現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 往年の名車 vs 現代の量販車(3) BMW M3(E30) vs 320d(F30)

ここから本文です

往年の名車 vs 現代の量販車(3) BMW M3(E30) vs 320d(F30)

掲載 更新
往年の名車 vs 現代の量販車(3) BMW M3(E30) vs 320d(F30)

もくじ

ー 当時最高水準のパワー
ー 同等のスペックと進化した速さ
ー 時代の流れを痛感する速さ
ー 最高の道具と、最高のオモチャにして武器

「生ける伝説」 BMW 3.0CSL vs M3 CSL 当時の時代背景を学ぶ(前編)

当時最高水準のパワー

一見すればそれは、E30型3シリーズのホットバージョンだと思える初代M3だが、その実態は公道を走れるサーキットマシンだ。

そもそもこれは、グループA規定を満たすための純粋なホモロゲーション・モデルで、専用のレーシングエンジンをこれも専用のボディに積む。サスペンションやブレーキ、1速が手前に来るドッグレッグパターンのゲトラグ製5段MTなども、通常の3シリーズとは異なるアイテムだ。

直4ユニットの排気量は2.3ℓで、200psを発生。排気量当たりの馬力は86.9ps/ℓで、初代M3発売当時、フェラーリでさえ量産モデルでは達成していない数字だ。

同等のスペックと進化した速さ

あれから30年。いまや初代M3以上のパワーを2.0ℓディーゼルで得られるようになったが、それと共に重量も大幅に増した。それでもM3を視界に収め続けられたのは、はるかに高まったトルクの恩恵だ。

全開にすると、最高速度は1km/hと違わない。そう、現在のBMWの量販実用車は、30年前のもっとも素晴らしいものに数えられる、レース由来のパフォーマンスカーとほぼ同じ速さを見せるのだ。

数字には表れないが、実際に走ると、現行320dの方が、古いM3より速く感じられる。認めるのは悲しいが。それはやはりトルクの恩恵だが、量だけの問題ではなく、1750rpmからと発生するいう特性にも理由がある。

初代M3ならば、やっと起きて、寝ぼけ眼をやっと開いたくらいの回転数だ。こちらが本領を発揮するには少なくとも4500rpmは必要だが、320dでここまで回したら、なぜシフトアップしないのかとクルマに問われそうだ。

時代の流れを痛感する速さ

M3ならば、そんなことを疑問に感じたりはしない。さすがに古いクルマだけに、今回は7000rpm以上まで回そうとはしなかった。とはいえ、これと同じBMWモータースポーツの小さなエンジンが、調子を上げるにつれてサウンドもどんどんハッピーになり、いつしかレブリミットまで回してしまうものだったことはよく覚えている。

しかし、サーキット走行で乗り比べてさえ、新車の320dを差し置いて古いM3を振り返ることはなかった。M3に現代のタイヤを履かせたなら、それがジオメトリーを最適化したサスペンションや比較的軽い重量と相まって、320dに迫るペースで走れるというのならいいのだが、それは疑わしい。

対して320dの方は、中速域のパンチだけでなく、ブレーキや、今回のテストの舞台としたような高速サーキットでは空力性能も効力を発揮して、優位性を保つはずだ。

最高の道具と、最高のオモチャにして武器

高速コースを320dで走れば、およそ想定外の環境でもいかに速く、安心感があり、高い能力を発揮するか強い感銘を受けるだろう。しかし、M3で同じことをすれば、まったく違う体験となる。どちらが速いかなど、どうでもいい気にさせられるのだ。

たとえるなら、30年前に引っ越した若き日の親友が、偶然再会したその足で酒場に向かい話してみたら、昔と変わらず同じものを注文し、同じジョークに笑い転げ、ちょっとばかり悪い遊びでもしたくなってうずうずするところまでそのままだったようなものだといえる。

1速の位置をわざわざ確かめることはしなくても、手が勝手にシフトレバーを手前に引く。そうして走り出してみれば、重さもギア比も完璧なステアリングホイールが手の内で穏やかに回り、このM3が、いつの時代にもパフォーマンスカーの象徴であり続けた理由をまさしく思い出すことになる。対して320dは、退屈な仕事を効率的かつ効果的に行うための道具という印象だ。

なにも320dが悪いと言っているわけではない。これは、この手のクルマの中でもとりわけ素晴らしいが、やはりツールでしかないのだ。だがM3は最高のオモチャであり、望めば最高の武器にもなる。

