現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > アルピナ・マジック、SUVでも成立? ディーゼル「XD3」国内試乗

ここから本文です

アルピナ・マジック、SUVでも成立? ディーゼル「XD3」国内試乗

掲載 更新
アルピナ・マジック、SUVでも成立? ディーゼル「XD3」国内試乗

もくじ

ー SUVでもライバルは一緒
ー アルピナとMはどこが違うのか?
ー 背が高くともアルピナなのか?
ー ディーゼルでもアルピナなのか?
ー その真価はBMW比にあらず
ー 新型アルピナXD3は買いか?
ー アルピナXD3のスペック

アルピナXD3国内試乗 すべての画像をみる

SUVでもライバルは一緒

アルピナはBMWをベースに独自の高性能車を生産する自動車メーカーとして広く知られている。だが彼らは全てのBMWモデルをアルピナ化しているわけではなく、開発陣が可能性を感じたモデルだけを料理している。

だから現在までのところ、SUVモデルのアルピナはX3ベースのXD3と、X4ベースのXD4というミドルクラスの2モデルに限られている。

昨年のジュネーブショーでデビューした新型アルピナXD3は2代目ということになる。ちょっとややこしいのだけれど、初代XD3は2代目X3(F25)ベースで、今回は3代目X3(G01)がベースとなる。

XD3が属するミドルサイズのクロスオーバーSUVはまさに激戦区なのだが、その中にあってアルピナはもちろん最高レベルを標榜している。直接的なライバルとなるのは本家BMWのM40dに違いない。

なにしろ同じシャシー、同じシリンダーブロックのディーゼル・ユニット等々だから「ライバルじゃない」という方がムリだ。まあ以前からアルピナはBMWのMとの違いをウリにしているので、今回もまた、という展開ではあるのだが。

アルピナとMはどこが違うのか?

アルピナの核心とも言えるテーマに触れる前に、まずはチューナーとメーカーの違いから。

アルピナが独立した自動車メーカーであるという根拠はBMWとは違う独自の車体番号を持っているという部分に起因している。だがそれはカスタマーにとっての根拠やベネフィットにならない。

「性能的な穴がない」というのは大雑把な表現なのだけれど、それこそアルピナがチューナーではなくメーカーであることの証左だと筆者は解釈している。

これまで様々なアルピナをドライブしてきたが、その全てに共通しているのは「使い手にガマンを強いることがない」という事実だ。チューニングカーは突出した性能を得る替わりに何かを失うというトレードオフの関係がついて回る。

だがアルピナはエンジンパワーに比例してアシも締め上げるけれど、乗り心地も犠牲にしない。不可能を可能にしているからこそ「アルピナ・マジック」というキャッチコピーが出回るのだ。この事実はそのままBMW Mの話にも通じている。

というのも、BMW本体(性能的に穏やかなモデル)があるからこそ、Mはちょっとした冒険ができる。つまりMはチューニングカー的な分野に足を踏み入れられるのだ。

その立ち位置の違いが「徹底的に纏めるアルピナ」と「飛び道具のM」というスタンスの違いに表れている。

背が高くともアルピナなのか?

クルマの主役がセダンからSUVに変わろうとしている(もう変わった?)昨今においても、アルピナの本懐はセダン(彼らはリムジンと呼ぶ)にあると信じて疑わないファナティックは多い。

ディーゼルが市民権を得てもなおアルピナといえば官能的ガソリン・ユニット! 筆者もそんな感覚の持ち主である。

けれど今回、新型XD3に乗り込み、ヴァーネスカ・レザーが奢られたカチッとしたシートと、しっとりと柔らかいラヴァリナ・レザー張りのステアリングを握ってしまったら、もう四の五の言わずにアルピナを楽しもう! という気にさせられる。

ラヴァリナ・レザーはセミアニリン革の一種だが、自動車世界にこれ以上の手触りがあるだろうか! という質感である。

新型XD3は走りはじめから特異な感触を示す。M40d比で言えばタイヤのコンタクトはしなやかだが、かなり強くロールが抑え込まれ腰高感の払拭に成功している。

試乗車は標準の20インチからオプションの22インチ・ホイールに変わっているので直進性が強く、それがツアラー的な個性を生み出している。

車検証上の車重は2120kgもあるが、それでも身のこなしは極めて軽快。その鍵はアシのセッティングというより、むしろエンジンにある。

ディーゼルでもアルピナなのか?

