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新型レンジローバー イヴォーク初試乗! ふたたびセンセーションを巻き起こすか

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新型レンジローバー イヴォーク初試乗! ふたたびセンセーションを巻き起こすか

LAND ROVER RANGE ROVER EVOQUE

ランドローバー レンジローバー イヴォーク

新型レンジローバー イヴォーク初試乗! ふたたびセンセーションを巻き起こすか

奔放な初代から大人な2代目へ

個人的にはレンジローバー・イヴォークほど“自由”なSUVは他に類例を見ないと思っていた。3ドアやコンバーチブルを揃えたSUVなんて、いまだかつてイヴォーク以外にあっただろうか。いずれも商業的には残念ながら成功したとは言えなかったものの、SUVの可能性を示唆したというか、世間一般が想起するSUVのイメージや概念をぶっ壊すほどの自由奔放で元気な商品企画がイヴォークの最大の魅力だった。だから2代目となった新型を目の当たりした第一印象は、「ヴェラールみたい」というよりも「なんだか大人っぽくなっちゃったな」だった。

最新プラットフォームをいち早く採用

イヴォークはエンジンを横置きにするレイアウトを採用している。同社が最初にこのレイアウトを導入したのは、いまはなきフリーランダーの初代(1997年)で、ローバー製のV6を横置きに搭載していた。このエンジンレイアウトは、フォード傘下に収まった後にデビューした2代目(2006年)にも継承され、フォードやボルボとプラットフォームを共有した。

初代イヴォークもまた横置きのプラットフォーム(D8)で2011年に登場、2014年にはこのプラットフォームを使ったフリーランダー2の事実上の後継車となるディスカバリー・スポーツが誕生する。そして2017年には同じプラットフォームを採用したジャガーEペイスがお披露目された。

つまり、ディスカバリー・スポーツとイヴォークとEペイスはプラットフォームを共有する仲だったが、新型イヴォークはプラットフォームを一新、他の2台よりも先に新世代へと生まれ変わった。初代イヴォークなどが使っていたD8はフォード時代のプラットフォームを改良したもので設計年次が古く、今後避けることのできない電動化への対応が難しいため、エンジン横置き用のまったく新しいプラットフォーム(PTA=プレミアム・トランスバース・アーキテクチャ)が新設されたというわけである。

“マイルドハイブリッド”は同社初

PTAは、D8からの流用部品をドアヒンジのみにとどめるというまったく新しい設計である。48Vのバッテリーと補機類などを収めるスペースが床下に確保されていて、新型イヴォークのトップモデルとなるP300はそこにバッテリーとコンバータを置いたマイルドハイブリッド仕様となる。ジャガー/ランドローバーとして初めてとなるこのマイルドハイブリッドは、ベルト駆動の大型スターター(=モーター兼ジェネレーター)を備えており、モーターのみでのEV走行はできないものの、エンジンパワーをアシストしたり回生ブレーキによる充電も行う。機構としてはメルセデス・ベンツのBSG(ベルトドリブン・スターター・ジェネレーター)とよく似ている。

この他に、2リッターの直列4気筒ターボエンジンが2種類(P200/P250)、ディーゼルターボエンジンが1種類(D180)の計4種類のパワートレインが用意されている。組み合わされるトランスミッションはすべてZF製の9速オートマチックのみとなる。駆動形式は4WDだけだが、アクティブ・ドライブトレインとエフィシェント・ドライブトレインと呼ばれる2種類の機構を用意する。アクティブ・ドライブトレインはP300のみに与えられたシステムで、通常の前後トルク配分は50:50。状況に応じて前輪のみや後輪左右に100%配分する。いっぽうのエフィシェント・ドライブトレインは60:40をデフォルトとし、低負荷時には100:0の前輪駆動として燃費の向上を図る。

