サーブ 9-3 スポーツエステート 「珍奇に見えて実直な快適•爽快グランドツアラー」のユーザーレビュー

珍奇に見えて実直な快適•爽快グランドツアラー

2024.5.11

総評

珍しいクルマが欲しい、あるいはサーブというメーカーが気になる方にまずお勧めしたい車です。
希少車だからといって妙な特徴があるかと言えばそうでもなく、至極真面目に作られた車です(でも内装はちょっと癖があって面白いです)。
ちゃんと走りますし、積めます。いざとなれば速いですし、車中泊もできます。
燃費にさえ目を瞑れば言うことありません。何でもこなせる優等生です。

満足している点

•必要十分+αの動力性能
•柔らかく長時間•長距離でも快適な乗り心地
•視界の広さ、見切りの良さ、安全運転に集中できる運転環境
•なんでも飲み込む積載性

不満な点

•燃費が悪い(街乗り7km/L程度)
•部品が無い

デザイン

5

外装上の特徴は翼のような意匠の顔とクリアタイプのリアコンビランプです。ジェット機メーカーの血統を感じるクリーンで疾走感のあるデザインといった印象です。

内装にも航空機由来の意匠が多く見られます。エアコン吹き出し口やドリンクホルダーの形状、機能面ではナイトモードといったものに思想を感じます。ナイトモードは、オンにすると速度計以外の計器が全て消灯して眩しさを軽減し、夜間の安全運転を支援するサーブならではのギミックです。

走行性能

5

エンジンは2L直4ターボです。低~中速域でのトルクが重視された低圧ターボ仕様で、発進加速の場面ではグイグイ引っ張ってくれて気持ちいいです。
高速でも息の長い加速を見せてくれます。エンジン回転数の上昇とピッタリ合わせて速度が上がっていく感覚が爽快です。
変速機は5段ATと時代を感じる仕様ですが、低速域ではターボと完璧に同調してスムーズに繋いでくれますし、高速域でも過度にエンジンを回させない縁の下の力持ちです。
要するにできるだけ高いギアを使うセッティングのようで、どんな場面でもエンジン回転数が抑えられて静かです。
ただこの制御には弊害もあって、アクセルオフでのエンジンブレーキというのがほとんど効きません。アクセルオフ=コースティングといった感じです。わざわざアクセル微踏みでパーシャルスロットルに調節しなくていいのは楽ですが、慣れるまでちょっと時間がかかります。
慣れきった今となっては、路面を飛ぶようなこの特性も航空機メーカーをルーツに持つサーブらしさなのかなと思って愛せるようになりました。

乗り心地

5

とても快適です。シートはファブリック×レザーのコンビで、これがソファのように柔らかく、かなり弾力があります。でもしっかり体にフィットしてくれるので姿勢は崩れません。
この柔らかいシートがスプリングだとしたら、硬めの足とボディがショックアブソーバといったところでしょうか。この2要素が上手くバランスを取って独特な乗り心地を実現しているように思います。
長距離•長時間乗っていても非常に快適です。

積載性

5

広いです。平面方向にも広いですが、ワゴンにしては高さがあります。荷室に普通に座っても頭が当たりません。車中泊が快適です。

燃費

1

悪いです。街乗り7km/Lです。高速に乗ると14km/Lと倍くらいの数字が出るので、欧州車を感じる燃費特性ですね。街乗りですと満タンからの航続距離が500km、実走行450km走れれば良いかなと言う感じです。

価格

1

私の個体は2オーナー歴なし9万kmで込み込み60万円でした。知名度がないので同世代の同車格の面々と比べると安い方ではないかなと思います。知名度がないのでリセールは最悪で、7,000円だとか小耳に挟んだことがあります。廃車にするときはできるだけ部品を剥いで売るなり譲るなりしようと思います。

故障経験

納車されて1ヶ月になりますが今のところ無いです。でも10万kmを超えて色んなところにガタが出始めたので、そろそろ何処かが壊れてもおかしくありません。特にこの車種は燃料ポンプやECUに持病(欠陥？)を抱えているので、早めに予防交換などで策を打とうと思います。
電装関係の小さな不具合は気にしちゃいけません。たまにミラーが片側だけ開かなかったり、突然球切れの警告灯が点いたりしますが仕様です。