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「F1は一生諦めない」“ブレない男”笹原右京はスーパーGTで輝きを放てるか

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「F1は一生諦めない」“ブレない男”笹原右京はスーパーGTで輝きを放てるか

 1月10日、ホンダが2020年のスーパーGT GT500クラスの参戦体制を発表した。その中で最大の“サプライズ”となったのが、笹原右京のTEAM MUGEN加入だ。彼はチームに浮上のきっかけを与える存在として、大いに期待されている。

 マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで行なわれたスーパーGTの非公式テストでNSX-GTを初ドライブした笹原。その後帰国し、北海道で雪上トレーニングをした後、2月初旬に関東に戻ってきたばかりの彼を直撃。「寒暖差が激しかったですね」と笑う笹原は、チームからオファーをもらった時のことを話してくれた。

■笹原右京起用のTEAM MUGEN中野監督「ホンダ全体を底上げするのに必要だった」

「オファーが来たのはクリスマスの後くらいです。MUGENさんから直接お電話をいただきました。突然だったので『間違い電話かな?』と思いました(笑)」

「自分の中では8割方『2020年はここでやろう』と決めていた場所がありました。そんな中、GT500のオファーをいただけるとは思っていなかったので、初めはびっくりしたというのが正直なところです」

 これまで「自分の夢はF1」と繰り返し強調してきた笹原。2020年はいわゆる“ハコ車”のカテゴリーであるスーパーGTで戦うこととなるが、彼の胸には変わらず“F1”の2文字が刻まれているものの、この挑戦をポジティブに捉えている。

「F1は自分の幼い頃からの目標です。その気持ちは一生変わらないと思いますし、諦める必要もないと思っています」

「ただ、僕はこれ(スーパーGT参戦)をチャンスだと考え、前向きに捉えています。どこにおいても自分のベストを尽くして、それを数字として残していけば、いつどこにチャンスが転がっているか分かりません」

「自分が本当に目指しているのはF1ですが、スーパーGTもF1に繋がっている部分は少なからずあると思うので、しっかりと準備をして、光る所を見せたいと思っています」

「もちろん、スーパーGTのGT500クラスにとどまるつもりかと言われればそうではなくて、もっともっと上に行きたいという気持ちがあります。ただ、スーパーGTはとても興味のあるカテゴリーだったので、ワクワクしています」

 2017年からスーパーGTのGT500クラスに参戦しているTEAM MUGENは、これまで苦戦を強いられてきた。過去3シーズンでのベストリザルトは4位(2018年第6戦SUGO)で、上位争いには絡めずにいる。

 中野信治監督は、苦戦を続けるチームの“流れを変える存在”を求めていた。そんな中で白羽の矢が立ったのは、単身ヨーロッパに渡り、自らの力で道を切り拓いてきた笹原だった。

 中野監督はホンダの体制発表が行なわれた1月10日、motorsport.comのインタビューに答え、積極的に物事を動かし、チームを引っ張っていく笹原のスタイルを高く評価していると語っていた。笹原は指揮官やチームからの全幅の信頼を感じており、それがとても心強いことだと語った。

「チームからはありがたいことに『感じたことをそのまま伝えてほしい』とおっしゃっていただいていますし、中野監督にも『今まで自分がやって来たスタイルのまま、チームをガンガン引っ張ってほしい』とお言葉をいただきました。これはとても心強かったです」

「チームもイケイケなスタイルで、すごくアツい人たちが集まっている“レース屋”という印象を受けました。これは自分に合っていると思います」

「チームメイトの武藤英紀選手も、本当に尊敬できるパートナーです。北海道での雪上トレーニングもご一緒させていただきましたし、お互い楽しく、良い雰囲気で仕事ができていると思います。セッティングに関するコメントもほとんど同じで、ポジティブなことばかりです」

 これまでの3シーズン、苦しい戦いが続いてきたTEAM MUGEN。低迷していたチームが1年で一気にシーズンを席巻できるほど、スーパーGTが簡単なカテゴリーではないということは、中野監督も笹原も自覚している。しかし笹原は、シーズン中のどこかでやってくる千載一遇のチャンスを確実に掴むことで、チームに浮上のきっかけを作りたいと語った。

「スーパーGTはそう簡単なカテゴリーではありません。車体、タイヤの両方が伸びていく必要がありますし、これから自分がやっていかなければいけない任務はかなり多いです」

「ただ、シーズンの中でどこになるかは分かりませんが、僕たちにとってチャンスとなる場面がやってくることは必ずあるはずです。そこを存分に活かして一気に勢いに乗る、そんなシーズンにしたいと思います」

「チームのみなさんは同じ方向を向いて、それぞれの分野ですごく頑張ってくれているので、今年はそれを前進につなげられるようにしたいです。目の前の課題をチームのみんなでひとつずつ克服して、強いチームになる……僕は少しでもその力になれる存在でありたいです」

 1年目に学び、2年目で結果を出す……そんなドライバーもいる中、笹原はあらゆるカテゴリーで1年目から速さ、強さを見せる傾向にある。昨年、アジアンF3とポルシェ・カレラカップ・ジャパンを共に参戦1年目で制したことが、それを何よりも物語っている。笹原がスーパーGTでも1年目から“爪痕”を残すことになれば、自らの夢へ向けた大きなアピールになるはずだ。

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