走行時の上質さはライバルを凌ぐ
text:Matt Prior(マット・プライヤー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
近年登場が相次ぐ多くのEVに共通する課題。構成と車重によって、鋭い加速を得られつつも、安定性には難があるということ。ホンダEは、この課題を解決しようとした。
コンパクトなハッチバックは、コンセプトカーほどではないが、とても惹きつける雰囲気を放っている。走り味も、大きなプラス要素となっている。
新しいプラットフォームを採用し、サスペンションは4輪ともにマクファーソンストラット式の独立懸架。運動性能としては、ボディサイズが一回り大きいモデルをターゲットにしている。走行時の快適性やスムーズさ、上質さでは、ホンダEはライバルを凌ぐといっていいだろう。
褒められるところだけでもない。都市部にピッタリの全長3.9mというコンパクトカーだが、それに合わせて小さいバッテリーは、容量も限定的なのだ。
多くのクルマが60kWh以上のバッテリーを搭載しようという流れの中で、Eがリアタイヤの間に搭載する水冷式のバッテリーは35.5kWh。ちなみに日産リーフのe+は、62kWhの容量を持つ。
その小さなバッテリーで得られる航続距離は、17インチホイールで201km、16インチホイールで220kmとされている。今回試乗したのは寒い冬だったから、実際の航続距離はそれより短いものだった。
ホンダEには2種類のモーターが用意される。通常の135ps版と、今回試乗した153psのアドバンスと呼ばれるグレード。政府の補助金を差し引いた英国価格は、通常版で2万6160ポンド(374万円)、アドバンスで2万8660ポンド(409万円)となる。
広々ではないが仕立ての良い車内
どちらのモーターを選んでも、6.6kWまでの通常の充電器のほか、最大100kWまでのDC急速充電器にも対応する。50kWの受電容量で充電した場合、31分で80%まで充電が可能だという。長時間というわけではないが、短時間というわけでもない。
ホンダEのモーターは車両後部、高めの荷室床下に搭載されている。ボンネット内は、インバーターや関連する機器で専有されている。その結果、車内空間が少し不足気味。
リアシートの足元空間は広々と呼べるわけではないのに、荷室の容量は171L。大人がリアシートに座ると、股を少し開いて座ることになるだろう。フロントシートも広々というわけではない。
そのかわり、どの位置に座っても、シートはとても仕立てが良い。インテリア全体に共通する美点だ。織りの良いシートファブリックは、そのまま洋服にも使いたいと思えるほど。
ダッシュボードは、平面基調でレトロ感のあるデザイン。左右いっぱいにウッドトリムがあしらわれ、対象的に未来感のある大きなデジタルモニターが内蔵されている。
ホンダEの強みの1つとして、コネクティビティを挙げるホンダ。実際どれくらいのユーザーが活用するのかはわからないけれど。
ダッシュボード中央には、12インチのタッチモニターが2面配され、左右のモニター間で表示内容を移動させることも可能。例えば、ナビゲーションの入力時には、運転席側から助手席側のモニターへ表示を移す、といった使い方もできる。画像は、画面のエッジ付近がややぼやけている様子だった。
運転しやすい優れたシティカー
スマートフォンのミラーリング機能にも対応しているから、多くのユーザーはこちらも利用するだろう。HDMIの入力端子もあり、希望すればゲーム機をつなぐこともできる。ちゃんと、欧州仕様の場合は240Vの電源コンセントも用意されている。
駐車時に眺めるのにちょうどいい、バーチャル・アクアリウムを映し出すこともできる。子供を車内で短時間待たせておく場合などには、良いかもしれない。
この2面のタッチモニターの他に、ドライバーの正面にはメーター用のモニターが配置される。さらに車内の両サイドには、ドアミラーの代わりにドアから突き出たカメラの映像を表示するモニターが付いている。
小型のサイドカメラは、通常のサイドミラーより空気抵抗が小さく、モニターの取り付け位置もよく考えられている。天候が悪くてもカメラレンズには汚れが付きにくかったうえ、薄暗い時間帯でもとても鮮明な映像を映してくれた。
合計5面並んだモニターに慣れてしまえば、機能的で運転はしやすい。視界は良好で、アクセルペダルやブレーキの操作感はとてもスムーズ。
ボタン1つでワンペダル・ドライビングモードに切り替えれば、アクセルペダルを戻した際の減速率が高くなる。ステアリングのレシオはクイックすぎず、最小回転直径は8.6mと小回りも効くから、ホンダEはとても優れたシティカーだと実感する。
心が動かされて買うタイプ
郊外の道に出れば、良好な姿勢制御を保ったまま、穏やかに路面をこなしていく。車重は1514kgで、コンパクトなガソリンモデルであれば重い部類でも、EVの場合はそうでもない。
前後の重量配分は50:50で、バランスも良い。スポーティというわけではないが、操縦性には優れ、上質でリラックスした走りが楽しめる。
0-100km/h加速は8.3秒と悪くない。最大トルクは32.0kg-mで、加速開始と同時に発揮できるから、実際はもっと力強く感じられる。
一番気になる部分は、ホンダEが狙ったユーザーをどれだけ見つけられるのか。もし遠方まで自動車で移動したいのなら、ホンダEは目的に叶っていない。
既に英国では200件ほどの予約が入っているというホンダEだが、その殆どはロンドン中心部に住むドライバーだという。強気の価格と限定的な航続距離でも、問題ないエリアだといえる。
ホンダの関係者は、画面の大きなタブレットではなく、小さく機能的なスマートフォンだと考えてほしい、と話していた。理屈で考えて買うのではなく、心が動かされて買うタイプのクルマだと認めているようだ。
考え方は理解できるが、多くの共感者を得られるのか疑問が残る。ホンダEはとても好感触ながら、誰にでもオススメできるタイプではない。まずは好きになれるかどうか、そこからだ。
ホンダE アドバンスのスペック
価格:2万8660ポンド(409万円・政府補助金適用後)
全長:3894mm
全幅:1752mm
全高:1512mm
最高速度:144km/h
0-96km/h加速:8.3秒
航続距離:220km(WLTP)
CO2排出量:0g/km
乾燥重量:1514kg
パワートレイン:電動モーター
バッテリー:35.5kWh
最高出力:153ps
最大トルク:32.0kg-m
ギアボックス:シングルスピード
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みんなのコメント
ただ値段が…。日本での価格がいくらになるか分からないですが、EVで先進装備満載とはいえホンダのコンパクトカーにこの額(英国価格)だす日本人は少なそう。