現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【一番のお値打ちモデル】ポルシェ718ボクスターGTSへ試乗 NAフラット6復活

ここから本文です

【一番のお値打ちモデル】ポルシェ718ボクスターGTSへ試乗 NAフラット6復活

掲載 更新
【一番のお値打ちモデル】ポルシェ718ボクスターGTSへ試乗 NAフラット6復活

GTSに帰ってきたNAフラット6

text:James Disdale(ジェームス・ディスデイル)

【画像】718ボクスター スパイダーとGT4 全82枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


新しいポルシェ718ボクスターGTSに、 自然吸気の水平対向6気筒エンジンが帰ってきた。ポルシェ製ミドシップの主軸グレードへ、フラット6が復活したということだ。

フラット4が完全になくなったわけではない。ターボ過給されるかたちで、標準グレードとSの718ボクスターとケイマンには残っている。

NAフラット6が搭載されることになった、718ボクスターと718ケイマンのGTSというグレードは、従来から絶妙な成り立ちを得てきた。ハードコアなドライビングファンと、日常的な利便性を、秀逸のバランスで叶えてきた。

ボクスター・スパイダーとケイマンGT4向けに専用開発されたのが、この4.0Lの6気筒エンジン。限定されたモデルのみに搭載することは、ポルシェとしても本意ではなかったのかもしれない。

初めに注目のエンジンから見ていこう。GT4直系というわけではないものの、基本的には同じユニットと考えて良い。レブリミットは7700rpmへと引き下げられ、最高出力も400psへと落とされている。

GT4と比べると20psほど低い。そのかわり最大トルクは同等の42.7kg-mを5000rpmから発生し、同じツイン・エグゾーストシステムから息を吐く。

トランスミッションの6速マニュアルも同じだが、日常的な使いやすさを考慮し、ストロークはやや長め。7速PDKも、2020年末以降に選択できるようになる予定。

耳に届く本物のメカニカル・サウンド

シャシーを見ると、GT4との共通性は少ない。GT4は想像以上に専用パーツが投入されていたのだ。

GTSはボールジョイントではなく、一部のブッシュ類も強化品ではない。タイヤサイズもフロントが235でリアが265へと幅が狭くなっており、トレッドもそのぶん狭い。ブレーキディスクの直径は、GT4の380mmに対して350mmへとサイズダウンしている。

アクティブ・エンジンマウントやアダプティブダンパー、トルクベクタリング・リミテッドスリップデフなどは装備する。

それ以外の部分も、従来の718ボクスターGTSからわずかに変更を受けている。見た目の手直しも加えられているが、最もわかりやすいのはGTS4.0と記されたエンブレムが、ドア下端に追加されたことだろう。

インテリアにはアルカンターラが一部に用いられ、GTSのロゴがあちこちに点在する。標準装備のシートは、オプションの固定式バケットシートほどホールド性が高いわけではないが、日常走行を快適に過ごすには充分なサポート性を備えている。

シートに座り、キーを回せば、新しい718ボクスターの素晴らしい体験を予見できる。以前はスバル車のエンジン音のように聞こえていたサウンドだったが、今回は本物のメカニカル・サウンドが耳に届いてくる。

ポルシェ製のフラット6は、ドライバーのすぐ後ろへマウントされている。息を吹き返したことを喜ぶように、空中へと咆哮が広がる。走り出せば、それは圧倒的な喜びだ。

ボクスター・スパイダーと同等に速い

7000rpm付近で勢いが増す素晴らしいサウンドだけでない。パンチ力のあるパワーと、広い回転域で湧き出る太いトルクが、GTSを鋭く推し進める。ルーフを開き、エンジンとの距離が縮まるボクスターは、さらにその体験が濃い。

アクセルペダルの反応は即時的。つま先をわずかに寝かす度に、加速度が比例するかのように増大していく。現実的な道路環境では、ボクスター・スパイダーと変わらないほど速く感じる。

GT4より少し力の抜けた減衰力の設定で、一般道の舗装との付き合いはGTSの方が優れている。わずかに柔軟性を増した足回りは、より自信を沸き立たせてくれるような、限界領域でのシャープな身のこなしを失ったことも意味している。

グリップの限界領域を超えても、ドライバーの腰を中心にクルマが旋回していく、完璧なシャシーバランスが生むフィーリングはGT4に届かない。反面タイヤの接地面が減ったことで、アクセルペダルでエンジンが生むパワーを加減しながら、微妙なライン調整はより簡単になった。

ステアリングも輝いている。圧倒するほどの鋭さはないものの、サスペンションに掛かる負荷を正確に感じながら、タイヤがどんな状況下にあるのかを不満なく疎通できる。

ブレーキも抜群に良い。制動力は強く、ブレーキペダルの重み付けは最適で、踏み込む量に合わせて漸進的に力が増していく。すべての718ボクスター同様、シャシー剛性も高い。ケイマンに並ぶ剛性感といって良いだろう。

走りと乗りやすさの絶妙なブレンド

GTSの真価といえるのが、ボクスター・スパイダー並みのパフォーマンスとハンドリングを、日常的な走りやすさの中で両立させていること。

穏やかなの減衰力のおかげで、乗り心地は日常の許容範囲にあり、幅の狭いタイヤと柔らかいブッシュ類のおかげで、タイヤが受ける路面からの影響も小さい。サスペンションが発するノイズも小さく抑えられる。

車内には標準シートと充実した標準装備が残され、快適性は一枚上手。そして何より、ケイマンもボクスターも、GTSはハードコアなGT4より1万ポンド(143万円)もお手頃だという点も、見逃せない事実だ。

このクラスのオープン・スポーツカーが欲しいのなら、718ボクスターGTSはオススメのモデルとなる。純血ユニットといえるフラット6と、日常的な乗りやすさとスリリングなドライビングとの絶妙なブレンドが完成している。

