もくじ
ー三菱3000GT(日本名:GTO)の基礎知識
ー考えるより走れ! 「セミ・スーパーカー」の価値
ーAUTOCAR記者の今の評価は?
ー「買い!」と思ったアナタに…… 最後のアドバイス
メルセデスSL65 AMGブラックシリーズは今、「買い」なのか?
三菱3000GT(日本名:GTO)の基礎知識
・英国販売期間:1992年~2000年
・最高出力:280ps以上
・現在価格:3000ポンド~1万ポンド(45万~152万円)
1990年当時のことを思い返して欲しい。技術向上とともに増加する最高出力を抑制するため、日本の自動車メーカーは、紳士協定を結んでいたことを覚えているはずだ。
定められた数値は、280ps。当時、Land of the Rising Sun(日出ずる国)が生み出した数々のスーパーカー、ホンダNSX、スバル・アルシオーネSVX、日産スカイラインなどの最高出力はすべて、280ps以下と公表されていた。
実際のところ、その協定は書面としては存在しない。280psを遥かに超えるモデルが存在することも、しばらくして明らかになった。記憶に残るクルマと出会える素晴らしい時代だったとも言える。この、グラマラスな三菱3000GTもそんな1台だ。
考えるより走れ! 「セミ・スーパーカー」の価値
フルタイム4WD、4WS(四輪操舵)に加えて、自動調整式フロント/リアスポイラーを備えるアクティブ・エアロダイナミクス、可変式エグゾーストシステム、電子制御サスペンションなど様々な技術を備え、3.0ℓのV6ツインターボエンジンを味わえる。
幸運にも、イギリスの三菱は初期の3000GTを保管しており、2017年においても、良好な状態で試乗することができた。
3000GTのスタイリングは、今でも十分かっこう良く見える。大径のステアリングホイールと、黒いプラスチックに覆われたコクピットは時代を物語るし、ダッシュボードのダイヤル類はパッとしない。
唯一歓迎できるのは、レザーシートくらいだろう。ただ、シートポジションも本来ならもっと低く設定できると良いのだが……。オプションのサンルーフが備わるこの個体は、ヘッドルームもさらに制限されている。
いくつものハイテクデバイスによって、車重はそれなりに増えている。実に1750kg。NSXより300kgもかさんでいる。しかし一度走り出せば、肥満傾向にあるウエイトは、すぐに気にならなくなる。
AUTOCAR記者の今の評価は?
「すぐに」とは言ったが、少し間があってから、の方が正しい表現だろうか。
現代のスーパーカーのようなレスポンスを期待してスロットルペダルを踏むと、まず最初にやってくるのはターボラグ。それなりに肩透かしをくらってしまう。ひと呼吸おいて始まる加速は、一度ブースト圧が高まってしまえば、スリリングなほど力強い。良識的なモデルである3000GTは、着座位置が高いとはいえ、高速域においても快適に走行できる。
オートマティックも選べたが、今回撮影したマニュアル仕様と比較して、クルマの性格に合わないと思う。しかし、現代のスポーツカーにおいて、マニュアルミッションを選べるモデルは、限られることも事実。
ハンドリングについてあまり印象に残らなかったのは、ダイレクトな感覚のクルマに慣れてしまっているからだろう。ステアリング操作には力がいるし、4WSを備える割には、レスポンスも俊敏性も突出したレベルになく、繊細さに欠けていたのは残念だ。
それでも、この三菱3000GTを酷評する気にはなれない。特異ですらあった興味深い技術の導入は、現代の素晴らしいクルマたちへと引き継がれていくからだ。こうしたハイテクを維持するには、それなりのメンテナンスも必要となる。今ならわずか3000ポンド(45万円)という価格で購入できるが、十二分に注意して選ぶことをお勧めする。
「買い!」と思ったアナタに…… 最後のアドバイス
購入時の注意点
走行距離が多いクルマや、過度にモディファイされた日本からの並行輸入車には要注意。 技術的には素晴らしいが、それは永遠には保てない。修理費用は安くないので、すべて機能するか確認を怠ってはならない。
エンジンからの異音、特にターボチャージャー関連の不具合には要注意。部品は恐ろしく高額だ。3000GTを購入する際は、専門家のアドバイスを受けるほうが懸命。
加えて一言 読者の皆さまに
3000GTには訴求力がある。特に、幹線道路や高速道を快適に走れることは魅力。また、興奮するほどではないが、目を引く大きなクーペボディという点もポイントだ。240km/hの高速走行をサラリとこなしてしまう “セミ・スーパーカー”、皆さまの目にはどう映るだろうか。
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