この記事をまとめると
◾️今年の3月、カーデザイン界の鬼才マルチェロ・ガンディーニが逝去した
まるでアニメか映画の世界! 実在する宇宙船のような衝撃デザインのクルマ7選
◾️スーパーカーのデザイナーとして名高いガンディーニは実用車のデザインも多く手がけた
◾️ガンディーニのデザインした実用車のなかでも選りすぐりの4台を紹介する
ガンディーニは実用車も多くデザインしていた
今年3月13日、カーデザインの鬼才マルチェロ・ガンディーニが85歳の生涯を閉じました。クルマ好きの間では多くのスーパーカーのスタイリングで超有名ですが、しかし氏の才能はスーパーカー以外のクルマにも、いかんなく発揮されてきました。そこで、今回はあえて実用車の視点から氏の足跡を辿ってみたいと思います。
実用的なクルマでも独自の個性を発揮
ガンディーニといえばランボルギーニ・ミウラを筆頭に、その後継であるカウンタック、フェラーリ・ディーノ308GT4、ランチア・ストラトス、フィアットX1/9といったベルトーネ時代の傑作デザインがすぐに思い浮かびます。3月の逝去に際しては、こうしたスーパーカーを振り返る多くの記事が見られました。
ただ、カーデザイナーとしての氏の才能はもちろんそこに留まりません。ワイドアンドローのスポーツカーのみではなく、より実用的なクルマのデザインにも傑作が残されているのです。では、ここではそんな4台を取り上げてみましょう。
まずはシトロエンのBXから。GSAとCXの間を埋めるかたちで1982年に登場したハッチバック・ワゴンとして、フランス車好きにはいまでも人気の1台です。
フロントも含め、直線基調でまとめられたボディは極めてモダンで、現代シトロエンのデザイン上の礎ともいえる仕上がりに。ハーフスカートのホイールアーチはまさに氏の特徴ですし、リヤピラーのアクセントや正方形に近いテールランプがじつに現代的です。
コンパクトカーで見せた静かな個性
次は2代目のルノー5です。3ドア、5ドアボディで1984年に登場した同車は、新しいサンクという意味で「シュペール5」の愛称で親しまれました。
基本は偉大なる初代を踏襲していますが、線の細い印象のあった初代に対し、ピラーなども含め、フラッシュサーフェス化されたボディは骨太な印象に進化。台形のシルエットもより安定した佇まいに。
この引き締まったボディだからこそ、バカラのような豪華仕様や、GTターボのオーバーフェンダーなどにも十分対応できたと思える仕上がりでした。
独創的なデザインセンスで名を馳せた
コンセプトカーでも実用性をアピール
さて、ガンディーニはコンセプトカーでも独創的な作品を残しましたが、実用車としてはBMWのガルミッシュに注目したいところです。
1970年に1台のみ製作された同車ですが、2019年には50周年を記念して復刻プロジェクトが行われて話題になりました。端正でありつつエレガントで、しかもビッグキャビンが居住性のよさをアピールした名作です。
ベルトーネが関与したといわれる初代5シリーズに強い影響を与えていると思えますし、最近になってBMWが発表したコンセプトカー「ノイエ・クラッセ」の原型にも見える点が面白いところです。
コンセプトカーで見せた1990年代のスタイリング
最後もコンセプトカーから、日産のAP-Xを取り上げます。同車は1993年のフランクフルトショーにAQ-Xとともに出品。AQ-Xがビックキャビンの提案だった一方、AP-Xは流麗な2ドアクーペの提案でした。
ウエッジした基本姿勢と、斜めにカットされたリヤホイールアーチがガンディーニを思わせる点ですが、しかし曲面のボディワークは明らかに1990年代の仕上がりで、近未来感すら醸し出したもの。
ギュッと凝縮したフロントフェイスや、ホイールアーチラインから連続するテールランプなど見所は満載で、当時の日産の勢いも感じられます。
さて、今回はガンディーニが手がけたなかでも比較的実用車に近いクルマをピックアップしてみました。冒頭のとおり、スーパーカーのデザイナーとして語られる氏ですが、優れたデザイナーはそうした車型や年代を問わず傑作を生み出すもの。やはり氏は天才であり、鬼才でもあったという証でしょう。
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