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「旧友」へ再会したような アウディQ3 スポーツバックへ試乗 安全・安心な足取り 2025年に3代目へ交代

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「旧友」へ再会したような アウディQ3 スポーツバックへ試乗 安全・安心な足取り 2025年に3代目へ交代

アウディでQ2の次に小さくお手頃なSUV

2代目アウディQ3が登場したのは2018年。このブランドでQ2の次に小さくお手頃なSUVとして、重要なポジションを守ってきた。

【画像】「旧友」へ再会したような アウディQ3 スポーツバック サイズが近い電動SUVと比較 全177枚

基礎骨格は、フォルクスワーゲン・グループのMQBプラットフォーム。競合ブランドからの乗り換えを誘導する、魅力的な価格設定に一役買った、汎用性の高いものだ。周囲との違いを求める人向けに、高性能でお高い選択肢も用意されたが。

ボディスタイルは、ハッチバックのような通常のQ3と、クーペ風のQ3 スポーツバックという2種類。今回は後者を選んだ。

全長は、通常のQ3が4484mmで、スポーツバックでは4500mm。全幅は前者が1856mmで、後者が1843mm。全高は1585mmに対し1556mm。このクラスとしては平均的な大きさだが、スポーツバックの方が僅かに長く低い。

スタイリングは、クラス上のモデルへ通じる落ち着いたもの。SUVらしい無骨さは控えめで、ボディサイドが大きくえぐられるなど、面構成は彫刻的。スポーツバックでは荷室容量と引き換えに、滑らかなルーフラインをまとい、華やかな雰囲気がある。

英国仕様の場合、エンジンの選択肢は1.5Lか2.0Lのターボガソリン「TFSI」のほか、2.0Lのターボディーゼル「TDI」も選べる。35 TFSIか35 TDIでは、最高出力は150ps。40 TFSIか40 TDIでは192ps、45 TFSIでは245psを発揮する。

35では前輪駆動だが、40と45では四輪駆動のクワトロが標準。トランスミッションは、7速デュアルクラッチ・オートマチックが組まれる。35 TFSIには、唯一マニュアルも設定される。

ソリッドで高品質なインテリア 空間は狭め

今回試乗した、プラグイン・ハイブリッドの45 TFSI eも提供され、こちらは前輪駆動のみ。150psの1.4Lガソリンターボに、115psの駆動用モーターが組み合わされ、システム総合の最高出力は245psがうたわれる。駆動用バッテリーは10.4kWhだ。

直列5気筒ターボを搭載したRS Q3は、2023年をもって英国での販売は終了。SQ3も選べない。2025年には、新世代のQ3が登場予定だ。

2代目Q3のインテリアは、最新スタイルより前世代のデザイン。デジタル技術に不足はなく、大きなシフトセレクターがセンターコンソールにあり、エアコンには実際に押せるハードボタンが並ぶ。ステアリングホイールは、ちゃんと丸い。

プレミアムブランドらしく製造品質は高く、触感はどこもソリッド。古い友人へ再会したような、うれしさがある。

45 TFSI eでは、Sラインが標準。前席にはスポーツシートが組まれ、身長が高い大人でも快適な運転姿勢へ落ち着ける。メーター用モニターは高精細で見やすい。タッチモニターは稀に反応が悪いことがあるが、運転中でも操作はしやすい方だ。

後席は、このクラスでは平均的な広さ。ルーフが傾斜するスポーツバックの場合、高さ方向に制限がある。成長期の子どもが、窮屈に感じるほどではないだろう。

荷室は、ハイブリッドのシステムが床下に積まれ、実用性には多少の犠牲がある。形状はスクエアで、フックやカーゴネットが備わり、使い勝手は良い。ハッチバック・ボディのQ3と比較すると奥行きがなく、収まらないベビーカーはあるかも。

