フェラーリのチーム代表を務めるマッティア・ビノットは、ロシアGPの決勝レース前にセバスチャン・ベッテルおよびシャルル・ルクレールと交わした”合意”の内容の詳細を説明した。
週末を通して好調だったフェラーリは、予選もその勢いを保ち、ルクレールがポールポジション、ベッテルが3番グリッドを獲得した。ソチ・オートドロームはスタートから最初のブレーキングポイントであるターン2までの距離が長く、ストレートスピードが優れているフェラーリがスタート直後にワンツー体制を築くことが予想された。
■”チームオーダー問題”は尾を引く? ルクレール「ベッテルへの信頼はまだある」
実際、レースがスタートすると3番グリッドのベッテルが速さを見せ、ルクレールと横並びに。2番グリッドからスタートしたルイス・ハミルトン(メルセデス)の前を塞ぐような形となった。そしてインサイドにいたベッテルがルクレールよりも先にコーナーをクリア。ベッテル先頭、ルクレール2番手でオープニングラップを終えた。
ビノットは、オープニングラップを確実にワンツー体制で終えられる方法を見つけようと、チームが注力していたことを認めた。
「ロシアでの過去のレースを見ると、1周目に前に出ることが重要だということが分かる。スタートでトップに立てば、トップでフィニッシュできる可能性が高いからだ」と、ビノットは語った。
「言うまでもなく、チームにとって勝利が重要だった。だから我々にとって、1周目にトップと2番手になることは最も大切だった。何らかの形でペースをコントロールすることができるからだ」
「それが起きたことだ。トップと2番手につけて、レースをコントロールしていたので、信頼性の問題がなければピットストップ後もポジションを維持できたはずだ」
無用なバトルを避けるため、ルクレールはスタート直後のターン2まで、ベッテルからリードを守らないことに同意していたと、ビノットは述べた。
「ワンツー体制になることが第一目標だった。ポールポジションと3番グリッドからスタートして、そうなるにはどうすれば良いだろうか? 確実にトップの座を守るだけでなく、もうひとりがひとつポジションを上げて2番手になる必要がある」
「まずハミルトンにスリップストリームを与えないことが最善だと我々は合意した。彼に有利になるし、少なくとも何らかの可能性が生まれる。それゆえ、シャルルはセブにスリップストリームを与えることになった」
「それが我々が同意し、議論したことだ。(ルクレールが)スリップストリームをセブに与え、ポジションを守らないことでセブに有利になる。だから後にポジションを入れ替える。それが約束だった」
「起きたことは、この説明の通りだったと思う。ふたりとも良いスタートを切った。どちらもソフトタイヤを履いており、同様のスタートだった。シャルルは左側に留まり、セバスチャンはすぐにハミルトンの前に出た。当然、彼はシャルルのスリップストリームを使っていたと思う」
レースが落ち着くと、ルクレールはチームに対し、ベッテルにポジションを入れ替えさせるように要求。チームもベッテルに指示を出したが、ベッテルはそれに従わず、ルクレールとの距離が遠すぎると返した。
ビノットは、チームにとって必ずしもレース序盤にポジションを入れ替える必要があったわけではないと主張した。
「映像を見るに、スタートは計画通りにうまくいったので、セブにポジションを入れ替えるように頼むのは適切だと考えた。最終的にふたりのドライバーは異なる意見を持つかもしれないが、それについては彼らと話し合いをするだろう」
「当初はセブにポジションを戻すように求めたが、レースのその段階ではシャルルが十分に近い位置にいなかったと言える。(無理にポジションを入れ替えれば)コース上でタイムを失ってしまうだろう。セブはかなり速く、シャルルに対してアドバンテージを持っていた」
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