レフトハンダー化で達成した3ローター搭載のビジュアル系本気仕様
サーキットアタックからドリフトまでを想定!
その咆哮は787Bそのもの! 伝説の4ローター搭載RX-7(FD3S)見参!
S30系フェアレディZと言えば、改めて紹介するまでもない旧車チューンの王道だ。そもそも、そのスポーティなデザインからか、S30系Zのオーナーにはチューニング志向が強い傾向にあり、もともと搭載されているL型の派生系チューニングはもちろん、エンジン換装やボディカスタムなど、ありとあらゆる方向性のマシンが存在する。
しかし、ここまで強烈な個性を秘めた異端な存在はそうはいないだろう。
なにせ、S30の象徴とも言うべきL型エンジンを捨て去り、在ろうことかライバルとも言えるロータリーエンジンを、しかも3ローターターボを搭載してしまったのである。これは、正統派ZファンやL型ファンからすると相当な問題作(!?)であり、禁忌に触れる邪道チューンと認識されてしまいそうだが、チューニングの世界に壁や限界などない。
なにより、圧倒的な完成度の高さを誇るこのチューンドを見たら、逆に感銘を受けるはずだ。
製作したのは、三重県にあるコモンスナッパー。もともとカスタム系に強いショップとして知られていたが、ジャパニーズ・プロ・ツーリングというスタイルを提唱し、近年は旧車の異色(移植!?)チューンに精力を注いでいる実力派だ。このS30Zもその流れで開発されたものだが、メイキングは超本気。
心臓部の3ローターエンジンは、前後重量配分を考えてフロントミッドに搭載。その際、排気系(タービン)パーツと干渉してしまうステアリング機構は、輸出仕様のパーツを使いレフトハンダー(左ハンドル化)とすることでクリアした。
組み合わせるタービンはT88-33Dだ。F-CON Vプロによる綿密な制御によって最高出力は500psを発生させているが、これはエンジン本体の耐久性を考慮した数値だ。それでも3ローターターボのトルクフィールはハンパではないという。
高出力を安定発揮させるためのクーリングチューンも徹底。ワンオフのアルミラジエターとブリッツのインタークーラーをVマウント化して美しく配置している。
ちなみに、このマシンはオリジナルホイールのプロモーション用ショーカーとして「魅せる・驚かせる」ために作られたのはもちろん、サーキットを本気で走らせる(主に派手なドリフトをしたい)ことも目的としている。そのため、室内には溶接留めのロールケージが張り巡らされ、シャーシ主要部分にはスポット増しも施されている。
さらに、サイドブレーキも競技ドリフト車の多くが採用している油圧式を投入して、確実にリヤタイヤをロックできる仕様に仕上げているのだ。
一方の足回りも、文字通りのフルチューンだ。フロントサスペンションはY33セドリックのストラットやハブまわりを加工装着して5穴化、R33ブレンボ装備を可能としている。
ホイールはオリジナルの「バラマンディ・デザイン」で、軽量・高剛性・スタイリングの要素を高い次元でバランスさせたフル鍛造3ピースの自信作だ。サイズはフロント9J-10、リヤ9.5J-30(17インチ)でタイヤにはフェデラル595RSをセットしている。
その他、電動パワステ化やサイド出しの刺激的なマフラー&ウエストゲート、エンジンルームのワイヤータックなど、自由度が高く刺激的な作り込みが細部に散りばめられている。まさにアンリミテッドの魔改造Zだ。
●取材協力:コモンスナッパー ☎0595-23-9771
PHOTO:Nobutoshi KANEKO
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