーシアギアに続いてタントまでもがクロスオーバーモデルを追加した。今や猫も杓子もSUVという時代から想像に難くないが、この流れはどこまで続くのか?

 というよりも未だ見えてこないのがスーパーハイトワゴンの雄N-BOXの行方だが、設定すれば売れるコト間違いなしな気もする。果たしてこの市場はどこまで盛り上がる!?

王者N-BOXはなぜない!? スーパーハイトワゴンのSUV化はどこまで続く!?

文:渡辺陽一郎/写真:ベストカーWEB編集部

スーパーハイト系もSUVの時代!? スペーシアギアが起爆剤に

これまでノーマルとカスタムの2本立てが当たり前だったスーパーハイト市場。スペーシアギア好調によりタントも追従することに!!

 今は国内で新車として売られるクルマの半数近くが軽自動車だ。さらに軽乗用車多くがスライドドアを装着して全高が1700mmを上まわるスーパーハイトワゴンになる。つまりスーパーハイトワゴンは、日本で最も販売の好調なカテゴリーなのだ。

 そのため軽自動車の販売上位も、スーパーハイトワゴンで占められる。2022年上半期(1~6月)の軽自動車販売ランキングを見ると、1位はホンダN-BOXで、小型/普通車まで含めた国内販売の総合1位にも輝いている。2位はスズキ スペーシア、3位はダイハツ タントで、いずれもスーパーハイトワゴンになる。

 軽自動車の4位はムーヴだが、この内訳も50~60%はムーヴキャンバスだ。全高が1700mm以下だからスーパーハイトワゴンではないが、後席側のドアはスライド式だから機能は近い。6位の日産ルークスもスーパーハイトワゴンだ。

 このようにスーパーハイトワゴンが人気を高めると、売れ行きをさらに伸ばしたいところ。そこで多くの車種は、以前から価格の割安な標準ボディとエアロパーツを装着するスポーティなカスタムなどを用意していた。

 だがスペーシアはそこにSUV風のギアも加えている。今は小型/普通車ではSUVの人気が高く、軽自動車でもハスラー、タフト、ジムニーの販売が堅調だ。そこでスーパーハイトワゴンとSUVの要素を融合すれば、高い人気が得られると考えたのだ。スペーシアの売れ行きが軽自動車の2位を保っているのも、この戦略が成功したからである。

スズキダイハツ骨肉の争い!! 類似モデルだらけ……

ワゴンRがヒットすればムーヴが、タントが人気となればパレットを! と両者はしのぎを削り続けている。今後もこの戦いは続く模様

 軽自動車は販売の好調な車種が登場すると、類似車種が必ず生まれる。軽自動車は国内向けの商品で、同じユーザーを相手にしているためだ。後追い商品だが、これが結構成功する。今は軽自動車も乗り替え需要が中心で、ユーザーは販売店と付き合いがある。他社から欲しい商品が登場しても、懇意にしている販売店を変えるのは心苦しい。そのために後追い商品も歓迎されるのだ。

 例えば2016年にダイハツから先代(初代)ムーヴキャンバスが発売された時、スズキの販売店からは「スズキにムーヴキャンバスみたいなクルマはないのか」という問い合わせが多く寄せられたという。そこでワゴンRスマイルが商品化された。

 またスズキが女性向けのアルトラパンを発売すると、ダイハツはミラココアを投入して、今ではミラトコットに発展した。SUV風の車種では、スズキがハスラーで成功すると、ダイハツはタフトという具合だ。

打倒N-BOX! タントファンクロスで復権なるか!?

スペーシアギア登場から遅れること4年、タントもこの市場へ参入! 元祖スーパーハイトワゴンのプラドにかけてシェア奪還を狙う構え

 そして新たな後追い商品として注目されるのが、タントのファンクロスだ。タントをベースに、フロントマスクにガードバー風のパーツを装着するなど、SUV感覚を強めた。商品の成り立ちはスペーシアギアに近い。販売店では「タントファンクロスの価格は、店頭では2020年9月から明らかにしており、商談も行える」という。

 タントがファンクロスを設定した目的は、販売台数を増やすことだが、そこには切実な事情もある。先代型に比べて売れ行きが伸び悩んでいることだ。

 過去を振り返ると、先代タントは2013年に発売され、2014年には小型/普通車を含めた国内販売の総合1位になった。2014年における軽自動車届け出台数の上位3車は、1位:タント(1か月平均が約2万台)、2位:N-BOX(約1万5000台)、3位:ワゴンR(約1万4600台)であった。

