現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【長期テスト】スズキ・ジムニー・シエラ(1) クロスオーバー人気の中の異彩

ここから本文です

【長期テスト】スズキ・ジムニー・シエラ(1) クロスオーバー人気の中の異彩

掲載 更新
【長期テスト】スズキ・ジムニー・シエラ(1) クロスオーバー人気の中の異彩

初回 英国編集部でも楽しみにしていた

text:Rachel Burgess(レイチェル・バージェス)

【画像】スズキ・ジムニー(シエラ) 全53枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

英国編集部でも4代目ジムニーの登場は心待ちにしていた。ジムニー・ファンなわたしたちは、大きなモーターショーが近づくたびに、スズキの関係者へ質問を投げかけた。「新しいジムニーとジムニー・シエラは出展されますか?」

そんなやり取りが長く繰り返されたが、2018年の夏、先代の発表から20年を迎える中で新しいジムニーが登場した。その姿は、期待通りにボクシーで、ファンキーでコンパクトだった。ジムニーの特徴そのままだと思う。けれどそれだけではない。

現在吹き荒れるコンパクト・クロスオーバー人気は、ジムニー・シエラには逆風状態ともいえる。同じくらい小さいクルマは他にもあるものの、その殆どはジムニー・シエラより日常的な運転に適している。しかしジムニー・シエラのストロングポイントは別のところにある。

ほぼフォルクスワーゲンUp!と同じ全長と全幅を持つ超コンパクトSUVは、一端のオフロード性能を誇るのだ。価格で比べると、ダチア・ダスターやフィアット・パンダ4×4辺りがライバル関係になる。だがオフロード性能で比べれば、ランドローバー・ディスカバリー・スポーツやジープ・ラングラー当たりがライバルだ。

筆者のスズキ・ジムニー・シエラに対する記憶は、ちょっとした理由で忘れがたいものになっている。東カリブ海の島、バルバドスでレンタカーとして使い込まれたジムニー・シエラを所有していたことがある。

ボディは何色でも、ジムニーの性能は同じ

走行距離は8万kmを軽く超えていたが、タイヤはどうやら交換されていない様子。そんなクルマに乗り始めてすぐ、時速30km/h位でロータリー交差点へ進めると、今まで経験したことのない速度域でのアンダーステアに陥った。

クルマは曲がらず、そのままロータリーの中央の島地へ乗り上げた。その後、下り坂でブレーキを掛けるとホイールはロックするものの減速しないまま、坂を下っていったのだ。古いタイヤは危険だ。でも新しいジムニーなら、こんな経験はしないはず。思い出を良いものに塗り替えてくれるだろう。

しばらくの期間を掛けてロンドンの市街地だけでなく、冬の郊外やオフロード走行も試したいと思う。そして、コンパクト・クロスオーバー人気の中で、硬派な見た目の代替案として選択するに相応しいかどうか、検証してみたい。

英国の道では、ジムニー・シエラの数はまだまだ少ない。2018年に売れた台数は1200台。英国で一番人気を誇る、スズキ・ビターラ(エスクード)の10%しか売れていない。

その理由は、英国への供給台数が制限されているため。街で見かけるジムニー・シエラがほとんど白色なのも同じ理由だ。オーナーが白色を選んだのではなく、白色のジムニー・シエラが英国へ輸入されたから。

ジムニー・シエラのファンはボディカラーは気にしないらしい。何色でも同じ性能を得られるから、という考えを持っているようなのだ。他の自動車メーカーなら、ありえない話だろう。

スキッドプレートや泥除けが人気オプション

今回の試乗車は、650ポンド(9万円)の2トーンペイントで、明るい青いボディに黒のルーフ。選べる数少ないオプションの1つ。ボディサイドのモールディングや、フロントのスキッドプレート、マッドフラップも人気のオプションとなる。これらのオプションから、ジムニー・シエラの使われ方がわかる。

新しいジムニーを購入したオーナーの中には、先代の古いジムニーに乗っていた人も多いことはスズキも理解している。特に農業が盛んな地方では人気が高い。レジャーや冬の間の足としても利用されている。

オフロード走行もできるジムニー・シエラだが、セカンドカーとして所有されることが多い。古くても、走行距離が短めの個体も少なくない。

英国でのジムニー・シエラのランナップはシンプル。101psの1.5Lガソリンエンジンに、SZ4とSZ5のトリムグレードが用意されるだけ。試乗車は上位グレードのSZ5だ。

小さくシンプルで、無骨なジムニーのインテリアだから、少しの装備品でも充実しているように見える。シートヒーターやハイビームアシスト、デジタルラジオ、ナビ、クルーズコントロール、ブルートゥースなどはちゃんとある。レーン逸脱警報も付いている。

英国では一般的ではない装備が、パーキングセンサー。便利な機能だが、コンパクトで四角い箱型ボディだから、クルマの直前や直後の距離感はとても掴みやすい。センサーは不要な気がする。

英国では、ジムニー・シエラのオーナーの80%はSZ4より2500ポンド(35万円)高いSZ5を選んでいるという。テスト車両はSZ5の価格1万8499ポンド(259万円)に、ツートーンカラーの650ポンド(9万円)が乗っかっている。

運転するほどに魅力に惹かれる

トランスミッションは5速マニュアル。SZ5の場合、20%はATだという。最高速度は144km/hで、0-96km/h加速の時間は、AUTOCARでのテストでは11.9秒だった。

まだ何ともいえないが、第一印象としては、運転するほどにジムニー・シエラの魅力に惹かれていることは確か。近距離ばかりの走行ながら、ロンドンから南西へ伸びる高速道路は走ってみた。当たり前だけれど、96km/hでまっすぐ車線内を走れた。

