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ニューモデル 2018.8.26

ヴォグゾールはどうなるのか PSA傘下、今後の展望は 新社長を取材

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もくじ

ー ヴォグゾール新社長の再建計画
ー より単純化された意思決定
ー カンパニーカーが鍵を握るのか
ー 月末の自社登録 レンタカーへの大量販売
ー ラインナップの整理で効率化を
ー 良いクルマを慎み深い顧客に
ー ノーマンのヴォグゾール再建5カ条

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ヴォグゾール新社長の再建計画

この1月にヴォグゾールのトップについた、ステファン・ノーマン、63歳。自動車業界で長く仕事をしてきた彼も、その43年にわたる仕事人生の一番のハイライトが目前にあると確信している。

売り上げを増やし継続的に利益を上げて、業績をいち早く回復させることが、彼とヴォグゾールに栄光をもたらすことになる。だが、前の親会社GMのもとで地道に仕事をしてきた歴代社長の業績を考えれば、前途は多難というほかない。

だが、現職について数カ月たった彼はここで、簡素だが地を揺るがすかのような再建計画5カ条を打ちだした。わたしはいまはじめてそれをルートンの本社で聞かされたのだが、もうPSA本部の承認済みだという。GM時代には考えられなかったスピードだし、ノーマンも勝算は十分あると見こんでいる。「わたしは失敗するつもりはありませんので」という彼の意志だけが理由ではない。

累々と続いた前任者の不成功による重圧のもと、こちらも米国の象牙の塔に操られるドイツの経営陣に支配されていたこれまでのヴォグゾール社長陣からは、そんな強気の宣言など聞いたこともなかった。

彼らはいわば有能な代理人か、あるいはただの腰掛けだった。ヴォグゾールは「ただそこにある」会社として細々とクルマを売り、本来よりも低いブランドイメージに甘んじ、そして徐々に落第生へと近付きつつあった。

より単純化された意思決定

だが、いまや意思決定のプロセスは変わった。社長業務は定義しなおされ、ノーマンの権限は大幅に拡大した。いちおうすべての決定はPSA総帥のカルロス・タバレス(ノーマンも10年以上彼の下にいた)とオペルCEOのミハエル・ローシェラーを経るが、それでも「いち早く単純明快に」なされる。

ヴォグゾールの歩みがまだおぼつかないことは、ノーマンもあっさり認めている。彼は現実主義者以外のなにものでもないのだ。

だが、彼の執務室から近くの会議室(いまや英国中で目にする「トゥルー・ブリット(真の英国らしさ)」のコピーをそえたアストラの広告が壁一面に掲げられていた)へ場所をうつすと、彼は英国自動車市場の概略についての説明をはじめ、その中でヴォグゾールの状況はひとびとが考えるよりもずっと良いことを示してくれた。

「ヴォグゾールを被災地みたいにいわれると、はらわたが煮えくり返りますよ」と彼はいう。「もっと改善できるのはまちがいありません。ただ今のところは、前とたいしてかわりないのですが」

カンパニーカーが鍵を握るのか

ノーマンが出してくれた英国シェアの推移を示す図表には、現在7.6%のヴォグゾールもブリティッシュ・レイランドの管理をはなれた1980年代には9%前後だったこと、対するフォードは1980年代の30%から現在その3分の1強に下がっていることが記されていた。

キャバリエがライバルのフォード・シエラよりも優位に立った数年間は16%まではね上がったこともあったが、概してヴォグゾールにそうそう好機はなかった。勝者はといえば、同時期に全体でシェアを2%から20%に拡大した高級車メーカーだった。

ほかの言い伝えについても聞いてみよう。「カンパニーカーの売れゆきがカギを握る以上ヴォグゾールに勝算はない」とする見かたに、ノーマンははげしく異議をとなえる。

「ずっとやってきたことですよ。1960年代に遡ってみても、ヴィヴァ/ヴィクター/ヴェロックスがカンパニーカーとして売れていました。いまは、コルサはおおむね一般むけですが、手堅い法人需要がある大型のクルマは法人向けに売っていきますし、一般向けと同様に利益を生むのであれば何も問題はありません。われわれのビジネスは砂上の楼閣ではなく、しっかりした基礎があるのです」

月末の自社登録 レンタカーへの大量販売

よくあるヴォグゾール批判としてもうひとつノーマンがあげたのは、毎月末に多くのクルマを自社登録する性向だ。それは全国平均が生産数の15%なのにたいして、21%にのぼる。ノーマンはもはや持ち前といっていい率直さで、価格を下げてでもとにかく市場にクルマを流すためだと認めた。

月末3日間だけ激増する売り上げとならんで販売台数の水増しだとして標的にあがるのが、レンタカー市場への大量販売だ。だがノーマンが「どこもやっていることです」と断言したうえで示した表では、どちらの台数もはっきりと減少傾向にあった。

そして、ウサギを帽子から取りだすかのように決め手として出してきたのは、ヴォグゾールにとってきわめて重要といえる価格決定力だった。

「安売りはしない」という決意のもと、業界標準といえるフォルクスワーゲンとの平均取引価格の差を4%以内にまでつめてきた。このことは、何週間か前に発表されたオペル-ヴォグゾールの黒字回復にも少なからず貢献したし、今後も後押しすると彼は考えている。

ラインナップの整理で効率化を

またノーマンがもくろむのは、ラインアップをバン3種と乗用車6種へ徐々に絞り込むことで、効率化とコスト低減を図ることだ。バンのほうは「勝手に絞り込まれていきますよ」という彼の言葉通りで、サイズが適当でなによりも英国製ということが大きいヴィヴァロが来年登場の見込みだ。