3ℓストレート6ビ・ターボ・ディーゼルの特筆すべき点は4000から4600rpmで発揮する333psの最高出力ではなく、1750rpmから2500rpm過ぎまで続く71.4kg-mのトルクの方である。

ガソリンならば5ℓ級相当のビッグトルクによって、車重が3割減ほどに感じられる。アルピナがこのミドルクラスSUVにディーゼルモデルしか用意しなかった狙いも「車重相殺」にあるのだろう。

最近のアルピナの得意技である低圧と高圧という2基のターボチャージャーの直列配置による過給も極めて滑らかなので、刺激的な加速感よりもクルマ全体のレベルの底上げに効いている。

となれば、このアルピナ・ディーゼルが1速ずつ高回転まで引っ張って楽しむほどの官能性を秘めていなかったとしても誰も文句は言えないだろう。

ZFの8速ATはBMWの常套だが、一方4駆のセッティングは積極的にフロントにも駆動トルクをもたらす性格で、高速安定性は極めて高い。

このクルマは週末にワインディングを楽しむより、都市部の本社と地方の工場を毎日のように往復しなければならないひとのための上質な超特急なのである。

その真価はBMW比にあらず

アルピナに関して「ノーマルのBMW比でいくら高い」というような記述を見かけることがあるが、それはアルピナの世界観にまで踏み込めていないひとの考えである。

飛び切り速くて、リニアなハンドリングを実現し、さらに上質なインテリアと厳かな乗り心地を備えた欲張りなクルマにそれなりのプライスタグが付くのは当然だ。

今回はXD3をそれほど長くドライブできたわけではないが、これまでの歴代「リムジン」に通じるテイストをしっかりと表現できていたことは確認できた。

ひとつだけ気になったのは22インチのオプション・タイヤ&ホイールで、これはタイトな山道で大きくステアリングを切った時などに少しだけハンドリングがゴワつく原因になっていた。

普段使いとしてXD3を選ぶなら、標準の20インチこそアルピナが推す最適解なのではないだろうか?

新型アルピナXD3は買いか?

もちろん買いである。

資金的な問題がクリアできるのであれば。ちなみに筆者の周りでアルピナ・マジックを興奮して語るひとは少なくないが、例えばオーナーであっても「期待したほどではなかった」という意見は聞いたことがない。

そして中古車市場を見渡すと、けっこうなマイレッジを稼いだ個体が目立つ。

そんな事実にも、ドイツの小メーカーが作る作品の、見た目以上の真価が現れていると思う。

アルピナXD3のスペック

価格:1094万円(税込 オプションなし)
全長×全幅×全高:4720×1895×1675mm
最高速度:254km/h
0-100km/h加速:-
燃料消費率:12.6km/ℓ
CO2排出量:208g/km
車両重量:2090kg
パワートレイン:直列6気筒2992ccディーゼル・ツインターボ
使用燃料:軽油
最高出力:333ps/4000-4600rpm
最大トルク:71.4kg-m/1750-2500rpm
ギアボックス:8速オートマティック

