1974年製ディーノ246GT
photo:H&H Classics走行距離が1.6万kmという1974年製ディーノ246GTが、イギリスのオークションに出品される。
伊フェラーリが、1960年代から70年代にかけて製造した2シーター・クーペで、出品車両は右ハンドル車だ。
現存するディーノの中でも際立っているのは、レストレーションを受けていないオリジナルの状態を保っているということ。
1974年3月28日。このクルマは、イギリス・ウィルトシャー州のディック・ロヴェット・スペシャリスト・カーズに配車された。
1人目のオーナーであるマイケル・ハワード・ホスキソンに売却されたのは6日後だ。
雨では走らないオーナー
1976年1月10日には、新しいオーナーに売却されている。それからほとんどの時間を、この2人目のオーナーのもとで過ごしているというから驚いた。
名義変更時点の走行距離は1716マイル(2762km)。2人目のオーナーは、ロンドンと南仏でこのクルマと過ごしている。その間もコンディションを保ち、雨のなかで走行することはなかったという。
1990年3月14日。不動産業を営みカーコレクターでもあるデイビッド・ボランが入手したものの、2年を待たずに元のオーナーのもとへ戻っていった。
つまり、製造されて45年目を迎えるが、そのうち41年間を1人のオーナーのもとで過ごしているのだ。
工具、ジャッキに加えて…
この個体の経歴は、分厚いヒストリーファイルに残っている。購入申込み時のオーダーフォームを見ると、フェラーリ・ライト・レッドとブラック・ビニールというコーディネートで注文したことが確認できる。
車両の付属品も数多い。工具類、ジャッキ、初回車検から始まるメンテナンス記録が残っているのは嬉しいところ。
何よりも大事に扱われていたことを証明するのが、このクルマと過ごした時間を切り取ったような想い出の写真。撮影したオーナーのことを考えていたら、暖かい気持ちになった。
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