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スズキの新型コンパクトSUV「フロンクス」は走りも一級品! 激戦のコンパクトSUV市場で個性を放つ。【試乗レビュー】

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スズキの新型コンパクトSUV「フロンクス」は走りも一級品! 激戦のコンパクトSUV市場で個性を放つ。【試乗レビュー】

群雄割拠のコンパクトSUV市場

「満を持して」、とか、「いよいよ」とか、「話題沸騰の」などという、待ちに待った感のある言葉が踊るスズキの新型コンパクトSUV「フロンクス」。10月16日に日本デビューしたばかりの市販モデルは果たして期待通りの性能を発揮したのか。千葉県幕張周辺で開催された公道試乗会に参加してその出来栄えを確かめるとともに、開発関係者の話を聞くことができた。
フロンクスのボディサイズは全長3995mm、全幅1765mm、全高1550mmで、ホイールベースは2520mm。いわゆるBセグメントのコンパクトSUVで、同じジャンルにはダイハツ/トヨタのロッキー/ライズをはじめ、トヨタのヤリスクロス、ホンダのWR-Vなど人気モデルが群雄割拠の状態。ここにいわゆる“後出しジャンケン”で割り込んでいくにはそれなりの特徴が必要だ(スズキ関係者)、との判断から、クーペスタイルのSUVという個性的なエクステリアにたどり着いたのだという。

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フロンクスでよく目立つ3連の灯火類は、インドのマルチスズキが展開する高級販売店「ネクサ」のシグネチャーからきたものとの事で、フロント上部には角形3連のデイタイム&ウインカー、その下のフェンダーの出っ張り部分には楕円の3連ヘッドライトが埋め込まれている。
面白いのはリアライトの3連で、特に左側は数字の「7」が3つ並んだスリーセブン、またはラッキーセブンのように見てとることができ、さらにあるジャーナリストからは「フフフ」のように見える、との見方があったのだとか。スズキとしてはそれを意識してデザインしたわけでなく、全く偶然のものだったらしいのだが、いずれにしても縁起の良い話。オーナーになったらとっておきのネタとして使える。前後の盛り上がったフェンダーはそのままサイド部分に回り込んでいて、二重になったこの部分をダブルフェンダーと呼んでいる。


インテリアも、この手のサイズのクルマの中では出色の高級路線まっしぐら。エクステリアと同様に他では真似のできないものにしようと、ラグジュアリーカーでよく見られるブラック×ボルドーのリッチな配色を採用。海外仕様ではドアの内側パネルの多くがボルドーだったのに対して、日本向けではそこが少し派手すぎるとの判断からその面積を減らした、という芸の細かさを見せている。
カラーマテリアルフィニッシュの仕上げに関わるデザイナーには女性スタッフも多く、彼女らの意見を取り入れたポイント多数でこれはその一例だ。また、仕立ての良いシート自体の設計は日本側で行われており、競合他社の「良い」とされるシートのほとんど(独VWをはじめ、日本のT社、M社などほぼ全部)を、チームを作ってゲージを当てたり断面を取ったりとコツコツとデータをとってフィードバックし、設計したのだという。先のカラー担当ともしっかりとコミュニケーションが取れていたので、かなりの自信作として仕上げることが出来たのだとか。実際に座ってみても、フワリと肌馴染みがよく、いいシートであることがすぐに伝わってくる。


フロンクスの走りは一級品!

フロンクスが搭載するパワートレインは、K15C型1.5L直列4気筒エンジンに、2.3kW(3.1PS)/60Nmのモーターを使用するマイルドハイブリッドシステムと6速ATを組み合わせたもの。2WDのK15Cは74kW(101PS)/135Nm、日本専用となる4WDモデルのK15Cは73kW(99PS)/134Nmと出力が微妙に異なっている。ライバルには3気筒エンジンを搭載しているものが多く、この点で一歩アドバンテージがある。
ドライブモードは、2WDに「スポーツ」、4WDには「スポーツ」だけでなく、路面状況に合わせて使い分けることができる「スノー」、「グリップコントロール」、「ヒルディセントコントロール」の3つが追加されている。
その走りはというと、日本の路面に合わせてチューニングしたタイヤ(195/60R16サイズのグッドイヤー・アシュアランストリプルマックス2)と、スプリングとショックアブソーバーの設定、ホイールハブ締結力アップのためのボルト数の4本から5本化、電動パワステの操舵アシスト力調整などによって、全く不満が出ないレベルに到達している。


機械式駐車場に収まる1550mmの全高や、最小回転半径4.8mという小回りがきく取り回し感は、日本での使い勝手にピタリとマッチ。6ATを採用したおかげで、その気になればパドルシフトを駆使してちょっとしたスポーツドライビングも楽しめる。
車速が上がると、2WDはちょっとコツコツとした路面状態を伝える欧州車のような感覚を伝えてくる(VW車っぽい)。一方の4WDモデルは、重量の増加(2WDは1070kg、4WDは1130kg)と前後重量配分の適正化などが功を奏しているようで、終始安定してタイヤが接地しているマイルドな感覚だ。その性格の差は意外と大きくて、ちょっと高価な4WDをわざわざ選ぶ価値(2WDは254.1万円、4WDが273.9万円)が、雪が降らない地域でも感じ取ることができる設定だ。
フロントフェンダーやボディ各所に配置した遮音壁や、ダッシュボード内部のサイレンサーなどによって、通常の走りでは静粛性の高さが嬉しいところ。気合を入れた走りで回転計の針が3000を超えると、それまで静かだったエンジン音が一気に高まるものの、それもまた楽し、というところか。


インド産スズキの「小さな高級車」

フロンクスは、インド・グジャラート工場で生産して日本に渡ってきた“輸入車”であり、中南米や中近東、アフリカ諸国などにも送られるグローバルモデルであることはみなさんご存知の通り。最新設備を誇る工場で製造されるので、品質面で気になるところは全くなしだ。
インドでは史上最速で20万台に到達した人気モデルになっていて、すでに数々の賞を獲得済み。日本では発表後間も無いのに受注が1万台を超えたほどだ(月販計画は1000台)。内訳は、2WDが6割、4WDが4割で、世代別では、50代が25%、20代、30代、40代がそれぞれ15%ずつと満遍なく売れているという。
ボディカラーは、アークティックホワイトパール&ブラックルーフの2トーンが22%を占めて1番で、アースブラウンパールメタリック&ブラックルーフの2トーンが16%で2番目だという。
走ってみると、これまで日本車が苦手としてきた「小さな高級車」をひょっとしたら体現できているのでは、と思わせるところがある。ライバルが持ち得ない、魅力の一つである。


SPECIFICATIONS
スズキ フロンクス 2WD(4WD)|SUZUKI FRONX 2WD(4WD)
ボディサイズ:全長3995×全幅1765×全高1550mm
ホイールベース:2520mm
車両重量:1070kg(1130kg)
エンジン:直列4気筒DOHC16バルブ
総排気量:1460cc
エンジン最高出力
2WD:74kw(101PS)/6000rpm
4WD:73kw(99PS)/6000rpm
エンジン最大トルク
2WD:135Nm(13.8kgf-m)/4400rpm
4WD:134Nm(13.7kgf-m)/4400rpm
モーター最高出力:2.3kW(3.1PS)/800-1500rpm
モーター最大トルク:60Nm(6.1kgf-m)/100rpm
燃料消費率(WLTCモード):19.0km/L(17.8km/L)
トランスミッション:6段AT
価格:254万1000円(273万9000円)

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