関連タグ

こんな記事も読まれています

走るファーストクラス【レクサス LM500h エグゼクティブ】
走るファーストクラス【レクサス LM500h エグゼクティブ】
グーネット
GAINER TANAX Zが岡山で待望のシェイクダウン。ドライバーふたりもポテンシャルに手ごたえ
GAINER TANAX Zが岡山で待望のシェイクダウン。ドライバーふたりもポテンシャルに手ごたえ
AUTOSPORT web
もう[ハリアー]超えやん!! 日本の[ヤリス]にも採用してよ!! 欧州仕様のエアコン機能が神すぎる
もう[ハリアー]超えやん!! 日本の[ヤリス]にも採用してよ!! 欧州仕様のエアコン機能が神すぎる
ベストカーWeb
中上貴晶が語るテストチームとのズレ。ホンダRC213Vの現状は「問題が多過ぎる。データ解析しても表れない」
中上貴晶が語るテストチームとのズレ。ホンダRC213Vの現状は「問題が多過ぎる。データ解析しても表れない」
AUTOSPORT web
いよいよランクル250の販売がスタート!どんなモデルがライバルになる?
いよいよランクル250の販売がスタート!どんなモデルがライバルになる?
グーネット
プリウスオーナーにおすすめ!鋭角のフロントガラスにフィットする内窓専用ワイパー カーメイト
プリウスオーナーにおすすめ!鋭角のフロントガラスにフィットする内窓専用ワイパー カーメイト
グーネット
ジープ 限定車「コマンダー オーバーランド」発売 ブラウン内装がプレミアムな室内空間を演出
ジープ 限定車「コマンダー オーバーランド」発売 ブラウン内装がプレミアムな室内空間を演出
グーネット
レンジローバーイヴォーク 2025年モデル受注開始!PHEV車を中心に価格を見直し
レンジローバーイヴォーク 2025年モデル受注開始!PHEV車を中心に価格を見直し
グーネット
ベテランだってチト怖い!? 鬼門!! [高速道路の合流]への恐怖心を払拭せよ!
ベテランだってチト怖い!? 鬼門!! [高速道路の合流]への恐怖心を払拭せよ!
ベストカーWeb
昭和世代じゃなくてもグッとくる!?  ちょい[イケてるクルマ]にまつわる言葉8選
昭和世代じゃなくてもグッとくる!?  ちょい[イケてるクルマ]にまつわる言葉8選
ベストカーWeb
新型エルグランド大胆妄想!! アルファードに勝つために必要な性能と価格とは?
新型エルグランド大胆妄想!! アルファードに勝つために必要な性能と価格とは?
ベストカーWeb
なぜ「SLS AMG」は比類なきスポーツカーだったのか? メルセデス・ベンツとAMGが注いだコスト度外視の革新的技術とは
なぜ「SLS AMG」は比類なきスポーツカーだったのか? メルセデス・ベンツとAMGが注いだコスト度外視の革新的技術とは
Auto Messe Web
MotoGPスペインGPプラクティス|王者バニャイヤ、レコード更新し初日最速。マルク・マルケス3番手
MotoGPスペインGPプラクティス|王者バニャイヤ、レコード更新し初日最速。マルク・マルケス3番手
motorsport.com 日本版
トヨタ・ランドクルーザーの中核モデル「250」シリーズが発売。特別仕様車のZX“First Edition”とVX“First Edition”も設定
トヨタ・ランドクルーザーの中核モデル「250」シリーズが発売。特別仕様車のZX“First Edition”とVX“First Edition”も設定
カー・アンド・ドライバー
ボルボ「XC40」仕様変更&プレミアムな装備を採用した特別限定車を発売
ボルボ「XC40」仕様変更&プレミアムな装備を採用した特別限定車を発売
グーネット
日産 新エネルギー車のコンセプトカー4車種をお披露目 北京モーターショー【動画あり】
日産 新エネルギー車のコンセプトカー4車種をお披露目 北京モーターショー【動画あり】
グーネット
ホンダ 新EVシリーズ第2弾 新型「e:NP2」「e:NS2」発表 北京モーターショー
ホンダ 新EVシリーズ第2弾 新型「e:NP2」「e:NS2」発表 北京モーターショー
グーネット
エンジン版と共有部品ナシ! ポルシェ・マカン・エレクトリックへ試乗 ちゃんと「らしい」 航続500km以上
エンジン版と共有部品ナシ! ポルシェ・マカン・エレクトリックへ試乗 ちゃんと「らしい」 航続500km以上
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村