ランドローバー流の様式美

ヴェラールに似ていると言われる所以は、主にサイドビューにあるのだろう。Aピラーの直後からリヤハッチまで直線的に、かつなだらかにさがっていくルーフラインと、それに呼応して尻つぼみになっていくサイドウインドウは両車とも同じセオリーに基づいている。ただし、ボディサイズはヴェラールのほうがずっと大きく、440mm長く30mm幅広く35mm高く、ホイールベースは195mm長い。

イヴォークのほうが小さいとはいえ、1900mmの全幅は日本の道路事情だと気を遣う。幸いなのは、運転席からの前方視界が極めて良好なことだ。ランドローバーのモデルはいずれもオフロードの走破性の優先順位が高く、ボンネットをいたずらに大きくスラントさせていないので、車両の前部両端がきちんと確認できるようになっている。これなら物理的に入っていけない狭い道でも、入る前に目視できるから安心である。

まるで「透けるボンネット」

オフロードの走破性は相変わらず。手を抜いていないどころかさらに進化している。エアサスペンションは付いていないので車高調整はできないものの、それでもイヴォークの渡河水深は従来型より100mm増えて600mmだという。ちなみに身長172cmの自分の場合、地面から膝までがちょうど500mmだったから、膝上100mmまでの深さなら水に浸かっても大丈夫ということになる。車両ならちょうどホイールが隠れるくらいの水深だ。こういう「いざという時」はたいていの場合、まずやってくることはないのだけれど、そこまでの性能をこのクルマは持っているという事実は絶対的安心感につながる。

加えてイヴォークには“クリアサイトグラウンドビュー”と呼ばれる機能が備わった。これは360度アングルのサラウンドカメラの映像を合成することで、前輪周辺の路面状況が確認できるというもの。センターディスプレイに映し出される映像は、まるでボンネットを透かしてその先が見えているようだった。これならいちいちクルマから降りて、直前の路面状況をチェックする必要がなくなる。老舗の4WDメーカーならではのデバイスである。

潔すぎるフェイシア

エンジンを始動する前の室内にはずいぶんとすっきりした光景が広がっている。メーターパネルとセンターコンソールに配置されたふたつの液晶モニターはブラックアウトしているし、機械式スイッチはダイヤルタイプが3つ、シフトレバーの前にレイアウトされているだけだからだ。センターコンソールの上下ふたつの液晶はタッチパネルになっていて、ダイヤル式スイッチは呼び出された画面によって用途が変化する。

確かに見た目には相当整然としているが、タッチパネル式は事実上、ブラインドタッチができない。その都度画面を目視して、表示されているグラフィックを確認した後に操作しなくてはならないからだ。オフロード4WDの老舗メーカーなら、せめてご自慢のテレインレスポンス2くらいは機械式スイッチにしてブラインドタッチができるようにしておいてもよかったのではないかとも思うけれど、いまでは「AUTO」のモードがあるので、それを選んでおけばテレインレスポンス2をいじる頻度が格段に減ると踏んだ結果なのかもしれない。

やや気になったのは・・・

走る/曲がる/止まるはいずれも従来型よりずっと洗練されたレベルになっていた。特に印象的だったのは、ばね上の無駄な動きが少なくなったこと。加減速によるピッチング方向の動きや操舵によるロール方向の動きはいずれもドライバーの入力に対して想定内の反応だった。荷重移動は量も速度も適正かつスムーズで、回頭性も悪くない。ジャガーEペイスほどステアリングゲインが高くないからナーバスになる必要もなく、ステアリング操作に対してリニアに車体が向きを変えてくれる。重心が高くばね上のマスも大きいSUVにしては前後のロールバランスも整っていた。

少し気になったのは乗り心地である。従来型は“レンジローバー”を名乗りながらも、実際にはお兄さんのレンジローバーのようなしっとりとした乗り心地からはかなり遠いところにいた。エアサスペンションでないことを考慮しても、もう少しマイルドでもいいのではと思っていたので、今回は個人的に期待していたのである。大きく改善される要因はあった。新しいプラットフォームになってホイールベースが20mm伸びたからだ。