原野を4輪駆動を活かして走る機会もあったが、オフロード性能もわずかに垣間見ることができた。これから時間を掛けて、たくさんのことを確認していきたい。

セカンド・オピニオン

欧州でも昨年発表された、スズキ・ジムニー・シエラはわたしもお気に入り。でも、ジムニー・シエラはあくまでもニッチなオフローダー。都市部で走らせると、エンジンは洗練性に欠き、ハンドリングは少し曖昧で、シフトフィールも良くはない。インテリアも上質とはいい難い。

レイチェル・バージェスが、毎日の長距離通勤で嫌気が差さないか少し心配ではある。でも、早速ジムニー・シエラのカギを貸して欲しいとお願いしてしまった。自分も、その魅力をもう一度味わいたいから。(ジェームス・アトウッド)

テスト車について

モデル名:スズキ・ジムニー(シエラ)1.5 SZ5 オールグリップ(英国仕様)
新車価格:1万8499ポンド(259万円)
テスト車の価格:1万9149ポンド(268万円)

オプション装備ツートーン・ペイント:650ポンド(9万円)

テストの記録燃費:10.7km/L
故障:なし
出費:なし

こんな記事も読まれています

走るファーストクラス【レクサス LM500h エグゼクティブ】
走るファーストクラス【レクサス LM500h エグゼクティブ】
グーネット
GAINER TANAX Zが岡山で待望のシェイクダウン。ドライバーふたりもポテンシャルに手ごたえ
GAINER TANAX Zが岡山で待望のシェイクダウン。ドライバーふたりもポテンシャルに手ごたえ
AUTOSPORT web
もう[ハリアー]超えやん!! 日本の[ヤリス]にも採用してよ!! 欧州仕様のエアコン機能が神すぎる
もう[ハリアー]超えやん!! 日本の[ヤリス]にも採用してよ!! 欧州仕様のエアコン機能が神すぎる
ベストカーWeb
中上貴晶が語るテストチームとのズレ。ホンダRC213Vの現状は「問題が多過ぎる。データ解析しても表れない」
中上貴晶が語るテストチームとのズレ。ホンダRC213Vの現状は「問題が多過ぎる。データ解析しても表れない」
AUTOSPORT web
いよいよランクル250の販売がスタート!どんなモデルがライバルになる?
いよいよランクル250の販売がスタート!どんなモデルがライバルになる?
グーネット
プリウスオーナーにおすすめ!鋭角のフロントガラスにフィットする内窓専用ワイパー カーメイト
プリウスオーナーにおすすめ!鋭角のフロントガラスにフィットする内窓専用ワイパー カーメイト
グーネット
ジープ 限定車「コマンダー オーバーランド」発売 ブラウン内装がプレミアムな室内空間を演出
ジープ 限定車「コマンダー オーバーランド」発売 ブラウン内装がプレミアムな室内空間を演出
グーネット
レンジローバーイヴォーク 2025年モデル受注開始!PHEV車を中心に価格を見直し
レンジローバーイヴォーク 2025年モデル受注開始!PHEV車を中心に価格を見直し
グーネット
ベテランだってチト怖い!? 鬼門!! [高速道路の合流]への恐怖心を払拭せよ!
ベテランだってチト怖い!? 鬼門!! [高速道路の合流]への恐怖心を払拭せよ!
ベストカーWeb
昭和世代じゃなくてもグッとくる!?  ちょい[イケてるクルマ]にまつわる言葉8選
昭和世代じゃなくてもグッとくる!?  ちょい[イケてるクルマ]にまつわる言葉8選
ベストカーWeb
新型エルグランド大胆妄想!! アルファードに勝つために必要な性能と価格とは?
新型エルグランド大胆妄想!! アルファードに勝つために必要な性能と価格とは?
ベストカーWeb
なぜ「SLS AMG」は比類なきスポーツカーだったのか? メルセデス・ベンツとAMGが注いだコスト度外視の革新的技術とは
なぜ「SLS AMG」は比類なきスポーツカーだったのか? メルセデス・ベンツとAMGが注いだコスト度外視の革新的技術とは
Auto Messe Web
MotoGPスペインGPプラクティス|王者バニャイヤ、レコード更新し初日最速。マルク・マルケス3番手
MotoGPスペインGPプラクティス|王者バニャイヤ、レコード更新し初日最速。マルク・マルケス3番手
motorsport.com 日本版
トヨタ・ランドクルーザーの中核モデル「250」シリーズが発売。特別仕様車のZX“First Edition”とVX“First Edition”も設定
トヨタ・ランドクルーザーの中核モデル「250」シリーズが発売。特別仕様車のZX“First Edition”とVX“First Edition”も設定
カー・アンド・ドライバー
ボルボ「XC40」仕様変更&プレミアムな装備を採用した特別限定車を発売
ボルボ「XC40」仕様変更&プレミアムな装備を採用した特別限定車を発売
グーネット
日産 新エネルギー車のコンセプトカー4車種をお披露目 北京モーターショー【動画あり】
日産 新エネルギー車のコンセプトカー4車種をお披露目 北京モーターショー【動画あり】
グーネット
ホンダ 新EVシリーズ第2弾 新型「e:NP2」「e:NS2」発表 北京モーターショー
ホンダ 新EVシリーズ第2弾 新型「e:NP2」「e:NS2」発表 北京モーターショー
グーネット
エンジン版と共有部品ナシ! ポルシェ・マカン・エレクトリックへ試乗 ちゃんと「らしい」 航続500km以上
エンジン版と共有部品ナシ! ポルシェ・マカン・エレクトリックへ試乗 ちゃんと「らしい」 航続500km以上
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

196.2218.4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

49.8580.0万円

中古車を検索
ジムニーシエラの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

196.2218.4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

49.8580.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村