現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > ジャガーE-PACE 初試乗 まずは2ℓ直4ガソリンから 独特な使命とは?

ここから本文です

ジャガーE-PACE 初試乗 まずは2ℓ直4ガソリンから 独特な使命とは?

掲載 更新
ジャガーE-PACE 初試乗 まずは2ℓ直4ガソリンから 独特な使命とは?

もくじ

どんなクルマ?
ー F-PACEの「弟」としての役目
ー 共通アーキテクチャ、どう差別化?
ー E-PACEのグレード/価格戦略

『ジャガーE-PACE』すべての画像を見る

どんな感じ?
ー 乗り心地とコーナリングの葛藤
ー ステア・フィールはジャガーそのもの

「買い」か?
ー SUVというより「ジャガー」を強調

スペック
ー ジャガーE-PACE P300 HSE AWDのスペック

どんなクルマ?

F-PACEの「弟」としての役目

E-PACEはジャガーの他のモデルたちと変わらないフレッシュな存在として、成長し続ける市場に対し、真っ向から立ち向かうモデルとなる。

SUV市場の拡大は終わるところが見えない。5年ほど前、ジャガーの年間販売台数は6万台程度だった。しかし今ではF-PACE単独で、その販売数に達する勢いなのだ。

ジャガーXFの弟分としてXEがあるように、F-PACEの弟分といえるのが、E-PACEとなる。多くのひとにとって「E」はEVの略に感じられるだろうが、このモデルは違う。

ジャガーにとって初のコンパクトSUVとなるが、やはり、エレガントなサルーンやスポーツカーだけでは、メーカーの生き残りには不十分ということなのだろう。4.4mのボディにイアン・カラム流のスタイリングが与えられている。

どう感じるかは、読者によって様々だろう。私は、ホイールをそれぞれ少し外側に張り出させれば、さらにエレガントになったように思う。

ウエストラインより下を手で覆い隠すと、グラスエリアとルーフラインは優雅で流れるような理想的なスタイリングにまとまっている。しかしボディ下部や1.65mの全高に関しては、少し圧縮をかけたF-PACEのように見えてしまう。

一方、アーキテクチャは面白い。

共通アーキテクチャ、どう差別化?

E-PACEは、ランドローバー・ディスカバリー・スポーツやレンジローバー・イヴォークのプラットフォームを共有しているが、重要な違いがある。

まず、英国のヘイルウッドの工場では生産能力の都合で組立られないという点。代わりに、当面はオーストリアのマグナ社で生産され、後にジャガー・ランドローバー・チャイナに移される予定だ。

そして、それ以上の違いがある。

かつてのリアドライブをベースとしていたジャガーとは異なり、ほぼスチールで構成されたモノコックは、横置きエンジンのフロントドライブを前提としている点だ。今回のテスト車両は四輪駆動だったが、FFもリリースされる予定となっている。

さらにイヴォークとの相違点は他にもある。

フロントのサスペンション・サブフレームが、ステアリング精度を向上させるために、シャシー側に直接固定されているのだ。リア側は、ジャガーおなじみの凝ったリンク構造を持つ、インテグラル・リンク・サスペンションとなっている。

しかし、比較的高いロードクリアランスと全高、多くがスチール製のモノコックによって、軽量な材料を部分的に使用しているとはいえ、車重は必然的に重くなっている。同等のエンジンを搭載するF-PACEが1770kgなのに対し、試乗車の車重は100kg増しの1894kgとなっている。

車内はというと、疑う余地もなく、ジャガー・ライクな仕上がりだ。F-タイプが打ち出した、ドライバーとパッセンジャーの空間が明確に区切られたデザインを受け継いだものになっている。

パッセンジャー側は、滑らかに急な角度へ導かれ、なだらかな滝のような美しい造形だ。ドライバー側は、運転にフォーカスされたデザインで、センターコンソールには両者を区切るバーハンドルが備わる。