関連タグ

こんな記事も読まれています

ジープ、コマンダーの限定車「オーバーランド」発売 サンルーフを標準装備
ジープ、コマンダーの限定車「オーバーランド」発売 サンルーフを標準装備
日刊自動車新聞
レクサスが新型「豪華オフロードSUV」発売! どんな人が買う? ゴツデザイン採用「GX」の反響は?
レクサスが新型「豪華オフロードSUV」発売! どんな人が買う? ゴツデザイン採用「GX」の反響は?
くるまのニュース
ヤマハ初のナイトミーティング 「The Dark side of Japan Night Meeting 2024」開催
ヤマハ初のナイトミーティング 「The Dark side of Japan Night Meeting 2024」開催
バイクのニュース
超絶人気の「ジープ・ラングラー」がマイチェンでまさかの値下げ! しかも装備充実ってこの先も勝ち組確定!!
超絶人気の「ジープ・ラングラー」がマイチェンでまさかの値下げ! しかも装備充実ってこの先も勝ち組確定!!
WEB CARTOP
ノリスの才能はフェルスタッペン以上!? マクラーレンCEOが絶賛「真っ向勝負でも勝てる……その多くで泣きを見るかもしれないがね!」
ノリスの才能はフェルスタッペン以上!? マクラーレンCEOが絶賛「真っ向勝負でも勝てる……その多くで泣きを見るかもしれないがね!」
motorsport.com 日本版
【スクープ】三菱デリカD:5が18年ぶりにフルモデルチェンジへ!後継モデルの「D:6」は電動専用モデルに進化する!
【スクープ】三菱デリカD:5が18年ぶりにフルモデルチェンジへ!後継モデルの「D:6」は電動専用モデルに進化する!
LE VOLANT CARSMEET WEB
よく聞く「特別仕様車」ってなに? “通常仕様”と何が違う? まさかのデメリットも存在! 満足できる新車の「選び方」とは
よく聞く「特別仕様車」ってなに? “通常仕様”と何が違う? まさかのデメリットも存在! 満足できる新車の「選び方」とは
くるまのニュース
赤のボディカラーも映える「サクラ」の90周年記念車を展示! 試乗車には「アリアe-4ORCE」をご用意しております! 日産出展情報【ル・ボラン カーズ・ミート2024 横浜】
赤のボディカラーも映える「サクラ」の90周年記念車を展示! 試乗車には「アリアe-4ORCE」をご用意しております! 日産出展情報【ル・ボラン カーズ・ミート2024 横浜】
LE VOLANT CARSMEET WEB
日野、中型観光バス「メルファ」を一部改良 バックカメラとモニターを標準装備
日野、中型観光バス「メルファ」を一部改良 バックカメラとモニターを標準装備
日刊自動車新聞
F1マシンより速い!? ピニンファリーナのハイパーEV「バッティスタGT」に“バットマン”のブルース・ウェイン仕様が登場
F1マシンより速い!? ピニンファリーナのハイパーEV「バッティスタGT」に“バットマン”のブルース・ウェイン仕様が登場
VAGUE
マツダが新型上級セダン「EZ-6」初公開! 半円4連テールがイイ! マツダ6後継!?中国に登場!日本の販売店での反響は
マツダが新型上級セダン「EZ-6」初公開! 半円4連テールがイイ! マツダ6後継!?中国に登場!日本の販売店での反響は
くるまのニュース
【MotoGP2024第5戦フランスGP】ホルヘ・マルティンがスプリント・決勝レースの双方を制覇
【MotoGP2024第5戦フランスGP】ホルヘ・マルティンがスプリント・決勝レースの双方を制覇
バイクのニュース
ホンダ:ミル、2日連続転倒もマシンに好感触「レースで得たフィーリングはとても重要だった」/第5戦フランスGP決勝
ホンダ:ミル、2日連続転倒もマシンに好感触「レースで得たフィーリングはとても重要だった」/第5戦フランスGP決勝
AUTOSPORT web
110万円から買えるGRヤリス!? 驚異の10速AT搭載の[ヴィッツGRスポーツGR]
110万円から買えるGRヤリス!? 驚異の10速AT搭載の[ヴィッツGRスポーツGR]
ベストカーWeb
【MM Another Story:アルピーヌ A110R TURINIの「別腹」】極限まで磨かれた軽量化に「気軽さ」をプラス。日常と非日常のちょうどいい匙加減が見えた
【MM Another Story:アルピーヌ A110R TURINIの「別腹」】極限まで磨かれた軽量化に「気軽さ」をプラス。日常と非日常のちょうどいい匙加減が見えた
Webモーターマガジン
【ブレイズ】5/18・19開催の「FIELDSTYLE JAPAN 2024」に出展
【ブレイズ】5/18・19開催の「FIELDSTYLE JAPAN 2024」に出展
バイクブロス
キック・ザウバー、イモラでアップデート投入。”ピットストップ問題”への対処だけでなく、チームの今後を占う「重要なパーツ」
キック・ザウバー、イモラでアップデート投入。”ピットストップ問題”への対処だけでなく、チームの今後を占う「重要なパーツ」
motorsport.com 日本版
中国市場はまだまだEV化の流れが止まらなかった! 内燃機関からPHEVを介してEVシフトするシナリオの中身
中国市場はまだまだEV化の流れが止まらなかった! 内燃機関からPHEVを介してEVシフトするシナリオの中身
THE EV TIMES

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1018.01263.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

210.03850.0万円

中古車を検索
M3 クーペの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1018.01263.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

210.03850.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村