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ニューモデル 2019.7.22

過酷なレースにも参戦するトヨタの凄腕テストドライバーが新型スープラへ込めた思いとは

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 ニュートラルステアへ徹底的にこだわった

 レーシングカーへのコンバージョンを念頭に、一段と高いレベルで走りの味が仕上げられたという新型スープラ。その味づくりの中心的役割を担ったのが、トヨタチームのドライバーとしてニュルブルクリンク24時間耐久レースへの参戦も決定しているダーネンスさん。新型スープラの走りに込めた想いを伺った。

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 走りを磨き上げるうえで、キーマンのひとりとなったのが、トヨタモーターヨーロッパ所属のテストドライバー、ヘルフィ・ダーネンスさんだ。

「こだわったのは、ニュートラルなコーナリング特性です。ピュアスポーツカーとするために、レーシングカートのような切れ味の鋭さが必要でした」

 開発初期には、レース参戦についての具体的な議論はなかったが、レーシングカーにコンバージョンすることを念頭に開発を行ったという。

「議論はなかったものの、開発チーム内にも、レースに参戦するという意志がムードとしてありました。実際、GRスープラは発売後も熟成を深めるために、ニュルブルクリンク24時間耐久レースの参戦が決定しています。グリップの高いスリックタイヤや強力なブレーキを備え、一段とパフォーマンスが上がった状態でドライブするので、市販車の枠を超えた限界領域で運転できます。その結果、それまで見えてこなかった課題が見つけられます。それをつぶすことでレベルアップも容易です。限界領域での高い性能を一般ユーザーが直接感じ取るのは難しいと思いますが、素性のよさや奥深さは、日常的なドライブでもしっかり感じ取っていただけるはずです」

 直6エンジンはスープラの象徴と言える要素だが、ダーネンスさんの個人的な好みは4気筒モデルのSZ-Rだという。

「どちらも同じ方向性の味付けを目指しましたが、重量の軽い4気筒は俊敏な旋回性能が一段と際立っていて、エンジン自体も一般的な4気筒では考えられないほどスムースです。4気筒を下位グレードと考えているのなら、予想はうれしい意味で裏切られると思います」

 ちなみにダーネンスさんは、トヨタの伝説的マスタードライバー故・成瀬 弘さんの直弟子でもある。走りについてもトヨタのDNAを受け継ぐ新型スープラ。レースでの活躍にも期待大だ。

 スープラの“味”を作り上げるとは!? 人間の感性との合致がカギに

 言わずと知れたトヨタ自動車社長である豊田章男さんは、ことあるごとに「味づくり」という言葉を用いてクルマづくりの本質的な部分を表現している。では、トヨタの「味づくり」とはどのようなもので、新しいスープラではどのような味を目指したのだろうか。新型スープラのニュルブルクリンク耐久レース(VLN)参戦においてドライバーも務める、凄腕技能養成部・主査の矢吹 久さんに話を聞いた。

──凄腕技能養成部では、トヨタ車における「味づくり」の基本を理解したエンジニアやテストドライバーを育成することも大きなテーマだと聞いています。当然、矢吹さんはトヨタとしての味づくりについて熟知していて、判断する立場にあるわけです。そのうえで、新型スープラに対して矢吹さんが、どのように関わってきたのか教えてください。

 矢吹:新型スープラについては、ご存じのように欧州を中心に開発されています。しかも一般道を積極的に走って、作り込んでいるのが特徴と言えます。その開発過程において自分としてはポイント、ポイントにおいて確認するというカタチで関わってきました。欧州で中心となってくれたのはTME(トヨタモーターヨーロッパ)のへルフィ・ダーネンスです。彼がTMEに入社したのは1999年ですが、そのちょっと前のタイミングで自分自身がTMEに出向していたこともあり、20年近い付き合いがあります。彼は、トヨタの味づくりを担うのに十分信頼できる人物です。

──新型スープラの開発において、欧州主体になったことはトヨタの味づくりを実現することに対して特別な難しさがあったようにも思います。へルフィさんについては別にインタビューしていますが、矢吹さんが信頼できると考える理由を教えてください。

 矢吹:自分がTMEから日本に帰ってきたあとも、毎年ヨーロッパでトレンドを知るための試乗会のようなものを実施していました。日本だけでなく欧米の拠点からもテストドライバーが集結して、いろいろとディスカッションする場です。当然、TMEからへルフィも参加しています。そうした場で、お互いの感性であったり評価であったりをすり合わせしてきています。冬場には北海道のテストコースに来てもらって乗り合わせをすることもあります。そうして長くコミュニケーションしてきましたから、へルフィがそう言うならこういうことだろうと理解もできます。