恐らく写真を見るだけで、デザインの上質さを感じてもらえると思うが、実際、素晴らしい出来だ。

プラスティック・パーツの中には、ドイツ車と変わらないようなソリッド感が出ている部分もあるが、ギアレバーを覆う大きなメタリック調のプラスティックは、メッキが少し光りすぎていると思う。しかし全体としては、プレミアムな雰囲気を確実に感じることだろう。

E-PACEのグレード/価格戦略

スターティング・プライスは£28,000(416万円)で、このHSEバージョンは£48,410(720万円)と、値段もそれなりにプレミアム。さらに高性能なR-ダイナミック・デザインを望むなら、£50,710(754万円)となる。

インジニウム・ガソリン・エンジンが、これまでの最高の性能を誇る、300psを発生させることも、価格の理由のひとつだ。

E-PACEは全て4気筒の2ℓエンジンを搭載する。ディーゼルエンジンとしては、150psと180ps、240psの仕様と、ガソリンエンジンとしては、250psと300psの使用があり、6速マニュアルまたはATが組み合わされる。駆動方式は、前述の通りFFと四輪駆動が選べる。

テスト車のP300は、横置きエンジンのために設計されたZF社の9速ATが組み合わされ、四輪を駆動する。

この四輪駆動システムには2種類があり、ひとつはハルデックス・システムで、基本的にイヴォークと同じもの。通常はフロントホイールを駆動し、滑りやすい路面では最大100%まで、リアホイール側へ駆動力を伝達する。

そして、最もパワフルな仕様のクルマに搭載されるのが、電子制御カップリングを採用するGKN社のもので、フォード・フォーカスRSなどにも搭載されている。

リア・ディファレンシャルの左右両側にクラッチが備わっており、右側のみや、左側のみへのトルク伝達も可能にしている。その結果、E-PACEをさらにリア・ドライブ寄りのドライブフィールに仕立てている。

ちなみにフォーカスRSでは、最大70%まで後輪にトルクを分配することが可能なのだが、ジャガーの場合は最大50%までとなっているようだ。

どんな感じ?

乗り心地とコーナリングの葛藤

乗り込めば、恐らく誰でも極めて快適だと感じるはず。

車両後方には577ℓもの広さの荷室がある。ステアリングホイールの位置調整しろも大きく、ロック・トゥ・ロックは約2.5回転で、他のジャガー車にもれず、スムーズに転回する。

走り出してみると、ZF社製の9速ATは、同社の8速ATほどスムーズではない印象。

どちらかというと、デュアルクラッチ・トランスミッションのような振る舞いだ。ブレーキを離した時の、クリープ走行も不足気味。この車格にしては大きすぎる20インチ・アルミのせいもあり、乗り心地には少し不安定なところもある。

発進してから50mほどの走行は、クルマの第一印象を決めるものだが、ジャガー車は幼馴染みのような親しみやすさを覚えることが多い。しかし、このクルマの場合は知り合い程度のような、少し距離感を感じてしまった。

ある程度スピードに乗れば、乗り心地は良くなってくるのだが、車高の高いSUVで感じがちな、ある種の妥協を感じざるを得ない。E-PACEはだいぶ良い部類だとはいえ、背の高いクルマでダイナミクスを求めることの難しさに、気づくだろう。

車高を高くすれば、自ずとロールセンターと重心高が高くなり、コーナーでのロールが大きくなる。そこでアンチロールバー(スタビライザー)を硬くすることでロールを小さくするのだが、乗り心地に影響が出てくるのだ。

この点は、E-PACEの場合、追って選択が可能となるアダプティブ・ダンパーを装備することで改善できるだろう。しかし、そもそも重たいクルマに、さらに重量を増やすことにつながってしまうのだが。

ただし、ジャガーE-PACEに乗る体験が素晴らしいことに変わりはない。このクラスではベストといえるスタイリングで、ダイナミクス性能はさほど重視されないクラスとはいえ、運転自体も楽しい。購入動機を作るには不足ない。

実際のところ、E-PACEは十分に納得できる仕上がりだといえる。あまり冴えない褒め方になってしまうのも意図とは違うのだが、1.65mの車高と4.4mの全長を持つクルマで、ジャガーXEの様な運動性能を求めるのは、少し酷なことだからだ。

