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AMG C63 S、フェイスリフト 2018年型に初試乗 不動のクラス王者

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AMG C63 S、フェイスリフト 2018年型に初試乗 不動のクラス王者

もくじ

どんなクルマ?
ー スキの見当たらない、クラス最強
ー 英国ではクーペが人気だけれど
どんな感じ?
ー 依然ライバルを凌ぐインテリア
ー 9速ATは多段すぎる?
ー 一般道がさらに得意になった
「買い」か?
ー アウトバーン育ちの宝もの
スペック
ー メルセデス-AMG C63 Sサルーンのスペック

実車 Cクラス・クーペ改良新型 C180クーペ・スポーツ、写真16枚 メルセデス・ベンツ

どんなクルマ?

スキの見当たらない、クラス最強

現行のメルセデス-AMG C63が2015年に発表された際、同等の競争力を持つライバルの中でも、最高出力、最大トルクともに最強のスーパーサルーンだった。そのカテゴリーでは、V8エンジンを搭載した唯一のモデルでもあった。

それから3年が経った今でも、ライバルモデルが様々な動きを見せるものの、C63が属するカテゴリーでは最高出力、最大トルクともに最強という座は変わっていない。価格が近似しているものの、レクサスGS-Fはまもなく英国では姿を消すし、キャディラックCTS-Vは左ハンドルのみだから、ライバルとはいいにくい。

モデルライフ中期にあたるフェイスリフトを受けたC63には、もはやスキは見当たらない。変更を受けた部分は、主に4.0ℓのV8よりも下流側にある。従来までのトルクコンバーター式の7速ATに変わって、湿式クラッチを用いた新しい9速ATを搭載した。また、最高出力が低めに設定されるC63では機械式のリミテッドスリップデフに変わり、トルクベクタリングに対応するeデフが、C63 S同様に組み合わされることになった。

さらにAMGダイナミクスと呼ばれる、マルチモード・ブレーキ制御によるトルクベクタリングシステムも搭載され、AMG GT-Rにも採用されている、9ステージに及ぶトラクションコントロールシステムもお目見えした。加えて、サスペンションとステアリング周りにも、わずかながら変更が施されている。

英国ではクーペが人気だけれど

最も脂ぎったコテコテのAMGをCクラスで味わいたいなら、C63 Sがその期待に応えられるモデルだといえる。AMGがハンドリングの正確性に大きな影響を与えるという、ダイナミック・エンジンマウントに新しいデザインの19インチホイール、GPS軌道測定装置、AMGパフォーマンスシートなどを装備。C63の最高速度が249km/hとなるのに対し、C63 Sは289km/hに到達するのだから。

同様に、新しいトラクションコントロール・システムもC63 Sにだけ装備され、ボディタイプもサルーン(セダン)の他にステーションワゴン、クーペ、カブリオレから選択できる。C63のライバルで、これほど幅広い選択肢を持っているモデルはない。この点も、適度なボディサイズを持つドライバーズカーとしての魅力を高めており、あえて指摘するような大きな欠点は、もはや見当たらないといえる。

英国の場合、C63の中ではクーペが一番人気で売れているが、サーキット脇のピットレーンにこの4車種を並べてみると、その理由もうなずける。クーペは車高が低く、美しく弧を描いたボディラインを持ち、エアロダイナミクスを向上させるボディキットが、他のどのボディタイプよりも映えるのだ。車幅も広く、ホイールの幅も広い。低構えたボディには、4ドアサルーンよりも締め上げられたサスペンションを備えている。ただし、車重はサルーンよりも65kgも重くなる。

われわれは今回のテストでC63 Sのサルーンとクーペに試乗したが、わたしはいくつかの理由でサルーンの方が良いと感じた。

まずはインテリアから詳しく見ていこう。

どんな感じ?

依然ライバルを凌ぐインテリア

新しいC63は、デジタル・インストゥルメントと、最新のメルセデス・コマンド・インフォテインメントシステムを装備している。ステアリングホイールのデザインも更新された。新しいデザインでは、グリップ周りの彫りが深くなり、握りやすくなったほか、円弧下辺の直線的になった部分が短くなった。

素材も、ナッパレザーかダイナミカ・スウェードに、グロスブラックかカーボンファイバー
製のインテリア・トリムパネルが選択可能となる。また、すでに最新のSクラスやEクラス、Aクラスなどで高い評価を得ている、タッチコントロール・ボタンも備わる。

ステアリングホイールのスポーク部分には、新しいAMGスペシフィック・コントロール機能も追加されている。右側のロータリー式のボタンでは、ドライブモードの選択が可能で、さらにトラクションコントロールの選択によってESP(横滑り防止装置)をオフにすることもできる。左側のボタンには、エグゾーストやトランスミッションの設定など、好みに応じた機能を指定することができる。

インテリアの質感は依然として、ライバルを凌いでいる。デジタル・インストゥルメントは最新技術を搭載した雰囲気に溢れ、ラグジュアリーな色気と明確な品質の高さは、追従を許さない仕上がりだと思う。


また、ボンネットの内側にも、C63 Sの大きな魅力が隠されている。4.0ℓのV8エンジンだ。まるでエレキギターのような、V8エンジンの発する激しい低音の響きは、しばらくの間耳にこだまして離れないほど。エンジンは極めてレスポンシブで、回転の上昇もシャープ。ターボ過給されているとは、にわかに信じがたい。

9速ATは多段すぎる?

