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マセラティ・グランツーリスモ、新型を前に2017年の「ひと押し」 MCを試乗

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マセラティ・グランツーリスモ、新型を前に2017年の「ひと押し」 MCを試乗

■どんなクルマ?

とうとう最後のフェイスリフトを受け、マセラティ製のクーペがフィナーレを迎える。と同時に待望の新しいクーペの足音が聞こえてきた。

ロールスやベントレー、「死」の先にある希望 超高級車の墓場を訪ねる

リフレッシュというよりもむしろ合理化であると言ったほうがよいかもしれない。

エントリーレベルの4.2ℓエンジンとシングルクラッチのギアボックスはカタログ落ちし、全モデルが460psを発生させる4.7ℓV8エンジンと6速のZF製トルクコンバーターオートマティックを装備。

デザイン面での改良は、フロントとリアバンパーなどのデザインが一新されたほか、装備面では石器時代を思わせるロートルなナビが、タッチスクリーンのインフォテインメントシステムに置き換わった。

仕様はふたつのバージョンから選ぶことができ、グランツーリスモ・スポーツが£93,145(1,353万円)、MCは£108,780(1,580万円)となっている。

■どんな感じ?

0-100km加速テストのタイムは4.7秒だが、グランツーリスモは10年前登場したころのライバル車と比べると絶対的なフィーリングを誇る。そしてそのフィーリングはいまだに健在といえる。

ただ、フェラーリ製のV8エンジンが備わっているとはいえ、近代の高尚なクルマたちと比較するとレーダークルーズコントロールなどの装備は無く、キーレススタートすらも設定がない。

細部に目を向けると、さらに足りないものが見えてくる。

「まるで古風なイタリアンオペラ」

フェラーリがマラネロで作ったV8は、近代のターボエンジンを打ち負かすには役不足で、まるで古風なイタリアンオペラのような感じだ。

しかしレスポンスは突出していて、このエンジンはタコメーターのレッドゾーンに近いところで踊るのが好きなようだ。

エンジンから発せられるサウンドトラックは可変スポーツエグゾーストが奏でるもの。単に流しているようなスピード域ですら、ハードなアクセルワークをもってすればコックピット内には官能的なサウンドが響き渡る。

このほかに、MCにはカーボンボンネットとアグレッシブなディフューザーも備わっている。

ただしギアボックスは冴えない6速オートマ。ステアリングの感触も時代遅れな印象を受けた。

電子制御と油圧のアシストがフィードバックをぼんやりとしたものにしていて、タイトコーナーの連続だとステアリングを必要以上にクルクル回さなければならない。

ただしグリップレベルは天下一品。しかし、MCで限界近くのハイスピードまで攻め込むと若干のアンダーステアを感じた。

ブレーキ、内装にも古さが目立つ

ブレーキペダルからも不活性さが感じられ、スチール製のブレーキは、ハードなブレーキングを繰り返すとすぐにフェードしはじめる始末。

MCはレートを見直したダンパーで、安いスポーツはアダプティブユニットを採用している。

これまで同様用意されているスポーツボタンは、ギアチェンジをスロットルマップで変更するだけのものだ。グランツーリスモの名にふさわしく、ダイナミックなミッションを採用するのがベターだったのではなかろうか。

新たに採用されたインフォテインメントシステムは、シフト横のロータリー式のつまみで操作するタッチスクリーン式のもの。

操作感は良好で、ハーマン・カードン製のスピーカーシステムも申し分ない。

しかしグランツーリスモのキャビンは、どこか古臭く不自然なドライビング・ポジションのおかげでスイッチ類の視認性が悪いのが気になった。またレザー同士がきしむのも悩みの種になるだろう。

■「買い」か?

「最後だから」と背中を押すことはできない

ラダーフレームのSUVと高級なスポーツカーは他のタイプのクルマよりも長生きする傾向にある。

いっぽうグランツーリスモは今年10周年を迎えた。もうじき現役を退くベントレー・コンチネンタルGTやアストン マーティン・ヴァンテージ同様古さは否めなくなってきている。

ピニンファリーナ・デザインの4シーターで、なおかつフェラーリのエンジンを積んでいる、というだけでアピールできるという人がいるかもしれないが、今年が2017年であるということを思いだしていただきたい。

マセラティ・グランツーリスモMC

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