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ニューモデル 2019.7.6

時代を先取ったアウディA2 20年目の再会 いまだ新鮮さは失わず

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もくじ

ー 220年の歳月 大胆な試み
ー アウディの声明 「3リッターカー」
ー 優れたスペース効率 ミニマリスト
ー エンジンだけが時代遅れ 比類なき先進性
ー 番外編1:AI: MEコンセプト
ー 番外編2:登場が早すぎた? 先進のモデルたち

    アウディAI:ME(エイミー)コンセプト、A3サイズのコンパクトEV示唆

20年の歳月 大胆な試み

イーストロンドン一帯が単なる空き地に過ぎなかったころのことを語れるほどの年齢ではないが、グリニッジ半島がセメントとクレーンで一杯だったころのことは覚えている。当時、2000年1月の正式オープンに向け、ミレニアムドームの建設が突貫工事で進んでいたちょうど20年ほど前に、この場所で写真撮影を行ったのだ。

当時、ドームはまるで巨大なサーカステントのように見えたが、まさにそのとおりの存在だった。荒涼とした埋め立て地にある工業団地の真ん中に屹立していたこのドームだったが、いまやO2アリーナへと名を変えており、その周囲は、A2と同じアングルでドームを撮影できるポイントを探すのに、カメラマンが苦労するほど徹底的に開発が行われている。

この時代を先取りしたスーパーミニがアウディから登場してちょうど20年であることを考えれば、A2こそO2に相応しい存在と言えるだろう。

時代に先行したモデルを取り上げようと決めたとき、多くの素晴らしい候補が存在したが、そのなかでも勝者は明らかだった。


1999年当時、A2はあまりにも斬新なモデルであり、いまだに世界はこのクルマに追いつこうとしているだけのように感じられるほどだ。今年の上海モーターショーで、アウディは同じようなボディサイズを持つAI:MEを公開しているが、このクルマがA2よりも魅力的だとは決して思えない。

だが、ドームと同じくA2も失敗作だとされている。多額のコストを掛けて準備したにもかかわらず、ミレニアム・エクスペリエンスと銘打たれた展覧会にひとびとが殺到することはなく、来客数が目標の半分にも届かないまま、このイベントは2000年末をもって巨額の赤字を抱えた終了し、その後ドームは一旦閉鎖の憂き目に会っているのだ。

2005年まで販売が継続されたことで、A2はドームよりも長命を保ったものの、その高額なプライスタグと足りない実用性が足枷となり、セールスは低調なままだった。

それでも、A2は非常に大胆な試みだった。1997年、アウディからアルミニウム製ボディを持つスーパーミニのコンセプトが発表されても、実際に量産されると考えたものはほとんどいなかった。

アウディの声明 「3リッターカー」

アウディがこのクラスにモデルを投入したことはなく、初代A3でさえ当時は特異な存在だと見做されていたのであり、さらに、アルミニウム製ボディを採用していたのは、モデルラインナップの頂点に君臨するA8だけだった。にもかかわらず、彼らはアルミニウム製スペースを持つA2の量産化を決めたのだ。

A2は単なるクルマに留まらず、ある意味、アウディからの声明だった。プレミアムスーパーミニという概念が生まれる以前(初代BMW製ミニが登場する2年前のことだ)、アウディは、小型で比較的手ごろな価格のモデルだからと言って、決して、片手間に作り出されたモデルである必要はないということを証明しようとしたのだ。

だが、A2は、最小限の燃料で、4人の乗員をいかに移動させるかという、2019年の現在にも通用する問いへの回答でもあった。

900kg以下という軽量ボディは、高効率な小排気量エンジンの採用を可能にしており、英国上陸当時、ラインナップされていたのは、どちらも同じ75psを発揮し、1.4ℓという同じ排気量を持つ、4気筒ガソリンか、3気筒TDIディーゼルエンジンだった。


その後、より高価なプライスタグを掲げた、1.6ℓ直噴FSIガソリンエンジンも追加投入されているが、欧州市場では、非常に優れた燃費性能を誇る1.2 TDIエンジンがラインナップされており、33.3km/ℓという燃費によって、量産モデルとしては初めて、100kmを3ℓで走破可能な「3リッターカー」の称号を得ることにも成功している。

多くが知る存在となったことで、発売当時のA2が纏っていたデザインの独創性というものは、ほとんど失われてしまっており、アウディのヘリテージコレクションから借り出した、まるで新車のような、この走行距離わずか2万8000マイルの車両でさえ、英国の路上でひとびとの注目を集めることはない。

だが、個体数は減り続けており、そのペースも早まっていることを考えれば、A2にはふたたび新鮮味が与えられることになるかも知れず、個人的には近い将来クラシックモデルになる可能性のある候補として、このクルマは非常に有望な存在だと評価している。

優れたスペース効率 ミニマリスト

依然、A2は史上最もスペース効率に優れた1台であり、そのパッケージングの見事さは、オリジナルミニにも引けをとらない。

トール&ナローなこのクルマのボディデザインは、空気抵抗の最小化と、十分なインテリアスペースの双方を実現するために採用されたものであり、完全な4人乗りモデルとして、A2は4人の大人にも十分なスペースを確保しつつも、その全長はほとんどすべての現代のスーパーミニよりも短く、新型A1を200mmも下回っていながら、より広いキャビンスペースを確保することに成功している。