ちなみに旧型のプラットフォームではジャガーEペイスのほうが20mm長かった。ひと足先に新しいプラットフォームを使ったイヴォークはこれでようやく、まだ古いプラットフォームのままのEペイスと同値のホイールベースとなったのである。従来型よりはよくなったものの、場面によっては依然として路面からの入力が身体まで伝わってくることがあって、フラットライドとまではいかない乗り心地だった。エアサスを使わずに高いレベルのオフロード走破性を確保しようとすれば、これくらいが妥協点なのかもしれない。もちろん、長距離で疲れるとかすぐに不快になる類の乗り心地ではないので、人によっては(期待値が高すぎた)自分ほど気にならないと思われる。

“買い”のグレードはどれか

4種類あるパワートレインの中から今回試したのは、マイルドハイブリッドのP300とガソリンエンジンのP250の2種類。といっても3種類あるガソリンエンジンはすべてまったく同じ2リッターの直列4気筒ターボで、マネージメントシステムのソフトウェアによって出力/トルク特性の差別化を図っている。もちろんP300には大型のスタータージェネレーターも装備されている。

249ps/365Nmを発生するP250のパワーは、日本の道路事情では十分過ぎるほどで、ストレスはまったく感じない。1500rpmから4500rpmまでの幅広い範囲で最大トルクを維持する設定とトランスミッションとのマッチングが功を奏している。スロットルペダルをどの速度域で踏んでも瞬時に期待通りの加速が得られた。

P300のマイルドハイブリッドは主に発進時にスタータージェネレーターがモーターとしての役割を果たしてエンジンをサポートする。それは体感できるものの決して強烈な手助けではない。300ps/400Nmのパワーは全域においてP250よりも力強くなっている。ただ、思ったほどの差を感じなかったのは、110kg以上の車両重量に喰われてしまっているからだろう。燃費はおそらく、P250と比べて+10~15%くらいだと予測できるので、燃費とパワーと価格を考えるとイヴォークはディーゼルのD180がベストバランスかもしれない。

従来型の自由でカジュアルな雰囲気からちょっと大人っぽくなったイヴォークは、その中身もしっかり成熟していた。

REPORT/渡辺慎太郎(Shintaro WATANABE)

PHOTO/田村 弥(Wataru TAMURA)

【SPECIFICATIONS】

ランドローバー レンジローバー イヴォーク R-DYNAMIC HSE P300 MHEV

ボディサイズ:全長4380 全幅1905 全高1650mm

ホイールベース:2680mm

トレッド:前1625 後1631mm

車両重量:1950kg

エンジン:直列4気筒DOHCターボ

総排気量:1995cc

最高出力:221kW(300ps)/5500 – 6000rpm

最大トルク:400Nm/2000 – 4500rpm

トランスミッション:9速AT

駆動方式:AWD

サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後マルチリンク

ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク

キャリパー:前4ポッド対向アルミモノブロック 後アルミフローティング式

タイヤサイズ:前後245/45R21

WLTC燃費:(申請中)

車両本体価格:801万円(税込)

【車両本体価格(税込)】

・2リッター直4ディーゼル搭載モデル

イヴォーク D180:523万円
イヴォーク S D180:591万円
イヴォーク SE D180:667万円
イヴォーク R-DYNAMIC S D180:642万円
イヴォーク R-DYNAMIC SE D180:700万円
イヴォーク FIRST EDITION D180:821万円


・2.0リッター直4ガソリン搭載モデル

イヴォーク P200:461万円
イヴォーク S P200:528万円
イヴォーク SE P200:605万円


イヴォーク SE P250:646万円
イヴォーク R-DYNAMIC S P250:602万円
イヴォーク R-DYNAMIC SE P250:679万円
イヴォーク R-DYNAMIC HSE P250:747万円
イヴォーク FIRST EDITION P250:799万円


イヴォーク R-DYNAMIC S P300 MHEV:656万円
イヴォーク R-DYNAMIC SE P300 MHEV:733万円
イヴォーク R-DYNAMIC HSE P300 MHEV:801万円


【問い合わせ】

ランドローバーコール

TEL 0120-18-5568

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