乗用車のほうは、新型のコルサとモッカ、アストラ、SUVのクロスランドとグランドランド、高級セダンのインシグニアだ。「競合各社より車種はすくなくなりますが、目的達成のためには必要なことです」とノーマンはいう。

1999年よりずっと赤字経営のつづいていたオペル-ヴォグゾールだが、PSAの今年上半期決算で奇跡的というべき4億4500万ポンド(627億円)もの利益を計上した。さらに営業利益率も親会社PSAの8.5%という優秀な数字にせまる、まことに健全な5%という数字を達成した。ところがノーマンは「たいしておどろくことではありません」と告げる。まだまだ伸ばす余地はあるというのだ。

経営方針の転換が実を結ぶ機は熟したと、ノーマンは見ている。競争力のある手持ち車種も増えた。英国製のアストラは、売れ行きこそパッとしなくても相変わらずゴルフのライバルとして一目置かれる存在だ。

SUVのモッカ/クロスランド/グランドランドにしても、それぞれのセグメントにおいて国内で十分な訴求力を持つ。上品な高級セダンのインシグニアも、実力では今なお高級車部門の水準をリードする。

良いクルマを慎み深い顧客に

シトロエン・ベルランゴやルノー・カングーを迎え撃つ貨物車の新型コンボももうすぐやってくるし、その次にひかえるのはいちばんの目玉、スーパーミニの新型コルサだ。その後も、来年にはPSA車ベースのバン、ヴィヴァロがお目見えする。

ノーマンによると、再建5カ条はむこう3年にわたって実行される。目標は、英国の乗用車/ライトバン市場の総計でシェア10%に肉薄すること。台数になおすと年産275万台で、そのうち35万台がバンだ。市場リーダーのフォードに勝てるとは考えていないが、「堅実な2番手」の位置を固めようとしているのだ。

ここで、「英国らしさを売りとして前面に押し出すつもりはありません」とノーマンは主張する。お得感、親しみやすさ、精巧さ、前進する力で顧客にうったえかけようとしているのだ。英国らしさはあくまで差別化のためという。

「われわれは主流メーカーの中で標準的位置につくことをめざしています。高級でもなく、もちろん他と選ぶところのないブランドでもなく。自らの強みを生かして、英国での基準となりたいのです」

「良いクルマをつくって、英国の慎み深いお客さまへご提供する。そう言われるのを恥ずかしがるお客さまもおられますが、別のことをしようととしたことは一度だってありません。英国の企業であることが誇りですからね」

ノーマンのヴォグゾール再建5カ条

ノーマンの掲げる再建計画は5項目からなるが、これまでのヴォグゾールからは考えられない、簡潔ながらも非常に野心的なものになっている。かいつまんでご説明しよう。

●小型貨物車のシェアを現状の9%からかつての14-15%レベルまで伸ばし、フォードに次ぐ2位の座を確固なものとする。ラインアップも、新型ヴィヴァロを足がかりに3車種の少数精鋭で臨んでいく。取扱店は、50から75店舗の「商用車センター」に再編成する。

●利幅がなく販売台数の価値を損なう自社登録台数は、減らしていく方針だ。これは、クルマの商品価値が上がっていけば可能と考えられる。また、「どこよりも安く」というジョン・ルイス(英国の百貨店)のキャッチフレーズとは逆に、販売奨励金が必要なくなる程度に安売りを抑えなければならないとノーマンはいう。

●2020年までに現在330店舗のディーラー網を250店舗程度に再編し、1店舗あたりの年間販売台数を290から415台に上げる。これにより「劇的な」販売店の活性化をもたらすとノーマンは考える。再編が始まってから数カ月、きびしい非難にさらされるノーマンだが、「変えなければディーラー自体が害をこうむるんです」とその意志は強い。

●再編は部品供給体制にも及ぶ。英国全土に46の供給拠点をおき、ヴォグゾールやグループのプジョー/シトロエン/DSのみならず、他メーカーの部品も扱う。部品販売による収益が低下をたどる状況で、これもひとつの反撃といえる。

●ブランド力の強化も課題だ。すでに展開中の「トゥルー・ブリット」キャンペーンは、SUVをメインにすえた「キープ・カーム・アンド・キャリー・オン(『あわてず、さわがず、うろたえず』の意。第二次世界大戦直前に英国政府が国民にむけた宣伝ポスターからの引用)」に後を譲る予定だ。

「『なにか的に(-ish)』はやめて、『英国的に(British)』いこう」という趣旨のメッセージも使う見込みだ。英国の広告にはときに「~的な(-ish)」という煮え切らないコピーが見られるが、「英国的に(British)」という語句に関しては前向きなイメージがあるというのが要点なのだろう。

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(AUTOCAR JAPAN 編集部)

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みんなのコメント

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  • mr2*****|2018/08/26 12:13

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    未だにボォグゾールなんて呼び方使う人が居たとは
  • fxh*****|2018/08/26 20:23

    違反報告

    しかし、BLはボクソールまでもいっとき管理下に置いていたのか。何だかむちゃくちゃな話だなぁと思いつつも、親方ユニオンジャックな国営企業だけに充分ありうる。

    そして、一足先にSUV版のロックスの販売終了がアナウンスされていたアダムや、さらにその下の車種である復活ヴィヴァ(オペル・カール)は一代限りで姿を消すわけね。PSAはこのクラスに自前の車種を持たず、トヨタや三菱のOEMに頼っているからしょうがないのか。

    何にせよ、もう日本に再上陸なんてしないんだろうなぁ…。いまの日本の輸入車市場にはイギリスの大衆車ってジャンルがないと思うんですよ。ミニはもう大衆車って呼べる柄じゃないですからね。

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