そのシンプルな機能主義は装備にも反映されており、アウディではA2のオーナーに対して、オプションに関してもこのクルマのミニマリストぶりを理解するよう求めていた。

このSEグレードには、いずれもスタンダードモデルではオプション扱いのエアーコンディショナーとシングルCDプレイヤーが装備されていたが、すべてがこの調子だ。


さらに、A2は英国で販売されたアウディとしては、マニュアル式のリアウインドウを持つ最後のモデルでもあった。

だが、このクルマのドライビングフィールは、そうしたシンプルさとはまったく対照的な、驚くほど現代的なものだ。A2は依然として、退屈なモデルだった初代メルセデスAクラスでは決して味わうことの出来なかった、軽量で機敏、そして反応に優れたフィールを感じさせる。

新車当時の記憶どおり、低速での乗り心地は、ゴツゴツとしたものだったが、グリニッジに多く見られる減速帯の上を通過しても、キャビンにまで届くようなボディの軋み音は皆無だ。

それでも、このクルマのホームであるミッドランドからロンドンまで、高速道路を使った速いペースでの長距離移動では、このベイビーアウディは落ち着きを感じさせ、その高いシートポジションは、まるでクロスオーバーのような視界を確保するとともに、その洗練性もスーパーミニとしては十分なレベルだった。

エンジンだけが時代遅れ 比類なき先進性

だが、このクルマが積む1.4ℓTDIエンジンの古さだけは如何ともし難く、その存在意義は、過去20年でどれほどディーゼルテクノロジーが進歩したかを示すことにあるようだ。騒々しく洗練に欠け、アイドリングではキャビンに騒音と振動が容赦なく押し寄せるとともに、アクセルを深く踏み込まない限り、十分な力強さを発揮することもない。

パワーバンドは、2000rpmをやや下回る辺りから、4000rpmを越えた辺りまでと非常に狭く、ストロークの長い5速マニュアルギアボックスには引っ掛かりも感じられる。

それでも、確かに効率的なモデルではあり、わずか75psのクルマとは思えない活気を感じさせつつ、特に意識しなくとも、20km/ℓに近い燃費性能を発揮することも可能だろう。

全体的に見れば、登場から20年以上が経過しようとしているいまもA2は、その新鮮さを失っていない。


アウディのトップは、A2が収益性を確保したことはなく、損失を抑える前にモデルライフを終えることになったと認めている。

さらに、はるかにつまらないAクラスのほうが、セールスでは大きくリードしており、欧州市場における売り上げ比率はAクラスの4台に対して、A2はわずか1台というものだった。

最近では、修理の難しいアルミニウム骨格のせいで、ささいなダメージでも廃車になるケースも増えているようだ。

それでも、A2は小型モデルでも先進的で、違った存在になれるということを証明したのであり、残念なのは、現在のスーパーミニのセグメントに、このクルマほどの先進性を備えたモデルが見当たらないということだ。

番外編1:AI: MEコンセプト

アウディではA2とAI:MEコンセプトとの関連を明らかにしていないが、この2台の共通点は明らかだといっても良いだろう。


いまから10年後の都市交通をイメージしたこのEVコンセプトは、A2の背が高く、「キャブフォーワード」なデザインを踏襲している。AI:MEは、A2や、そのプレビューとして1997年に公開された、愛らしいAL2コンセプトと比べ、細かな点にまでこだわったデザインを纏ってはいるものの、両者にはハッキリとした類似点も見て取ることができる。つまり、小さなボディに大きなキャビンというものだ。

公式には認められてはいないものの、AI:MEの量産バージョンは、登場間近のMEB電動プラットフォームがベースになるのではないかと言われている。今度は収益性を確保することができるのかどうか、注目してみよう。

番外編2:登場が早すぎた? 先進のモデルたち

マトラ・ランチョ(1977–1984)


完全なライフスタイル・クロスオーバーというわけではないが、時代に先立つこと30年、ランチョはほぼ同じやり方を採用していた。シムカのコンポーネントをベースにした純粋な前輪駆動モデルであり、オフロード性能よりもビジュアル的な力強さを優先したランチョでは、フロントウインチまで注文することができた。

GM EV1(1996–1999)


リース期間終了後、すべての車両を回収してスクラップにしたことで有名になったGM初のEVだが、当時のバッテリー技術と、全米のほとんどでガソリンが1ガロンあたりわずか1ドルで手に入ることを考えれば、その決断は正しかったのだろう。

スマート・フォーツー(1998-現行)


このクルマを選んだことには異論もあるだろうが、20年間も販売を続けているにもかかわらず、このクラスのクルマとしては常にコストを掛け過ぎたフォーツーは、あまり問われることのない質問への答えを示すことができないでいるようだ。

ジーリーのほうが、次の時代を上手くリードするんじゃないだろうか?

ローバー・ストリートワイズ(2003–2005)


バカにしてはいけない。ローバー最後の計画から生み出されたうちの1台でありながら、ローバー25のオフロードバージョンとも言えるこのクルマは、スーパーミニの世界におけるSUV風のスタイリングというものを、はるかに時代に先駆けて採用していたのだ。

見方によっては、非常に魅力的に見えなくもない。

ホンダCR-Z(2010–2016)


ハイブリッドに対する冷めた見方に対するホンダからの回答は、真っ当なファン・トゥ・ドライブを備えたスマートなクーペモデルというものだった。

見事なアイデアに裏打ちされ、ホンダらしくマニュアルギアボックスを組み合わせてもいたが、実際に出来上がったのは、でっぷりとして、物足りない動力性能のモデルだった。

シボレー・ボルト/ヴォクゾール・アンペラ(2012–2015)


いまだに多くの自動車メーカーが、自社初のPHEVを送り出そうとしているが、この中味はまったく同じ2台が登場したのは7年も前のことだった。

純粋な電動モデルとして、プリウスよりもよほどEVらしかったが、はるかに高額なプライスタグを掲げたこの2台を、時代に先駆けて購入しようというドライバーはほとんどいなかった。

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(AUTOCAR JAPAN 編集部)

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