「こんなのカローラじゃない!」の声
text:Kouichi Kobuna(小鮒康一)先日発表された通算12代目となる新型トヨタ・カローラ。
【画像】どれがカローラらしい? 歴代カローラ抜粋 全187枚
セダンとツーリング(ワゴン)に先駆けてハッチバックタイプのスポーツがリリースされていたこともあり、ユーザーの若返りを図って採用されたキーンルックのフロントマスクも比較的早く受け入れられるのでは……と思っていた。
が、SNSの声などを見ると、「こんなのカローラじゃない!」という声も上がっているようだ。
その意見の中心はやはり3ナンバー化したボディサイズと、アグレッシブすぎるデザインに集中しているよう。
たしかにカローラと言えば長らくは国産車のスタンダードモデルとして、コンサバティブに終始してきたモデルでもあった。
しかしその結果、ユーザーの年齢層は上昇の一途を辿り先細りしてしまったという事実がある。
それにこれまでもカローラの冠を掲げながら、「カローラらくしない」モデルも登場し続けていたではないか。
ということで、今回はそんなカローラ・シリーズの異端児たちをまとめて振り返ってみよう。
カローラらしさゼロ? 過去の「異端児」
カローラ・セレス(1992~98年)
7世代目のカローラ登場から遅れること約1年。カローラ・シリーズ初の4ドアハードトップ車として登場したのがカローラ・セレスだった。
当時、高い人気を誇っていたカリーナED/コロナEXiVの弟分というポジションも担っていたが、4ドアハードトップ人気の陰りと共に販売台数も徐々に低迷。
95年にカローラがフルモデルチェンジを果たしても機関系のアップデートのみで98年まで継続して販売が続けられ、後継車種も登場しないままに消滅した。
カローラII(1982~99年)
カローラという名前が付いていながら、実は当時のスターレットとカローラの中間に位置する車種であったターセル/コルサのプラットホームを使っていたのがカローラIIだった。
ターセル/コルサが2代目にフルモデルチェンジしたタイミングで追加されたモデルであり、4ドアセダンがメインのカローラと競合しないようにとの配慮で、ターセル/コルサに設定されていたセダンは用意されていない。
4代目のCMで使われた小沢健二の「カローラIIにのって」を記憶している人も多いのではないだろうか。
カローラ・スパシオ(1997~2007年)
カローラ・シリーズで唯一3列シートを備える(初代は2列仕様も存在)コンパクトミニバンだったのがカローラ・スパシオだ。
カローラワゴンをトールワゴン風にデフォルメしたようなエクステリアが特徴的だったが、スライドドアは備えず、3列目シートはあくまでエマージェンシー用という割り切ったモデルとなっていた。
実質的な後継車種はシエンタとなるが、こちらはスライドドアを備えてコンパクトミニバンとしてのキャラクターが強められていた。
カローラ・ルミオン(2007~2015年)
現行カローラ・セダンが3ナンバーになって大騒ぎとなっている。
日本国内において初めて3ナンバーボディとなったカローラ・シリーズはこのルミオンだった。
元々北米市場で2代目のbB(北米名サイオンxB)として登場したモデルであり、日本向けbBが別途用意されたためカローラ・シリーズの一員として販売されることとなった。
といってもカローラと無関係なモデルというわけではなく、プラットホームは日本国外向けのカローラと共通となっていた。
若いユーザーを取り込むために投入されたモデルだったが、意外にも年配のユーザーも少なくなかった。
そもそもなぜカローラ・シリーズが増えた?
このように本来のカローラとは趣の異なるカローラ・シリーズも存在していたことを振り返ってみたが、そもそもなぜこれほど多種多様なカローラと名がつく車種が生まれたのだろうか?
実はこれは販売台数ランキングに密接した理由があったのである。
カローラは1969年度から2001年度までの33年間に渡って、日本国内の販売台数ランキング第1位の座を維持し続けてきた。
実はこの数字、カローラ・セダン単体の販売台数というわけではなく、カローラ・レビンやカローラFXなど、カローラと名がつくシリーズ車種すべてをひっくるめた数字だったのである。
そのため、1位を死守するためにも多くの派生車種をリリースしていたという面も大いにあったと言えよう。
一方、昨年の2018年度はカローラ・シリーズはセダンのアクシオとワゴンのフィールダー、ハッチバックのスポーツの3種類とかなり縮小されているにもかかわらず、販売台数ランキングは8位につけている。
これはこれでカローラの底力を見せつける結果とも言えるかもしれない。
果たして新型となったカローラはどうなるのだろうか?
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