タッチモニター式ダッシュボードの完成形の1つ
text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)
photo:Olgun Kordal(オルガン・コーダル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
フォルクスワーゲンは、8代目ゴルフのインフォテインメント・システム用モニターの下に、エアコンの温度調整ができるタッチセンサーをレイアウトした。左右にスワイプするだけで、温度を変えられる。同様に、オーディオのボリュームも変更が可能だ。
機能と場所が決まっているから、覚えてしまえば前方から目を離さずに、ブラインドタッチも可能だろう。運転中でも、腕を伸ばせば届くところにあるのも良い。
バージョン2.0と呼べるゴルフのインテリアは、とても扱いやすい。シンプルで操作しやすい、タッチモニター式ダッシュボード・デザインの1つの完成形といえそうだ。
ゴルフに数日間乗っていると、今までの車内にはなぜこんなに多くのスイッチやノブが必要だったのか、疑問に感じるほど。スイッチは小さいし、隙間にホコリも溜まりやすい。
フォーカスの車内は、ゴルフと比べても大きな知覚品質の差はない。ゴルフの方が上質な素材をより上手に用い、安価なプラスティックは艶を消すことで目立たなくしている程度の違いだ。
フォーカスのセンターコンソールに左膝を当てると、少し変形し、きしむ音がする。ゴルフは違う。組み立て品質の違いは、これが物語っていると思う。
さて、エンジンを見てみよう。20年前、130psくらいを生み出すには、自然吸気なら1.8Lか2.0Lのガソリンエンジンが必要だった。いまゴルフに搭載されているのは、1.5Lの4気筒ターボで、フォーカスの場合は1.0Lの3気筒ターボユニット。
VWとフォードのエンジンが持つ個性
どちらも高い技術で開発された、素晴らしい仕事をするユニットだ。フォーカスのエコブースト・エンジンは、低負荷時には2気筒として動く。その結果、英国では一般的な80km/hから128km/hくらいの巡航走行では、19.5km/Lくらいまで燃費が伸びる。
ゴルフのエンジンは、低負荷時に2気筒を休止でき、ミラーサイクルで高効率を狙っている。ボディは空力的にも練られ、同じ速度域で21.2km/Lを超える燃費を実現している。
10年ほど前まではゴルフもフォーカスも、倹約的なディーゼルエンジンですら、この燃費の達成には苦労していた。技術の進化は、止めることができないのだ。
どちらのエンジンも、トルクが太く運転しやすい。常用する中回転域でより力強いのは、ゴルフの方。巡航走行時の質感も良く、機械的な洗練度を感じさせる。
フォーカスはややトルクが低く、ゴルフと比べると高いギアは選びにくい。しかし、100km/h前後の速度域での回転フィーリングは、フォーカスの方が魅力的だった。
改良を受けたゴルフをもってしても太刀打ちできない、世界最高水準のシャシーであることにも変わりなかった。これこそ、機敏な走りを求めるドライバーに選ばれる、フォーカス最大の強みだろう。
ゴルフの乗り心地は、従来のモデルより明らかに硬さを増している。優れた垂直方向のボディ制御を備え、カーブの連続する郊外の道で速度を上げても、だらしなさが顔を出すこともない。
ダイナミクス性能で秀でたフォーカス
8代目ゴルフのステアリングホイールの操舵感は、切り初めの反応性がよりシャープになっている。交差点やジャンクションなどでの操作も、手短に終わる。いわゆる、スポーティ度が増している。
そうだとしても、フォード・フォーカスのドライバーに対する訴求力は別次元にある。都市部や低速域では明らかに硬さが目立つから、真価を引き出すには路面を選ぶし、高い速度域が求められることは事実。
その条件がそろえば、優れた精度を持つ操縦性と、減衰力の洗練度が顕になってくる。乗り心地も、フォーカスの方が路面の振動を上手に吸収してくれるようだ。
ステアリングはゴルフよりはるかに鋭く、まったく異なるスタイルで操れる。ゴルフはしっかり腕を動かす必要があるが、フォーカスなら手首をひねれば充分。ステアリングホイールを握り直すことなく、ほとんどのコーナーをクリアできる。
クルマの反応は常に直感的。ボディロールでエネルギーが無駄に消費されることもない。ドライビング体験を決定づける違いだ。フォーカスのシャシーは、ファミリー向けハッチバックに求める以上の能力を秘めている。
従来のモデルほど、強いインパクトはないかもしれない。それでも、フォード・フォーカスは今なお鮮烈。控えめなグレードのフォーカスは、従来どおり特別な存在のままだ。
一方で、最新のフォルクスワーゲン・ゴルフが備える訴求力は明らかに広がっている。その事実が、最終判断に大きな影響を及ぼしてくる。
新境地へ足を踏み出したゴルフ
積極的な走りを求めるドライバーが多くはない、ファミリー層向けのハッチバックというカテゴリー。安全性やコネクテッド機能といった側面は、重要度を一層強めている。技術的な洗練度や運転のしやすさは、販売を支えるカギとなっている。
8代目フォルクスワーゲン・ゴルフは、従来のポジションから一歩踏み出し、新しい境地を獲得したといっても良い。変化の割合は控えめとはいえ、走りでも訴求力は強められている。
シャシーは成熟され、角も良く取れている。エンジンは燃費効率を高め、ドライバーへ経済的なメリットも与えてくれる。
今までとは異なるゴルフには感じられる。一部のドライバーにとって、デジタル化された車内は少し居心地が悪いかもしれない。しかし、このクラスを力強く牽引できる新モデルだといえるだろう。
今回の勝者は、8代目フォルクスワーゲン・ゴルフとしたい。
ゴルフとフォーカスのスペック
フォルクスワーゲン・ゴルフ 1.5 TSI 130のスペック
価格:2万3900ポンド(315万円)
全長:4284mm
全幅:1789mm
全高:1456mm
最高速度:214km/h
0-100km/h加速:9.2秒
燃費:18.6km/L
CO2排出量:122g/km
乾燥重量:1315kg
パワートレイン:直列4気筒1498ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:130ps/5000-6000rpm
最大トルク:20.4kg-m/1400-4000rpm
ギアボックス:6速マニュアル
フォード・フォーカス 1.0エコブースト125チタニウムXのスペック
価格:2万3940ポンド(316万円)
全長:4348mm
全幅:1825mm
全高:1454mm
最高速度:199km/h
0-100km/h加速:10.0秒
燃費:17.6km/L
CO2排出量:127g/km
乾燥重量:1322kg
パワートレイン:直列3気筒999ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:124ps/5000-6000rpm
最大トルク:20.4kg-m/2000-3500rpm
ギアボックス:6速マニュアル
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ミニなど敵ではないほど刺激的な操縦性を味わえる。