東京オートサロン2024で日産が出展した「ROOX BEAMS CUSTOMIZED CONCEPT」。カスタマイズを監修したのは、ファッションを中心にライフスタイルを提案するセレクトショップの「BEAMS」だ。同社の軽自動車「ルークス」をベースとするカスタムカーだが、ルークスとはひと味ちがう、おしゃれな雰囲気が漂っている。実現すれば若い女性を中心に大きな反響がありそうだが、はたして、商品化する予定はあるのか!?? 日産の担当者にお話を伺った。
文:吉川賢一
写真:NISSAN、エムスリープロダクション
うおっ! 日産×BEAMSコラボのルークスがめっちゃクール!! 内装パーツだけでも市販して!!
2023年の「てしごトリップ」ら、2社のコラボは始まった
クルマとファッション業界のコラボレーションは、以前から行われている。日産も2004年ごろ、イギリスのデザインブランド「コンラン」との期間限定車「プラス・コンラン」をZ11キューブやK12マーチ、ラフェスタで実現している。日産とBEAMSジャパンとのコラボも、実はこの「ROOX BEAMS CUSTOMIZED CONCEPT」で始まったものではないという。
日産とBEAMSジャパンは2023年、「旅育」をテーマにした共同プロジェクト「てしごトリップ」を実施している。「てしごトリップ」とは、6歳から11歳の子どもたちが、日本各地にある伝統工芸の工房をクルマで訪ね、弟子入り体験を経て、BEAMSジャパンと日産セレナが発行する「未来伝統工芸士」のオリジナル認定証を得る、という試みのこと。その際、東北エリアの白河だるまや北陸エリアの越中和紙、東海エリアの瀬戸染付焼、近畿エリアの京丸うちわ、九州エリアの肥前びーどろなど、伝統工芸の工房選定を担当したのがBEAMSジャパンだ。
「職人の仕事のおもしろさや奥深さを、伝統工芸の工房への弟子入りを通じて知ってもらうことを狙いとしており、作品制作から値付けまでのプロセスを体験できる」とする共同プロジェクトだったが、そんな2社が、クルマでコラボしたのが、今回の「ルークス」だそうだ。
最大の見せ所はインテリアに施されたデニムの裏地。BEAMSが実際に使っている裏地生地を用いて、日産がシート表皮を張り替えている。裏地のほうが肌触りはよく、しっとりとした質感もあって良い!!
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シート生地はデニムの裏側!! 日本の高度な印刷技術もインテリアの見所
ROOX BEAMS CUSTOMIZED CONCEPTには、各所に、BEAMSならではのこだわりが詰め込まれている。エクステリアでは、外装色にデニム生地の裏側をモチーフにしたカラーを採用。デニムのブルーをそのまま使うのはつまらないので裏返した色にしたい、というBEAMSの意見によるものだという。ちなみに、クルマの下周りにあるブルーの部分は、ジーンズをロールアップした姿をイメージしているそうだ。
グレージュに近いカラー名称は、「デニム裏地カラー(仮)」だという。また、女性がターゲットということで、ヘッドライト周りにはアイプチのようなシールを上下に貼っており、目力が増している。グリルを同一色にしたのも、柔らかいイメージにしたかったからだそうだ。
最大の見どころはインテリアだ。総張替えをしたシートに使った生地は、BEAMSが実際に使っているデニムの裏地そのものだそう。ヘッドレストやシートの座面、フロアカーペットも実際のデニムだ。裏地を見せるという発想が面白いし、肌触りも柔らかいので座り心地が良く、車内はとても明るい。
ドアスイッチやナビ周辺のパネルには、「タンポ印刷」という特別な工法を採用。タンポ印刷とは、大福のようなもので塗料を吸い上げて素材へ転写する印刷技術とのこと。通常のプリント印刷では不可能な、曲率の大きな対象物へ印刷することができるという(福井県の秀峰という印刷メーカーが得意としているそう)。自動車の内装品に多い、大きくて曲がった素材にも模様を転写できる技術は、日本人の強みともいえる。
ナビゲーションモニターの周りのパーツには、タンポ印刷でデニム生地の模様が転写されている
このままの商品化するのはかなり難しい ただ実現を目指して頑張るそう
お話を伺った日産の担当者によると、デニム生地をクルマのシートに使うには、難燃性や摩耗耐久性など、様々な条件をクリアせねばならず、このまま商品として出すことは「難しい」そう。しかしながら、代替品として使える生地を探し、実際の商品として出すところまで頑張りたい、としており、今回のようなショーを通して、お客様の反響を見て、商品化を狙っていくそうだ。
せっかくならば、是非ともこの姿で出してほしいところ。続報を期待したい!!
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