──阿吽の呼吸でコミュニケーションがとれる仲というわけですね。

 矢吹:その通りです。またへルフィは腕も立ちます。日本から若手をニュルブルクリンクに連れていってトレーニングするときにも彼には力になってもらっていますし、VLNにも一緒に参戦しています。世界的に見て、トヨタのテストドライバーのなかで、ニュルブルクリンクを自由に走ることができるのは4人しかいません。そのうちのひとりがヘルフィなのです。

──矢吹さんもその4人に含まれているわけですが、なるほどへルフィさんがトヨタの味づくりを担うのに十分な人物であることが伝わってきます。欧州メインで味づくりをしたといっても、トヨタの味がしっかりと反映されているわけですね。さて、走りの味づくりというのは地域やメーカーによって変わってくるのでしょうか。

 矢吹:基本的な部分では、行き着くところはどのメーカーでも同じではないかと思っています。われわれが重視しているポイントをわかりやすく言うと、真っ直ぐ走ること、思い通りに曲がれること、狙い通りの速度調整ができることになります。ほかにも多くのチェックポイントはありますが、基本についてはメーカーが違うからといって意見が食い違うということはないと考えます。

 決して4気筒モデルは廉価グレードではない!

──では、スープラの開発について伺います。そうした基本的な味つけに関わる素性については、どのような印象を持たれましたか。

 矢吹:すごくいい素性の持ち主だと感じました。前後50対50という優れた重量配分やホイールベースの短さ、トレッドの広さなどスポーツカーにふさわしいディメンションを持っていましたから。

──逆に、ホイールベースの短さは直進安定性に対してネガになるような印象もあります。

 矢吹:そこに関しては、最初から空力によって安定性が確保されていましたから、まったく悪い印象はありませんでした。いいクルマの基本というのは、誰しも同じものを考えるのだなあと感じたものです。優れた素性でしたから「人間の感性」にどう合致させていくかをじっくりと煮詰めることができたのです。その味づくりにおける基本的な考え方は、安心安全でドライバーを裏切らない、というものでした。

──たとえばディファレンシャルにしても、電子制御の「アクティブディファレンシャル」を採用しています。セッティングの範囲が広いだけにやれることも多く、熟成には苦労もあったかと思いますが、いかがでしたか。

 矢吹:アクティブディファレンシャルは効果抜群で、とくにコーナー立ち上がりでのトラクション確保には大いに役立っています。たしかに、こうした味付けでは細かいニュアンスが必要となるのでコミュニケーションが難しい部分もあるのでしょうが、スープラのセットアップについてはそうした問題は感じませんでした。というのも、ヨーロッパで味づくりを担ってくれたヘルフィはベルギー人ですが、フランス語やドイツ語が堪能で、それぞれの言語でトヨタの味づくりのニュアンスを表現できるからです。

──つまり新型スープラの味づくりにおいて、ヘルフィさんがキーマンとなったことはプロジェクトを成功させるための重要なピースだったというわけですね。ところで、矢吹さんにとってのスープラとはどんなクルマなのか教えてください。

 矢吹:先代の80スープラはかなりの時間をいっしょに過ごしましたが、とにかく人間の感性に合う楽しさがありました。ですから新型の90スープラでも楽しさとスポーツ性を重視して味づくりを進めました。

──トヨタのスポーツカーとして86とスープラについては、どのようなキャラクター分けをしているのでしょうか。

 矢吹:飛行機に例えると、86は練習機で、スープラは戦闘機です。そのくらい走りのレベルを上げています。例えばブレーキについて、スープラでは2ピースタイプを採用していますが、これはサーキットで走り込んでも音を上げない丈夫なブレーキシステムを目指したからです。

──最後に、矢吹さんのおすすめグレードを教えてください。

 矢吹:スープラと言えば、やはり直列6気筒エンジンというイメージが強いでしょうから「RZ」グレードが気になっていると思います。もちろん「RZ」もいいクルマですが、だからといって4気筒が廉価グレードという位置付けではありません。とくに「SZ-R」は走りにおいてはトップグレードと同等に仕上げています。新型スープラでは、4気筒の走りにも注目していただきたいと思います。

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