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初試乗 メルセデス-AMG A45S プロトタイプ 1ℓ当たり210ps 先進の四輪駆動

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初試乗 メルセデス-AMG A45S プロトタイプ 1ℓ当たり210ps 先進の四輪駆動

もくじ

ー プロトタイプでドリフトモードを味見
ー 1ℓ当たり210psのハイチューンユニット
ー 後輪の片側へ100%のトルクを伝達
ー ドリフトモードを呼び出す秘密のコマンド
ー 最先端の四輪駆動システム

初試乗 ルノー・メガーヌR.S. トロフィー 機敏で個性的なホットハッチに

プロトタイプでドリフトモードを味見

万華鏡を覗いたようなグラフィックがボディ全体を覆い隠している。インテリアは高精細モニターのグラフィックで華やかだ。英国での発表はまだ5カ月ほど先ということもあり、まだプロトタイプ然としている車内には、データロガーやテスト用の機材が置かれ、多くのケーブルがあちこちに走っている。この派手なAクラスに近づくたびに、ドイツ人のエンジニアも近寄ってくるから、あまりクルマの側をうろつくわけにもいかない。

何しろ秘密事項が沢山あるのだろう。2代目A45「S」4マティックに関して、メルセデス-AMGから唯一知らされている情報は、ドリフトしやすいクルマだということ。アッファルターバッハからは、エンジンの最高出力カーブなどの一切の情報が明かされていない。でも、四輪駆動のハイパー・ハッチだということはわかる。

メルセデス・ベンツのハイパフォーマンスモデル部門が読者に知ってほしいと考えている情報は、今のところESPには3段階のモードが備わり、ドライビングモードの選択とステアリングホイールに備わるシフトパドルの操作を組み合せることで、リアディファレンシャルの設定をよりアグレッシブに変更できるプロトコルが内蔵されているということ。そうすると、まるで後輪駆動のBMW M2コンペティションのように、深い角度でのドリフトが可能になるという。

わたしは2019年モデルとなる、A45 4マティック(写真)を運転しているから、これは恐らく間違いない。しかし、氷上の上で、後輪駆動のスーパーカーのような激しいスロットル操作によって、スリップアングルを自在に調整するということは、一見不可能なように思える。

今回のAMGの試乗会の大部分の時間は、ドライビング・アカデミーと呼ばれている部門の講師を務める、ラインホルド・レンジャーがドライブする助手席で過ごした。ステアリングホイールの裏側で秘密の操作をして、新しいディファレンシャルギアのモードを機能させると、スウェーデン北部の凍結した湖の上に設けられたスペシャルコースの路面に、A45Sはしっかりと食らいついた。

1ℓ当たり210psのハイチューンユニット

今回の試乗は助手席からのみだったから、クルマの性格に関してはニュアンスでしかお伝えすることができない。しかし、AMGは先代の驚くほど俊足だったクルマ以上に、満足感の高いドライビングを味わわせてくれるようにしてくれたようだ。AクラスのトップグレードとなるA45Sは、従来以上に洗練性を高め、多面的な性格を備えたのだろう。半年後、実際に運転するまで、その仕上がりを楽しみにしていたい。

メルセデス-AMGがまだ詳しい情報を明らかにしなくても、A45 4マティックに関しては幾つか分かっていることがある。横置きされる2.0ℓ4気筒ガソリンエンジンは、8速デュアルクラッチATと組み合わされる。シュツットガルトの郊外にあるAMGによって組み立てられるエンジンは、親会社に当たるメルセデス・ベンツが開発したM260型と呼ばれるもので、A35 4マティックにも搭載されるもの。マイルド・ハイブリッドシステムは搭載されていない。

ボアは83.0mmで、ストロークは92.0mm。DOHCの4バルブのヘッドに、新開発のツインスクロール・ターボとオットー微粒子捕集フィルターが搭載される。極めて包括的に改良が加えられたユニットであり、まったく新しいエンジンだと考えて良いだろう。

これまでは388psを発生していたが、ターボブーストを上乗せし、幾つかの調整も加えられることで、A45S 4マティックの最高出力は421psにまで高められている。驚くことに1ℓ当たりの出力は210psを超えており、AMG GT Rが搭載する4.0ℓV8エンジンの1ℓ当たりの最高出力を46psも上回る、ハイチューンユニットだ。

先代のAクラスの最上級グレード、A45 4マティックと比較しても46psの向上で、BMW M2コンペティションより12ps高く、一番の直接的なライバルとなるハイパー・ハッチバック、アウディRS3より22psもパワフルなことになる。

しかし、新しいA45S 4マティックが秘めたパフォーマンスのカギは、AMGとオーストリアのエンジニアリング会社、マグナ・シュタイアーとのパートナーシップによって開発された、四輪駆動システムにある。動作系に関しては、従来のA45 4マティックが電動式のメカニズムを採用していたのに対し、新しいものは油圧システムを採用している。

後輪の片側へ100%のトルクを伝達

駆動輪は主に前輪となることには変わりはないが、2枚の独立したクラッチを備え、必要に応じて100%の駆動力をリアへ伝達することが可能なだけでなく、右後輪か左後輪、どちらか一方に100%の駆動力を与えることも可能。トラクションの状況やスロットルの開度、ヨーアングルやステアリングの切れ角などを複合的に判断して、処理される。ざっくりいうと、最新のE63S 4マティックに搭載されているシステムと同様だといえる。

