現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 生き残りの「危機」が伝えられる「乗用ディーゼル車」! 本当に消滅するのか?

ここから本文です

生き残りの「危機」が伝えられる「乗用ディーゼル車」! 本当に消滅するのか?

掲載 更新 66
生き残りの「危機」が伝えられる「乗用ディーゼル車」! 本当に消滅するのか?

 厳しくなるCO2規制対応の影響が大きい

 ディーゼルエンジンはこれから、どうなってしまうのだろうか? ディーゼル乗用車といえば、欧州で国によっては乗用車市場の半数近くを占めるほどの定番だったが、これからは徐々に少数派に転じてしまいそうだ。なぜだろうか?

これだけクルマの技術が進歩してもディーゼルエンジンの「ガラガラ音」が消えないワケ

 もっとも大きな理由は、欧州CO2規制だ。欧州連合(EU)の執務機関である欧州委員会(EC)では、欧州グリーンディール政策を積極的に進めており、そのなかで自動車が排出するCO2に対して世界でもっとも厳しい達成義務を掲げている。NECD(新欧州ドライビングサイクル)での数値で、2021年に95g/kmとしており、今後もさらなる強化が進む。

 そのため、日本の自動車メーカーでエンジン開発を統括する役職者のほとんどが「まずは、欧州CO2規制への対応が最優先だ」という見解を示している。こうしたなかで、欧州自動車メーカーの判断では、ディーゼルエンジンからプラグインハイブリッド(PHEV)へ開発の優先順位が上がった。

 2010年前半には、そうした方針は固まっていた印象がある。当時、欧州現地での取材を通じて、「48VマイルドハイブリッドとPHEVをモデル別に割り振る」という解釈が欧州自動車業界に広がっていった印象がある。その当時も、また近年(2020年)になって、各メーカーの幹部に電動化を含めたエンジン開発の今後の方針を聞くと、基本的な考え方は各メーカーとも“ほぼ同じ”。

「国や地域の社会情勢や社会インフラを踏まえて、適材適所で対応する」というものだ。そのため、欧州メーカーを中心に日系メーカーを含めて、ディーゼルエンジンを全面的に排除しようとはしていないのだが、CO2規制対応での開発と生産コストを考慮した結果、欧州市場でのディーゼルエンジンの優先順位が下がったというべきだ。

 日本市場ではいまだに人気車となっている

 ディーゼルエンジンの適材適所という意味では、アメリカは除外される。アメリカでは大型トラックや、フルサイズピックアップトラックの一部で普及しているが、乗用ディーゼルの割合は極めて低い。

 2000年代に独フォルクスワーゲンが、トゥアレグなどSUVを主体とした乗用ディーゼル普及キャンペーンを全米各地で展開したことがある。その各種イベントを筆者は取材している。だが、商品性としてアメリカにはマッチせず、フォルクスワーゲンの戦略は事実上失敗し、さらに2010年代中盤にディーゼル不正が発覚したことで、アメリカでの乗用ディーゼル市場全体として大きな打撃を受けた。

 また、中国でも2010年代半ばに起こった、セダンからSUVへのシフト期にディーゼル普及を仕掛けた中位メーカーがあったが、政府のNEV(新エネルギー車)政策強化のなかで乗用ディーゼルの存在感が小さくなった。

 こうして、米中欧でディーゼルエンジンの立場が弱くなってきている一方で、日本での乗用ディーゼルはマツダSKYACTIV-D、またトヨタではランドクルーザープラド、ハイエース、ハイラックスのクリーンディーゼルなどがあり、これらモデルもグレードのラインアップのなかで人気車種だ。リセールバリュー(下取り価格)も高く、国内需要のみならず東南アジアなど海外輸出中古車としても人気は高い。

