「911 R」に超速試乗。すべてを削ぎ落とした公道レーサーの実力は?
掲載 更新 carview! 文:木村 好宏/写真:Kimura Office
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到着後に待っていたのは、ワークショップとは名前ばかりの公道上のスペシャルステージで、かつてのWRCチャンプ、ヴァルター・ロールの後についてのカルガモ走行である。およそ150kmのカントリーロードを2時間30分で走破する。ポルシェのテストドライバーでブランド・アンバサダーでもあるロール氏はジャーナリストだからと言って手を抜かない。ウォーキートーキー(双方向無線)で遅れを優しく、時には厳しく叱咤する。当然こちらも必死で食らいつく。
高速、中速、低速コーナー、そしてアップダウンの連続するルートでの911 Rの挙動は圧巻で、路面に手で触れるような確かなフィードバックを持つステアリング、あくまでもニュートラルな操縦性が、かなりの領域までグリップ走行を可能にしている。そして、さらに速度を上げるとスポーツ・チューンされたPSMがジリジリとリアのスライドを許す。これを素早く察知してカウンターステアで修正すると、おもわず「やった!」と征服感で満たされるのだ。
ゴールに戻るとまるで軽いジョギングを終えたような爽快感が残った。この世に、自動車の本音である“操る楽しさ”を、ここまで正直に追求した罪なクルマが存在するのは嬉しい限りである。
しかし、残念ながらこの911 R はジュネーブショーでの発表直後に、18万9544ユーロというドイツでのプライスタグにも関わらず完売してしまった。日本では2629万円という価格が発表されているが、果たしてまだ入手可能かどうかは現時点では不明である。
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