まだプロトタイプとなるA45S 4マティックに乗ったのは、AMGが冬季テストを定期的に行っている、スウェーデン北部のアリエプローグに設けられた凍った湖に設けられたテストコースと、この付近の凍結路。A45以外の新しいAMGモデルも、ほかのハンドリングコースで概要の紹介がなされている。われわれは、巨大なスキッド路面のような場所で、このハイパーハッチをドライブするわけ。

新しいA45Sをカモフラージュ越しに観察してみるが、特に驚かされるような部分は、アピアランス上はない。標準モデルと同じ4代目4クラスのボディシェルを持っているが、外板は多くの場所で変更が加えられている。例えばフロントフェンダーは、A35 4マティックよりも幅の広いタイヤを収めるために、わずかに外側に膨らんでいる。リアハッチの上部には、ルーフからスムーズな気流を生み出し、高速域でのダウンフォースを増やすために、後付けの大きなウィングが付く。その他のフロントやリアのバンパー周りのスタイリングに関しては、カモフラージュで確かめることはできない。

車内はA35 4マティックとの共通点が多い。低い位置に据えられた、彫りの深いフロントシートと、スイッチ類が盛り込まれたマルチファンクション・ステアリングホイールが迎えてくれる。インフォテインメント・システムとインスツルメント用の大きなモニターを収める大きなハウジングが、ダッシュボードの上部を締めている。もちろんこれらは、最新で完成度の高いメルセデス・ベンツ製MBUXオペレーティング・システムで動作する。

ドライビング・アカデミー講師のレンジャーによれば、新しい四輪駆動システムの効果は、凍結路でも顕著にわかると話す。「明らかにトラクションが増しています。後輪により大きいパワーを伝えられるだけでなく、より高い正確性をもって左右それぞれへの伝達力を変化させることができるのです。すぐに気づくと思いますよ」

ドリフトモードを呼び出す秘密のコマンド

「ドリフトモード」で走行するには、ボタンを押す他に操作が必要となる。初めにレンジャーは、フロントシートの間に備わるタッチパッドを操作して、ドライビングモードをスクロールし、コンフォート、スポーツ、スポーツ+、スリッパリー(滑りやすい)、インディビジュアルと順に表示させ、レースモードを選択した。

それからESPのボタンを押してOFFにし、ステアリングホイールに取り付けられたシフトパドルを左右同時に前方へ押して、マニュアルモードにし、最後に右側のパドルを手前に引いた。「これが実行コマンドです。これをしないと、通常のレースモードにしかなりません」とレンジャーは説明する。この操作が完了すると、インスツルメント・モニターには「ドリフト」の文字が表示された。

クルマをスタートさせると、ほとんど即座にエンジンは5000rpmを超え、ステアリングホイールをわずかに左右に動かすだけで、A45S 4マティックのリアは踊るように左右にスライドする。巨大なスキッドパンを100mも走らないうちに、フロントガラスではなく、助手席側の窓で進路を見定めるような姿勢になった。ステアリングホイールは思いっきりカウンターを当てた状態で、クルマは反時計回りに、円を描きながら滑っていく。

新しい四輪駆動システムは、左右の後輪へのトルク配分を制御できるようになっただけでなく、その反応時間も向上しているという。「スロットルに対するレスポンスが向上しています。後輪の駆動力の制御も正確性を高めているので、従来ほど獰猛ではなくなりました」数分間も定常円旋回のドリフトを楽しんだあと、またそれを繰り返す。エンジンの回転数は、しっかりタイヤへと伝わり、氷上でもトラクションが発生しているのは明らかだ。

最先端の四輪駆動システム

助手席からだが、素晴らしくコントロールされているようだった。ドリフトアングルはスキッドパンの路面状況で微妙に変化するが、レンジャーはオーバーステア状況を保つために、スロットルやステアリングを必死に操作している素振りは見せない。

必要に応じて、新しい四輪駆動システムは100%に近い形で外側の後輪へと駆動力が伝えられるようにプログラムされている。しかし完全に後輪駆動となるわけではなく、バランスを保つために、僅かながら前輪も駆動させる必要がある。そんなことを確認しながら、助手席での初試乗はあっという間に終わってしまった。試乗プログラムを開催したAMGのエンジニアリング・チームは、日照時間が短いこの時期ながら、日没前に予定をこなす必要があるのだろう。

メルセデス-AMGは新しいA45S 4マティックに関して、これ以上のことは明らかにしなかった。しかし公道を走れるクルマに搭載された、量産の4気筒エンジンとしては最もパワフルなユニットを搭載し、トランスミッションやドライブトレインの仕上がりも驚異的だったことはわかる。思わずハイパーハッチとしてのランキングを想像してみた。

最新の四輪駆動システムは最も先進的なものだと思う。仮にハードウエアが最先端でなかったとしても、横置きエンジンのロードカーに搭載されたセットアップとしては、最先端だといえる。あくまでも助手席での体験だったが、メルセデス-AMGの新しいA45Sは、これまでにない正確性と積極性を備えていることは間違いない。ドリフトだけでなく、トラクションの高さやドライビング性能という点でも、そのアドバンテージは極めて優れていると感じた。

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