静かで安楽なプラグインHV 気張らずに速い

それでは、公道へ出てみよう。まず、Q3の45 TFSI eは静かで安楽。駆動用モーターと内燃エンジンの協調性が高く、滑らかにフロントアクスルを駆動し、2つのパワートレインが譲歩し合うような様子はない。

4気筒エンジンは滑らかに始動し、そっと止まる。高負荷時にノイズが高まることもない。駆動用バッテリーの充電が切れても、動力性能に目立った低下はなく、燃費も優秀といえる。

満充電で濡れた路面と、充電が切れた状態で乾いた路面、それぞれ0-100km/h加速を試してみたが、実際、後者の方が速く7.4秒を記録した。カタログ値は7.3秒だ。ただし、フル充電の方が普通に運転していて速く感じることも事実だ。

エンジンとモーターの両方がフルパワーを引き出すと、フロントタイヤはトラクション不足に陥る。電子制御が滑らかに介入し、なだめてくれる。

ブレーキペダルの感触は、同クラスのプラグイン・ハイブリッドの中では好印象。ソリッドで漸進的に効く。回生ブレーキも有能で、可能な限り運動エネルギーを電気に変換してくれるようだ。

操縦性は上質で落ち着いていて、アウディらしい着実な足取りが強み。ステアリングは正確に反応し、姿勢制御は引き締まり、グリップ力は充分以上。敏捷性が高く、重ったるい印象はなく、バランスの良さが光る。

だが、ドライバーとの一体感が高いわけではない。高速域でステアリングホイールの重さが増すことはないものの、気張らず運転できるのも特徴だ。

安全・安心なドライビング体験 まだ訴求力高し

カーブを攻め込んでも、洗練性は霞まない。安心感や安定感は高く、このクラスのSUVでは動的能力の高い1台といっていい。乗り心地も快適で、完成度の高さがうかがえる。

試乗した45 TFSI e Sラインが履いていたのは、19インチ・ホイールにグッドイヤー・イーグルF1というタイヤ。スポーツサスが組まれていたが、冬場の不順な路面にも巧みに対応していた。四輪駆動の方が、一層安定していたと思うが。

駆動用バッテリーの充電だけで走れる距離は、32kmから40kmの間。2024年のプラグイン・ハイブリッドとしては短いものの、定期的に充電できる環境なら、ガソリン代を節約できるはず。

充電が切れた状態で、高速道路を110km/hで走行した時の燃費は13.8km/L。市街地などを交えた平均では、17.1km/Lとなった。

3代目の発売が来年に控えた、2代目Q3。スペック上では目立った強みがなく、フォルクスワーゲン・グループのプラグイン・ハイブリッドとして、このタイミングでの購入を後押しする要素は少なく見える。

しかし実際に運転してみると、総合力の高さが光る。運転しやすく洗練性は高く、充電が切れてもエンジンだけで不満なく走る。シートは座り心地が良く、ハーボタンが並ぶダッシュボードは操作しやすい。内装の質感も高いままだ。

アウディらしい、安全・安心なドライビング体験も強み。引退が近いことは間違いないが、電動SUVがまだ早いとお考えなら、検討する価値はまだ高い。

◯:電動パワートレインの洗練性と力強さ 幅広い選択肢 優れた乗り心地と操縦性
△:電気だけで走れる距離は短め さほど魅力的ではない価格 ライバルより狭めの車内空間

アウディQ3 スポーツバック 45 TFSI e Sライン(英国仕様)のスペック

英国価格:4万9345ポンド(約947万円)
全長:4500mm
全幅:1843mm
全高:1556mm
最高速度:209km/h
0-100km/h加速:7.3秒
燃費:62.5km/L
CO2排出量:36g/km
車両重量:1815kg
パワートレイン:直列4気筒1395cc ターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:10.4kWh
最高出力:245ps/5000rpm(システム総合)
最大トルク:−kg-m
ギアボックス:6速デュアルクラッチ・オートマティック(前輪駆動)

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