 ところが現行型は、2019年7月の発売直後から伸び悩んだ。2019年8月から12月までは、新型タントを発売した直後の絶好調に売られる時期だが、1か月平均で約1万6000台しか届け出されていない。N-BOXを抜けない状態が続き、2019年11月には軽自動車の販売1位になったが、12月には抜き返されている。スペーシアをも下まわった。

 このタントの売れ行きは深刻で、発売された2019年の12月には、モデル末期に設定するような格安な特別仕様車「セレクションシリーズ」を早くも設定している。Xセレクションは、標準ボディのXに360度スーパーUV&IRカットガラスなどを含んだコンフォータブルパックを加えて、価格の上乗せを最小限度に抑えた。

 さらに2020年には、Xから一部の装備を取り去って価格を140万8000円に抑えたXスペシャルも加えている。クルマの装備は徹底的なコスト低減によって装着されるから、少ない価格アップで追加装着することは可能だが、カットして価格を下げるのは難しい。従って装備を省いて値下げを行ったXスペシャルは、タントが販売不振に苦しみ、回復方法を模索していた証だ。

タントが売れないワケは地味さが原因!? キャンバスの影響もデカい

ダイハツの屋台骨といえるキャンバス。程よいサイズとかわいいデザインから人気だが、タントの販売不振はキャンバスの影響も少なからずあるのだ

 タントの販売が低迷する背景には、複数の理由がある。販売店からは「標準ボディのフロントマスクがいまひとつで、先代型と比べた時の変わり映えがしない」という話が聞かれる。

 それは機能にも当てはまる。現行型は主力グレードの運転席に、長いスライド機能を装着した。親子が左側のワイドに開くスライドドアから乗り込み、子供を後席左側のチャイルドシートに座らせ、親が降車しないで運転席まで移動できるようにした。使い勝手を向上させる導線を用意したが、いまひとつ地味で、タントを選ぶ有力な理由になり得ない。

 またダイハツは2016年に先代ムーヴキャンバスを設定して、2019年には1か月平均で約5700台を販売していた。ムーヴ全体の約55%だから堅調な売れ行きだ。この影響で、ムーヴ販売が滞った可能性もある。ムーヴキャンバスもスライドドアを装着するから、同じダイハツ車のタントと競争になるわけだ。

 ちなみにムーヴキャンバスは、全高を1700mm以下に設定して、外観を上質に仕上げた。「スライドドアは欲しいが、極端に天井の高いボディはいらない」と考えるユーザーに好評だ。後追い商品のワゴンRスマイルが2021年8月に登場するまでは、ライバル車も不在で、好調な販売を保って存在感を強めた。ムーヴキャンバスはインパクトが強く、タントの売れ行きにも影響を与えた。

 その結果、2022年1~6月の軽自動車販売ランキングでは、タントは前述の通りN-BOXとスペーシアに続く3位になっている。そして軽自動車の販売総数は、ダイハツはスズキを上まわって1位だが、軽乗用車に限ると下まわって2位になる。つまり今のダイハツは、軽商用車が支えているから、軽乗用車はさらに頑張らねばならない。これらの事情によりタントにファンクロスが加わる。

これ以上売れると困るってマジ!? N-BOXに当面追加予定しないワケが衝撃

ずーっと売れ続けているN-BOX。納車までの期間が現在でも長いため、SUVモデルを追加するとさらに悪化する可能性が……

 それならN-BOXはどうか。N-BOXは当分の間、スペーシアギアやタントファンクロスのようなSUV風のモデルを設定しない。その理由はN-BOXが今以上に売れ行きを伸ばすと困るからだ。

 2022年1~8月の販売状況を見ると、N-BOXが日本国内で売られたホンダ車の37%を占めた。そこにN-WGNなど、ほかの軽自動車も加えると50%を超える。さらにコンパクトなフィット+フリード+ヴェゼルも加えると約80%に達するのだ。

 つまり絶好調に売られるN-BOXを中心に、ホンダのブランドイメージがダウンサイジングしており、ステップワゴンやシビックに良くない影響を与えている。さらに大きなオデッセイやレジェンドは既に廃止された。

 ホンダの開発者は「N-BOXはモンスター」だという。好調に販売されるのは基本的には好ましいが、N-BOXの場合は歯止めが掛からず、小型/普通車の需要を吸収している。そのためにN-BOXは、決算期におけるディーラーオプションプレゼントなどの対象からハズされることも多い。販売促進を控えているわけだ。

 従ってルークスがSUV風の仕様を用意することはあっても、N-BOXは考えにくい。仮に設定するなら、N-BOXの売れ行きが大きく下がり始めた時だ。

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みんなのコメント

18件
  • 軽自動車にSUVを求めてもあまり意味ない
    なんちゃってSUVばかりで、見た目だけコテコテして値段上がるなら必要ない
  • しかしNBOXの売れ方はすげ〜な
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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