乗り心地の一方で、ドライビングは間違いなく納得できるものだ。

ステア・フィールはジャガーそのもの

E-PACEはジャガーらしい独自のキャラクターを持っており、ジャガーならではのステアリング・フィールがあるし、伝統的なジャガーの乗り心地とはいえないが、ボディの動きに対して十分自然なコントロールを得ている。

コーナリングもだいぶ挑戦的な味付けになっている。少し攻め込んでいくとアンダーステアとなるが、十分に粘り、フォーカスRSの様にリアタイヤにトルクが分配され、クイックなコーナリングをサポートしてくれる。

ただし、外側の前輪が深く沈む、ダイアゴナル・ロールが現れてくるのだが。

FRが標準となるXE並に、ドライビングに没入できるかと聞かれれば、それ程でもない。FFのフォード・フィエスタ並に楽しいわけでもない。

しかし、不足ない走行性能だ。クルマの持つ総合的な素質で考えた場合、車高が生む視認性の良さ、ボデイコントロール性、グリップやトラクション、加速性能など、目的への移動手段としては非常に優れている。

エンジンの存在感はだいぶ抑制されている。高回転域でのサウンドも不快なものではない。

この種のクルマは、エンジン音を楽しむというよりも、スタイリングの方が重要だろう。非常に注目度は高く、見られるだけでなく、指を指されたり写真を撮られたり、話しかけられたりするかもしれない。それらは間違いなく、クルマとジャガーブランドへの、好意に溢れたものだ。

これはコンパクトなSUVだからこそ。

そして、フォルクスワーゲンのコンセプトカーであっても表現することができない、ジャガーならではのスタイルを全身で表している存在だからだ。

腰高ではあっても、E-PACEのデザインは、モダン・ジャガーそのものなのだ

「買い」か?

SUVというより「ジャガー」を強調

実は、ジャガーE-PACEの評価は4つ星にしようと思っていた。

ただ、このテストドライブをした翌日、スコダ・スパーブ・エステートに乗る機会があった。四輪駆動で、280psのガソリンエンジンを積み、素晴らしいATが組み合わされている。価格は£36,000(535万円)未満であるにもかかわらず、乗り心地も良く、ステアリング・レスポンスにも優れ、室内も広く非常に好印象なクルマだった。

テストしたジャガーE-PACEは、価格がほぼ£50,000(734万円)にもなる。購入を勧めるか、銀行口座にお金を残しておくか、悩むところだ。

そのようなこともあり、今回は星は3.5とした。良いクルマには違いはない。ただし、SUVに求める基本性能をバランスさせるというよりも、ジャガーらしさを前面に押し出そうとしたという香りが強い。