ここ10年間のスポーツカーの中で、ポルシェ718ボクスターGTSとケイマンGTSは、一番のお値打ちモデルといっても過言ではないだろう。

ポルシェ718ボクスターGTS 4.0のスペック

価格:6万5949ポンド(943万円)
全長:4379mm
全幅:1801mm
全高:1281mm
最高速度:292km/h
0-100km/h加速:4.5秒
燃費:9.1km/L
CO2排出量:246g/km
乾燥重量:1405kg
パワートレイン:水平方向6気筒3995cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:400ps/7000rpm
最大トルク:42.7kg-m/5000-6000rpm
ギアボックス:6速マニュアル

こんな記事も読まれています

日本初の月面着陸&撮影に成功した変形型探査ロボ「SORA-Q」がトミカに! 着陸実証機とセットで受注販売
日本初の月面着陸&撮影に成功した変形型探査ロボ「SORA-Q」がトミカに! 着陸実証機とセットで受注販売
乗りものニュース
【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】混雑を避けて移動したい! 道路別・渋滞予測まとめ
【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】混雑を避けて移動したい! 道路別・渋滞予測まとめ
くるくら
中国自動車業界における歴史的一歩! テインサスペンションの純正採用が実現
中国自動車業界における歴史的一歩! テインサスペンションの純正採用が実現
レスポンス
マツダ、電動セダン『EZ-6』世界初公開、24年発売へ SUVコンセプトも…北京モーターショー2024
マツダ、電動セダン『EZ-6』世界初公開、24年発売へ SUVコンセプトも…北京モーターショー2024
レスポンス
過酷すぎる走行テストを経て「ディフェンダー・オクタ」7月3日発表へ!プレビューイベントも開催予定
過酷すぎる走行テストを経て「ディフェンダー・オクタ」7月3日発表へ!プレビューイベントも開催予定
LE VOLANT CARSMEET WEB
新型「ミニ・エースマン」世界初公開! 第3の“新世代ミニ”は 全長4.1mの電動5ドア・クロスオーバーで登場
新型「ミニ・エースマン」世界初公開! 第3の“新世代ミニ”は 全長4.1mの電動5ドア・クロスオーバーで登場
VAGUE
マツダが新型“最上級セダン”「EZ-6」世界初公開! 光るグリル&半円4連テール&超豪華内装がカッコイイ! 斬新すぎる「マツダ6後継機!?」中国に誕生
マツダが新型“最上級セダン”「EZ-6」世界初公開! 光るグリル&半円4連テール&超豪華内装がカッコイイ! 斬新すぎる「マツダ6後継機!?」中国に誕生
くるまのニュース
そろそろTシャツの季節! ホンダファンにはたまらん歴代シビックのイラストTシャツはいかが?
そろそろTシャツの季節! ホンダファンにはたまらん歴代シビックのイラストTシャツはいかが?
ベストカーWeb
ガソリン代が高いからって寒いのをガマンしても得なし! クルマのエアコン「暖房オフ」は燃費にほぼ効果がなかった
ガソリン代が高いからって寒いのをガマンしても得なし! クルマのエアコン「暖房オフ」は燃費にほぼ効果がなかった
WEB CARTOP
使い勝手の良さを兼ね備えたアーバンSUV! ホンダ「ヴェゼル」がマイナーチェンジ
使い勝手の良さを兼ね備えたアーバンSUV! ホンダ「ヴェゼル」がマイナーチェンジ
LE VOLANT CARSMEET WEB
国産車初の電動メタルトップは駄作? なんで窓枠が残るのよ! 世にも不思議な[ソアラエアロキャビン]は今が底値!
国産車初の電動メタルトップは駄作? なんで窓枠が残るのよ! 世にも不思議な[ソアラエアロキャビン]は今が底値!
ベストカーWeb
ヒョンデの高性能EV『アイオニック5N』が日本上陸! 特別仕様車の予約開始
ヒョンデの高性能EV『アイオニック5N』が日本上陸! 特別仕様車の予約開始
レスポンス
「えっ?」メルセデス・ベンツの最新「Gクラス」は4モーターで“戦車みたいな旋回”を実現!? 実車との初対面で実感!「G580EQ」はすべてが驚異的
「えっ?」メルセデス・ベンツの最新「Gクラス」は4モーターで“戦車みたいな旋回”を実現!? 実車との初対面で実感!「G580EQ」はすべてが驚異的
VAGUE
ホンダが「新型SUV」正式発売! “SUV×セダン”融合させたデザイン採用!? ヴェゼルと違う「e:N」、中国に
ホンダが「新型SUV」正式発売! “SUV×セダン”融合させたデザイン採用!? ヴェゼルと違う「e:N」、中国に
くるまのニュース
三菱 ASX 改良新型…デザイン刷新&機能強化
三菱 ASX 改良新型…デザイン刷新&機能強化
レスポンス
ジャガー・ランドローバーは使用済みバッテリの二次利用システムBESSを開発し、循環型エネルギーシステムとして設置
ジャガー・ランドローバーは使用済みバッテリの二次利用システムBESSを開発し、循環型エネルギーシステムとして設置
Auto Prove
パナソニックHD、オートモーティブシステムズ譲渡で600億円の損失
パナソニックHD、オートモーティブシステムズ譲渡で600億円の損失
日刊自動車新聞
アルファロメオ、ジュリア/ステルヴィオの限定車 「Veloce Superiore」を発売開始
アルファロメオ、ジュリア/ステルヴィオの限定車 「Veloce Superiore」を発売開始
月刊自家用車WEB

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

910.01303.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

435.51750.0万円

中古車を検索
718 ボクスターの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

910.01303.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

435.51750.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村