 このように、乗用ディーゼルの未来は、前述したように各メーカーは「国や地域の社会情勢や社会インフラを踏まえて、適材適所で対応する」ことになるだろう。

こんな記事も読まれています

2025年モデルのランドローバー・ディスカバリー・スポーツが日本での予約受注を開始
2025年モデルのランドローバー・ディスカバリー・スポーツが日本での予約受注を開始
カー・アンド・ドライバー
ウイリアムズF1、シーズン序盤のクラッシュ連発で開発競争に遅れ? アルボン懸念「ハースとRBは大きな一歩を踏み出している」
ウイリアムズF1、シーズン序盤のクラッシュ連発で開発競争に遅れ? アルボン懸念「ハースとRBは大きな一歩を踏み出している」
motorsport.com 日本版
ホンダが新型「軽バン」今秋発売! 斬新「前後2人乗り」&カラーに注目!? 注目度高い「N-VAN」どんな人が買う?
ホンダが新型「軽バン」今秋発売! 斬新「前後2人乗り」&カラーに注目!? 注目度高い「N-VAN」どんな人が買う?
くるまのニュース
ヤマハ「YZF-R15/R15M」 2024年モデルを台湾で発表
ヤマハ「YZF-R15/R15M」 2024年モデルを台湾で発表
バイクのニュース
じつは「鉄ちゃん」には当たり前! ハイブリッドやEVでよく聞く「回生ブレーキ」ってそもそもなに?
じつは「鉄ちゃん」には当たり前! ハイブリッドやEVでよく聞く「回生ブレーキ」ってそもそもなに?
WEB CARTOP
ヒョンデIONIQ 5の高性能バージョン“N”モデルが日本上陸
ヒョンデIONIQ 5の高性能バージョン“N”モデルが日本上陸
カー・アンド・ドライバー
ダイハツ、本社工場で4カ月ぶりに生産再開 国内すべての工場が稼働
ダイハツ、本社工場で4カ月ぶりに生産再開 国内すべての工場が稼働
日刊自動車新聞
【マラネロだけになせる技】V12へのオマージュ 812後継モデル「フェラーリ 12チリンドリ」登場 純粋主義者のためのV12フェラーリ!
【マラネロだけになせる技】V12へのオマージュ 812後継モデル「フェラーリ 12チリンドリ」登場 純粋主義者のためのV12フェラーリ!
AutoBild Japan
「東海環状道直結」に前進!? 「豊田南バイパス」全通予定が発表! 2026年度に瀬戸方面へ直結 “渋滞市街”ぐるりスルーの幹線道路
「東海環状道直結」に前進!? 「豊田南バイパス」全通予定が発表! 2026年度に瀬戸方面へ直結 “渋滞市街”ぐるりスルーの幹線道路
くるまのニュース
課題ありの輸送業界、「ジャパントラックショー2024」を横浜で開催 5月9-11日
課題ありの輸送業界、「ジャパントラックショー2024」を横浜で開催 5月9-11日
レスポンス
アストンマーティンが66階建ての超高級タワーマンション「アストンマーティン・レジデンス・マイアミ」を公開
アストンマーティンが66階建ての超高級タワーマンション「アストンマーティン・レジデンス・マイアミ」を公開
@DIME
タイではピックアップトラックが激戦区! 意外にも中国メーカーがBEVじゃなく「ハイブリッド」を投入するワケ
タイではピックアップトラックが激戦区! 意外にも中国メーカーがBEVじゃなく「ハイブリッド」を投入するワケ
WEB CARTOP
フェルスタッペン獲得への興味公言しレッドブルから批判されたウルフ代表、”何のこと?”とすっとぼける。
フェルスタッペン獲得への興味公言しレッドブルから批判されたウルフ代表、”何のこと?”とすっとぼける。
motorsport.com 日本版
トヨタ「新型ミニランクル」まもなく登場!? カクカク斬新デザイン採用? 噂の「ランドクルーザーFJ」 期待されるコトとは
トヨタ「新型ミニランクル」まもなく登場!? カクカク斬新デザイン採用? 噂の「ランドクルーザーFJ」 期待されるコトとは
くるまのニュース
インディアン「ロードマスターリミテッド」はバイクの域を超えた快適性能! 後部座席はお姫様ダッコ以上!?
インディアン「ロードマスターリミテッド」はバイクの域を超えた快適性能! 後部座席はお姫様ダッコ以上!?
バイクのニュース
マフラー選びの決め手、『合法性と性能の両立』が求められる~カスタムHOW TO~
マフラー選びの決め手、『合法性と性能の両立』が求められる~カスタムHOW TO~
レスポンス
メルセデス・ベンツ GLA【1分で読める輸入車解説/2024年最新版】
メルセデス・ベンツ GLA【1分で読める輸入車解説/2024年最新版】
Webモーターマガジン
【最新モデル試乗】BEVのワールドリーダー、より先進的に使いやすく熟成したテスラ・モデル3の実力
【最新モデル試乗】BEVのワールドリーダー、より先進的に使いやすく熟成したテスラ・モデル3の実力
カー・アンド・ドライバー

みんなのコメント

66件
  • コストを無視した話にはなってしまいますが、ディーゼルエンジンとシリーズハイブリッドの相性は結構良いのでは?なんて思ってます。
    ジェネレーターの動力源として、定速運転する分には高効率な機関なのではないかと。
    なんとなく、JR西日本の87系気動車を見てそう思ったところで。
    いや、安月給で軽自動車も買えないクルマ好きの戯言ですけどね。
  • なぜディーゼルの話題になるとコメント欄に全否定しかしない
    狂ったようなアンチディーゼル派(特にマツダ)が湧いてくるんだろう
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村