ほかグレードも試して最終的な結論をだそう。

ジャガーE-PACE P300 HSE AWDのスペック

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

インディカー初体験の角田裕毅、インディ500への挑戦に現状関心ナシも「もう少し歳をとって考えが変われば……」
インディカー初体験の角田裕毅、インディ500への挑戦に現状関心ナシも「もう少し歳をとって考えが変われば……」
motorsport.com 日本版
ベントレーCEOの旧私邸を改装。ベントレー本社近隣の特別な顧客体験スペース「The Mews」を発表
ベントレーCEOの旧私邸を改装。ベントレー本社近隣の特別な顧客体験スペース「The Mews」を発表
LE VOLANT CARSMEET WEB
スズキ「最上級SUV」新発表! トヨタ「ヤリスクロス」サイズの“豪華仕様”! 精悍顔もカッコイイ「グランドビターラ ドミニオンE」印国に登場
スズキ「最上級SUV」新発表! トヨタ「ヤリスクロス」サイズの“豪華仕様”! 精悍顔もカッコイイ「グランドビターラ ドミニオンE」印国に登場
くるまのニュース
アドベンチャースタイルの“軽二輪スクーター”ホンダ「ADV160」に2025年モデル登場! ふたつの新色をプラスした「全3色のカラバリがスポーティ」
アドベンチャースタイルの“軽二輪スクーター”ホンダ「ADV160」に2025年モデル登場! ふたつの新色をプラスした「全3色のカラバリがスポーティ」
VAGUE
「RS」最新モデル日本上陸!! アプリリア「RS457」発売
「RS」最新モデル日本上陸!! アプリリア「RS457」発売
バイクのニュース
「ルノー・セニック E-Techエレクトリック」が「モーター・トレーダー・インダストリー・アワード2024」で「ニューカー・オブ・ザ・イヤー」受賞
「ルノー・セニック E-Techエレクトリック」が「モーター・トレーダー・インダストリー・アワード2024」で「ニューカー・オブ・ザ・イヤー」受賞
LE VOLANT CARSMEET WEB
BMW R1300GSアドベンチャーをイギリス人レーサーが斬る「30Lタンクの巨体で攻めの走りができる…そのシャシーと電子制御に驚愕だ」
BMW R1300GSアドベンチャーをイギリス人レーサーが斬る「30Lタンクの巨体で攻めの走りができる…そのシャシーと電子制御に驚愕だ」
モーサイ
「シボレー コルベット E-Ray」は4WD化の恩恵が絶大!もっと刺激的な電気エイの襲来に喝采を【新車試乗】
「シボレー コルベット E-Ray」は4WD化の恩恵が絶大!もっと刺激的な電気エイの襲来に喝采を【新車試乗】
Webモーターマガジン
軽さと居住性を両立したバックパッキングテント「Thouswinds サジタリアスシングルテント」が発売!
軽さと居住性を両立したバックパッキングテント「Thouswinds サジタリアスシングルテント」が発売!
バイクブロス
「緊急車両が来て道を譲らないとどうなりますか」  理由に「『聞こえんかった』は通用するのですか」 譲るのはマナー?義務? 具体的にどう譲ればいいのですか。
「緊急車両が来て道を譲らないとどうなりますか」 理由に「『聞こえんかった』は通用するのですか」 譲るのはマナー?義務? 具体的にどう譲ればいいのですか。
くるまのニュース
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
レスポンス
ハミルトンFP2も首位、メルセデス好調も上位は接戦模様か。RB角田裕毅は10番手|F1ラスベガスGP
ハミルトンFP2も首位、メルセデス好調も上位は接戦模様か。RB角田裕毅は10番手|F1ラスベガスGP
motorsport.com 日本版
スズキ、フラッグシップ『ハヤブサ』のカラーリングを変更した最新モデルを発表。11月22日より発売
スズキ、フラッグシップ『ハヤブサ』のカラーリングを変更した最新モデルを発表。11月22日より発売
AUTOSPORT web
まだまだ続きます 北近畿豊岡道の「有料トンネル」料金徴収期間を延長 背景に老朽化
まだまだ続きます 北近畿豊岡道の「有料トンネル」料金徴収期間を延長 背景に老朽化
乗りものニュース
700万円超え! スバル新型「SUV」発表! 2リッター「水平対向」×マイルドハイブリッド搭載! 全長4.7m級の「新フォレスター」欧州に登場へ
700万円超え! スバル新型「SUV」発表! 2リッター「水平対向」×マイルドハイブリッド搭載! 全長4.7m級の「新フォレスター」欧州に登場へ
くるまのニュース
F1ラスベガスFP2速報|FP1に続きメルセデスのハミルトンが最速。角田裕毅10番手
F1ラスベガスFP2速報|FP1に続きメルセデスのハミルトンが最速。角田裕毅10番手
motorsport.com 日本版
スズキ『V-STROM 250SX』がカラーリング変更、新価格は59万1800円
スズキ『V-STROM 250SX』がカラーリング変更、新価格は59万1800円
レスポンス
約3000万円で落札されたポルシェ「911 カレラRS アメリカ」は何か変! 実は新車の頃からシュトロゼックのボディキットが装着されていました
約3000万円で落札されたポルシェ「911 カレラRS アメリカ」は何か変! 実は新車の頃からシュトロゼックのボディキットが装着されていました
Auto Messe Web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村