上級モデルの最新技術も惜しみなく投入する
マツダはCX-3に大幅改良を加え登場させた。近年のマツダの特徴はモデルチェンジサイクルを待たずに、今ある最新の機能を出し惜しみなく年次改良で取り入れていくというもの。それは生産開発の現場においては厳しい作業となるが、ユーザー中心の考えとして共感できる。
【今さら聞けない】ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの違いとは?
実際、ショールームにアテンザを見に来たユーザーが、コンパクトカーのデミオにはついている装備が最上級モデルのアテンザについていないとわかり、購入を断念してしまうケースなどもあったと聞く。そういうことが起こらないよう、車格を問わず取り入れられる技術や装備を出し惜しみしないというのは嬉しい。
今回のCX-3改良点は
・操縦安定性、乗り心地、静粛性の進化 ・エンジンの進化 ・デザインの進化 ・安全性能の進化
だという。そこで早速試乗し、進化の度合いを確認することにした。
新型を目の前にすると、デザイン的にどこが変わったのか、よほどCX-3に詳しい人でないと気がつかないだろう。魂動デザインの基本的なディテールはそのままに、ラジエターグリルやクロームのガーニッシュ追加などが主体で従来モデルとほとんど区別がつかない。
18インチのアルミホイールも基本デザインは変わりないが、切削部分を変更してずっとスタイリッシュで格好良くなった。小さな変更ながら存在感が輝きを増して見えるのはベースのデザインが秀でているからだろう。ロングノーズ、ショートテールの個性的なスポーティSUVというほかに例のないステータスも活きている。
ドアを開け、車両に乗り込み着座してドアを閉める。するとドアを閉じた時の音、質感が高まっていることがわかった。より上級なモデルであるような重厚さが感じられるようになっている。聞けば前後ドアのアウターパネル(鉄板)の厚みを0.05ミリ増して質感を上げたのだとか。年次改良でそこまでやるか! という内容だ。さらにドアウインドウガラスの板厚も0.5ミリ増し、静粛性を高めているという。数値を聞いただけで効果が感じられそうだ。走り出すのが楽しみになってきた。
コクピットはインストゥルメントパネルの素材が変更されていて、アルカンターラ風のソフトパッドとステッチが縫い込まれたメーターナセルが欧州プレミアブランドと思わせるような上質さで仕上げられている。
センターコンソールはパーキングブレーキの電動化によってレイアウトの自由度が増し、上級のCX-5と同じような操作性が確保された。CX-3ユーザー念願の肘掛けとマルチボックスが、ドリンクホルダーとともにレイアウトされ実用性能を高めている。少し前にCX-3を試乗したときに、マニュアル車はサイドブレーキでサイドブレーキターンが出来て楽しいとリポートしたが、それは叶わなくなってしまった。
前後シートも素材やカラーリングが変更され、室内の雰囲気は大幅に高まったといえる。ちなみにルーフライナーも厚みを増し、吸音性能を13%向上させたというから凄いこだわりようだ。
エンジンを始動するとその効果は明確にわかる。アイドリングではディーゼル特有のガラガラ音がするはずだが、車内は極めて静か。とくにドライバーの頭まわりの騒音は激減し、走行時の風切り音も押さえ込まれていることが走り始めてわかった。
排気量をアップしながら従来と変わらぬエンジン重量を実現
そのエンジンにも大幅な改良が施された。従来は1.5リッターターボだったボア×ストロークを変更し、1.8リッターにスープアップしたのだ。だがシリンダーブロックやクランクケースなど、エンジンサイズは変わらず重量も増えていない。クランクシャフトやコンロッドなどのパーツを見直し、軽量化したことが奏功している。
1.8リッターとなったことで極低回転域でのトルクピックアップが向上。EGRの領域を拡大し、よりクリーンな排気ガス性能とすることができた。またCX-8で採用しているピエゾインジェクターをも取り入れて燃焼コントロールをより高度に実現。実用燃費が向上している。またDPFのクリーンアップ機能を向上させるなど実用燃費向上についても「そこまでやるか!」と思わせる。
走りだせばトルクアップによる機動性の高まりが手に取るようにわかる。大型化されたターボチャージャーと排気量アップによるトルクの繋がりが自然で、従来感じられたピックアップのヘジテーション(ためらい感)は格段に改善され走りやすい。CX-3には6速マニュアルトランスミッション車も用意されているが、今回の年次改良でも引継がれた。MTと新エンジンは相性抜群で、2速発進も可能なトルクとレスポンスの向上でキビキビと走れる。
さて、次に確認すべきはハンドリングと乗り心地だ。ハンドリングを司るサスペンションの改良も半端ではない。スプリングレートを見直して若干柔らかいスプリングを装着。スタビライザー径も下げて適度なロール感を狙いつつ、路面からの突き上げ入力を抑えようとしている。
このままでは車体姿勢が不安定になってしまうが、前後ショックアブソーバーの外形を大径化し、減衰特性を煮詰めて適合させている。フロントストラットではアブソーバーケースの外径を45ミリから51ミリに拡大。それによりショックアブソーバー内のピストン径も30ミリから32ミリとなり、減衰力向上と好応答性を得ている。
リヤダンパーも外径38ミリから45ミリへと拡大。ピストンは25ミリから35ミリへと変更されているが、実物を見るとまるで別物のハイクオリティなショックアブソーバーへと進化している。さらに、リヤショックアブソーバーのアッパーマウントに、アルミダイキャストにシリコンブッシュを複雑に埋め込んだ特許品を使用。CX-8に装着され、後席の乗り心地を圧倒的に高めた重要機能パーツがCX-3にも拡大採用されたわけだ。
試乗コースでは路面の継ぎ目や段差の通過時など、コンパクトクラスとは思えないNVH性能を実感した。乗り心地に対するこだわりはサスペンションだけに収まらず、タイヤにもおよんでいた。タイヤは路面の衝撃を最初に受ける部分だから、そこで減衰できれば車体への入力を抑えることができる。だが、タイヤのサイドウォールを柔らかくすると操縦安定性に悪影響してしまう。そこで、トーヨータイヤと共同開発し、タイヤショルダーを柔らかくしトレッドベースに1プライを増した特殊構造のタイヤとしたという。
NVH性能の向上は、後席に同乗したスタッフからも良好な意見が出された。だがハンドリングに関してはどうだろうか。市街地の試乗速度では快適さが全面に出され、「これでいい」と思ってしまうが、少しコーナー部分を攻めると、ロール感やロール量が最適かは少し疑問が残る。ワインディングロードをもう少しハイスピードで走らせてみれば、改良の効果はより明確に実感し確信できるはず。次の機会にはテストコースも含めて限界域での挙動も試してみたいと思う。
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