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EVでもレトロさが受ける!?  FJクルーザーの再来 コンパクトクルーザーの期待値

掲載 更新 24
EVでもレトロさが受ける!?  FJクルーザーの再来 コンパクトクルーザーの期待値

 トヨタは2021年12月、一気に16車種ものEVを発表したが、そのなかで、後方に置かれつつ注目度が高かったのが、「コンパクトクルーザー」だ。そのデザインは、生産が終了したFJクルーザーを彷彿とさせた。

 FJクルーザーは、ランクル40系をモチーフとしつつ、ランクルプラド(現行)をベースに、未来的かつオモチャ的なデザインにまとめたモデル。もともと北米向けだったが、日本でも逆輸入車人気が高まったことから、トヨタが国内への投入を決定。2010年から2018年まで販売されていた。

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 FJクルーザーは、4リッターのV6エンジンを搭載していた。車両重量は1950kgあり、JC08モード燃費は8.0km/L。実燃費は5km/L強と厳しかったが、EV化さればゼロエミッション。もともとSUVタイプはEVに向いているし、実現性は十二分だ。

 いずれにせよ、コンパクトクルーザーのキモはデザインにあるわけだが、その評価はいかがなものか。

文/清水草一
写真/TOYOTA

[gallink]

■リーズナブルで個性的だったFJクルーザー その魅力と抱えていた課題

 まずFJクルーザーについてだが、確かに魅力たっぷりのデザインだった。

 ランクル40をモチーフにしただけに、顔つきは万人にアピールするレトロモダン調。フロントウィンドウの直立ぶりもレトロそのもので、テリー伊藤さんは「それだけで涙が出るよ!」と熱く語っていた。

FJクルーザー。2006年に北米で販売を開始、2010年に日本デビューした

 ドアはなんと観音開き。リヤドアは、RX-8などと同様の逆開きタイプだった。これは、異例に太いピラーによって、リヤドアの前後長を短くせざるを得なかったためだが、それによって、クロカンSUVとは思えない軽快なルックスを実現している。

 RX-8同様、リヤドアだけを開くことはできないため、乗降性は悪かったが、デザイン優先の結果であり、ファンは納得しただろう。

 とにかくFJクルーザーは、見るからに楽しいデザインだった。しかも価格は300万円台前半と、驚くほど安かった(ファイナルエディションで349万2700円)。

 ベースになったランクルプラドは、2.7リッターガソリンで最低366万円から(現在)なのだから、「何かの間違いじゃないか?」と思うような値付けだった。このデザインでこの中身でこの価格なら、爆発的に売れてもおかしくないところだが、FJクルーザーは、あまり人気にはならなかった。

 その主な原因は、結局デザインにあったのではないかと考えている。FJクルーザーのデザインは、あまりにも面白すぎた。自動車デザインにはある程度の遊びが必要だが、FJクルーザーの遊びは若干行き過ぎていて、やや機能から外れる部分があった。ファッションで言えば、芸能人だけが着こなせるような、個性の強い服である。

FJクルーザー”レッドカラーパッケージ”内装

 FJクルーザーを絶賛していたテリー伊藤さんの服装に近いかもしれない。我々がテリーさんのファッションを見れば、個性的でカッコいいと感じるが、じゃ自分で着るかと問われれば、「結構です……」となってしまう。

 FJクルーザーは、一部で非常に人気があったが、日本での売れ行きは、コスパの高さを考えると、驚くほど悪かったのである。

 FJクルーザーに近い例として、ホンダのエレメントがある。同じく観音開きドアを持つ遊び感満点のMPVで、北米ではそれなりに好評だったが、日本ではサッパリ売れなかった。FJクルーザーやエレメントのような遊び感の強いデザインは、日本では「使いこなせそうにない」という連想を抱かせ、「欲しい!」と思うところまで行かないケースが多いのではないだろうか。

■TJクルーザーのような衝撃を与えた!?? コンパクトクルーザーの評価

 2017年の東京モーターショーで展示されたTjクルーザーも、いまだ市販化されていない。Tjクルーザーはスライドドアを持つSUVという変わり種。スライドドアは日本では絶大な支持があり、売れそうな予感ビンビンだが、逆に北米では、パーソナルユースには不人気だ。市販化されなかった主原因は、そこにあるのかもしれない。

 では、コンパクトクルーザーのデザインはどうだろう。一見、FJクルーザーに似ているが、それは顔のイメージが近いからで、車体のデザインはかなり異なっている。

2017年に発売されたFJクルーザー特別仕様車のフロントマスク

 ぶっちゃけ、顔はFJクルーザーを角目にしたイメージで、ボディカラーもFJクルーザーのイメージカラーに近いブルーだが、それ以外は、非常にオーソドックスなクロカン4WDのプロポーションになっている。ドアは前後とも通常の横開き式。会場では真横から見ることはできなかったが、全体のフォルムは、ジープ・ラングラーあたりに近い。

 つまり、ちょっとレトロモダン風味の、飾り気のない真四角なオフロード4WDルックなのである。デザイン的には、売れる要素しかないと言っていい。「コンパクトクルーザー」というだけに、サイズはFJクルーザーよりだいぶコンパクト。量販向きである。

 ただ、デザイン的には、冒険的な要素はない。かといってジムニーのような、すべての装飾を捨て去った色即是空デザインでもないので、デザインの評価としては、新鮮さに乏しい。どこかで見たような既視感満点である。

 コンパクトクルーザーがEV専用車なら、売れる・売れないは、そもそもEVがどれくらい売れるかにかかってくるわけだが、個人的には、公開された16台のEV群の中で、特に魅力的なデザインには見えなかった。売れる要素は満点だけれど、デザイン的にはあまりグッと来なかったというのが、個人的な結論だ。

 私と長年デザイン論を戦わせた故・前澤義雄氏(元日産チーフデザイナー)も、コンパクトクルーザーのデザインには、「…………」と沈黙したのではないだろうか。

[gallink]

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みんなのコメント

24件
  • FJクルーザーはコストパフォーマンスもデザインもいいのにそれほど日本で販売台数が伸びなかったのは単純に大排気量だったからじゃないかな…
  • なんちゃってSUVで高速流すだけならEVでもいいだろうが、本当の悪路や雪道での仕事用なら、怖くてEVなんか使えない。

    雪の中でEVのSUVでスタックしたらバッテリは見る見る減って2t の重石になってお手上げ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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