もちろん、トルクの面では明らかにターボ車的。ターボ過給されるエンジンならではの中回転域での盛り上がりが、明確にC63 Sには備わっている。加えて、レブリミット付近でのシルキーでありながら凶暴な回転フィーリングこそ、AMGにホットロッド的な雰囲気を持たせていることに、疑問の余地はないだろう。

8万ポンド(1168万円)で手に入る4ドアサルーンに搭載されるベスト・エンジンは何か、と聞かれたら、C63 Sのユニットがその答え。わたしには他に考えられない。

メルセデス製の新しい9速ATは、従来の7速AT以上にV8エンジンの輝きを引き出せているのかどうか。それは、運転の仕方によるところが大きいと思う。よりスポーティさを増したドライビングプログラムのお陰もあり、変速スピードと質感は明らかに向上している。

郊外の山岳部に広がる空いた国道をマニュアルモードで走るなら、5速以上のギアを効果的に使うことで、不満のない速度を容易に保つことが可能。また、サーキットでのハードな走行にも間違いなく適しているが、急いで変速する時などでは、自分の意図よりも低いギアを選んでしまうこともある。

段数の多いトランスミッションでヤキモキさせられるのは、通常の高速道路での走行ペースでも起き得る。ドライビングモードをスポーツやスポーツ+に設定していても、1段や2段、上のレシオを選択する傾向があり、コーナリング時や追い越し加速時などでは、最適なレシオがどれなのか、掴みにくく、期待したほどの速い加速が得られない印象もある。

ただし、この点は C63 Sのトランスミッションに限ったことではなく、8速や9速という多段化された現代のATではよく見られる課題だから、あまり深く論じることでもないのだが。

一般道がさらに得意になった

AMGは、今回のフェイスリフトで与えたサスペンションの変更に関しては、あまり声高に触れてはいないが、おそらく戦略的な理由があるはず。510psを繰り出すスーパーサルーンのサスペンションが、幾分柔らかく設定されたと知られると、販売数に影響が出そうだからだ。しかし実際は、C63のダイナミクス性能に関して、まったく悪影響は及ぼしていない。

新しいC63は、硬さやシャープさ、鋭さといった面ではフェイスリフト前のモデルより丸くなったことは確か。フェイスリフト後のC63なら、スポーツやスポーツ+モードであっても、一般道で使用できるようになったから、その変化は間違いない。ただし、フェイスリフト前後のモデルを乗り比べなければ気づかない程度の、微妙なものではある。充分に衝撃を吸収し、乗り心地も犠牲にすることなく、強い減衰力を保持できている。結果としてC63は、より一般道向きのスーパーサルーンになったと思う。

ステアリングフィールは完璧で、フェイスリフト以前同様に、意のままの速さと重さ、濃密さを備えている。ただし、アルファ・ロメオ・ジュリア・クワドリフォリオほどの俊敏さにまでは至っておらず、コーナリング中のロールなど、ボディコントロールも想像よりも重たく感じられる面もある。

電子制御をオフにすれば、テールスライドは漸進的に発生し、強い駆動力でパワーオーバーステアに持ち込んでいく感覚は病みつきになるほど素晴らしい。精密機器として目指すべき以上の、グリップ力やサスペンションの動きを実現しているといえる。その心地よさには、しばらく浸っていられれるはず。

このパワーオーバーステアだが、さらに楽しめるシステムも追加されている。今回、AMG GT-Rにも積まれる新しいトラクション・コントロールシステムによって、電子制御によるセーフティネットは残したまま、オーバーステアを楽しめるようになった。ダイヤルの9がオフで、数字が小さいほど制御の介入が強くなるが、どれも充分に効果的な設定だ。わたしとしては、7か8がベストだと感じた。中には必要ないというひともいるだろうけれど。

「買い」か?

アウトバーン育ちの宝もの

サルーンよりもC63クーペの方が、ボディコントロールでは優れているし、レスポンスも鋭く、サルーンよりも高速でのコーナリングも可能ではある。それは、リアタイヤの幅が広く、接地面が大きいことも理由だと思うが、サルーンほどのホッドロッド的なエグゾーストノイズとドライバビリティを得られていないとも感じる。またシーンが許せば、比較的穏やかにドリフト状態を永遠にキープしていられるような性格も、持ち合わせていない。

加えて、少しトラッドなスタイリングの魅力も捨てがたいから、わたしなら4ドアサルーンを選ぶ。そして、ドイツやイタリア、日本、アメリカなど、どんなライバルを持ってしても、太刀打ちできない完成度を誇る。

このC63 Sこそ、メルセデス-AMGが生んだ、味わい深いサスペンションと後輪駆動を備えた、アウトバーン育ちの宝ものだと思う。ドイツ・アッファルターバッハに拠点を持つAMGには、このようなクルマを、今後も長く作り続けて欲しいと願っている。

メルセデス-AMG C63 Sサルーンのスペック

■価格 7万7500ポンド(1131万円)
■全長×全幅×全高 4757×1839×1426mm
■最高速度 289km/h
■0-100km/h加速 4.0秒
■燃費 10.0km/ℓ
■CO2排出量 227g/km
■乾燥重量 1680kg
■パワートレイン V型8気筒3982ccターボ
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 510ps/5500-6250rpm
■最大トルク 71.2kg-m/2000-4500rpm
■ギアボックス 9速オートマティック

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