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フェラーリの強みを活かし、孤軍奮闘の“1対2バトル”を制したルクレール【今宮純のベルギー&イタリアGP採点】

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フェラーリの強みを活かし、孤軍奮闘の“1対2バトル”を制したルクレール【今宮純のベルギー&イタリアGP採点】

 F1ジャーナリストの今宮純氏が独自の視点でドライバーを採点。週末を通して、20人のドライバーから「ベスト・イレブン」を選出。予選やレースの結果だけにとらわれず、3日間のパドックでの振る舞い、そしてコース上での走りを重視して評価する。今回は第13戦ベルギーGP&第14戦イタリアGP編だ。

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王者ハミルトンを相手に一歩も引かず。究極のマッチレースを制した新星ルクレールの巧さと強さ【今宮純のF1イタリアGP分析】

☆ アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)
 ベルギーGP:18位/イタリアGP:9位

 ベルギーGPのスパ(フランコルシャン)で最終盤にクラッシュ、その償いをモンツァで果たした。今年、アルファロメオ復活で母国イタリアは期待感が高まり、スタンドにも“アルファカラー”のファンが増えた。しかし頼みのライコネンは予選のクラッシュで始まり、決勝のタイヤ取り付けミスによるペナルティもあって「最低の週末」と自己総括(?)。それだけに“アルフィスタ(アルファ愛好家)”を喜ばせたジョビナッツイ9位入賞に、ひとつ星を与えたい。たとえれば、日本GPで日本人が入賞したことと状況は同じなのだから。

☆ ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)
ベルギーGP:15位/イタリアGP:14位

 気付いた方もいるだろうか。イタリアGPモンツァの終盤、ラッセルとフェラーリのセバスチャン・ベッテルが後方で周回遅れの接近戦。41周目にタイヤ交換したベッテルに52周目にかわされたが、1.483秒差の14位。ちなみに後ろは15位キミ・ライコネン、奇しくも昨年のフェラーリコンビと“サンドイッチ・ラン”。いまのウイリアムズで……。

☆☆ マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
ベルギーGP:リタイア/イタリアGP:8位

 ちょっとおかしい。トップ5フィニッシュを21戦つづけていたのがベルギーGPで止まった。スタートで遅れると1コーナーで接触、オールージュでクラッシュ。

 モンツァではスペック4搭載のペナルティにより19番手から今度は1コーナーでセルジオ・ペレスに追突。2戦つづきで“見切り”を誤るのは珍しい。最近スタートダッシュに神経質になっていることと、何か関係性があるのだろうか。単独走行ペースは上位勢と同レベルだったが、ペレスに仕掛けなかったのは今後に備えホンダPUをセーブしたと思える。

☆☆ アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)
ベルギーGP:5位/イタリアGP:6位

 レッドブル・デビュー2戦、この結果でそろえチーム側もひと安心。モンツァではマシンパッケージに慣れ、アグレッシブに攻めた。コースオフやショートカットなどしたものの思い切りの良さは〇、3戦目からの進化を注視しよう。

☆☆ ランド・ノリス(マクラーレン)
ベルギーGP:11位/イタリアGP:10位

 スパの5番手快走でルーキーの潜在力をさらに知らしめた(終盤にPUトラブルによる完走扱い11位)。モンツァではペナルティのために後方16番手からミディアムタイヤ→ハードタイヤとつなぎ10位入賞。最年少19歳でも「安心して見ていられる」。まさにベテランのようなルーキー。

☆☆☆ ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)
ベルギーGP:8位/イタリアGP:5位

 ルノーとの契約を終えることになっても、この連戦に平常心を保つポジティブな姿勢がうかがえた。いまの立場でレースに集中している。来季動向は不明だがドライバーズマーケットで、彼の評価は上向き傾向にある。

☆☆☆ ダニエル・リカルド(ルノー)
ベルギーGP:14位/イタリアGP:4位

 今年ルノーに移籍しただけに、育成アカデミー所属のFIA-F2ドライバー、アントワーヌ・ユベールの事故死にスパではショック隠せずにいた。それでも連戦の得意なモンツァで予選からロー・ダウンフォース・セットアップを決め、セクター1と2でフェラーリ勢に次ぐタイム(!)。ブレーキングスキルを発揮、中間チームのトップを独走する決勝4位(ヒュルケンベルグも5位)。ルノーワークス体制になってからのベストリザルト、一気にトロロッソ・ホンダをコンストラクターズランキングで抜き5位にジャンプアップ。「やっといい仕事ができた」と笑うリカルド。

☆☆☆ セルジオ・ペレス(レーシングポイント)
ベルギーGP:6位/イタリアGP:7位

 フェルスタッペンを抑えイタリアGPで7位獲得、イタリアGPではフォースインディア時代から6年連続入賞なのだ。高速コースに強いマシンと彼自身の“ブレーキングスキル”がその理由。

☆☆☆ ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)
ベルギーGP:9位/イタリアGP:11位

 アントワーヌとガスリーのふたりは、人格形成される時期の10代半ばをル・マンでともに過ごした。レーシングカートと学業の両立を考慮するフランス自動車連盟の“育成アカデミー”同期生だった。8・31の悲しみを乗り越え、アントワーヌの遺志を継ぐかのようにこの連戦をまっとうしたピエール。個人的な見方をここで申し上げると、彼は追いかける想いでスパとモンツァをカート時代のようにともに走っていたのだろう……。

☆☆☆☆ ルイス・ハミルトン(メルセデス)
ベルギーGP:2位/イタリアGP:3位

 この連戦中はセッション1位が一度も無かった(モンツァ予選Q2だけ)。フェラーリ優勢を承知のうえで、ダメージコントロールを主眼とした戦法に切り替えていったのだろう。夏休み明けの連戦を17年と15年は2連勝、タイトル制覇に向け加速していったのとは違う流れに。六冠への“チャンピオンシップ・マネージメント”に徹する彼はモンツァでルクレール2連勝を称えた。ドライバーズランキングで100点差もある4番手の新鋭は、タイトル戦線のライバルではないからだ。

☆☆☆☆☆ シャルル・ルクレール(フェラーリ)
ベルギーGP:優勝/イタリアGP:優勝

 完全にフェラーリSF90をマイ・マシンに仕上げているのが、この連戦でよく分かった。誰もがストレート優勢と見るフェラーリで彼はモンツァ予選において、セクター1も2も3もTポイント(1コーナー手前)もすべて最速。しっかりそのパフォーマンスを確認している。

 さらにこの強みを活かしつつ、劣勢と見られていたコーナーでもアンダーステアをとどめるバランスを見いだした(そこがベッテルとの違いだ)。また彼はハード寄りのピレリを金曜から巧く使いこなしていた。モンツァでの後半スティント33周、孤軍奮闘の“1対2バトル”でそれが明らかに活きた。

 若き騎手ルクレールが鞭打つ跳ね馬が勝ち、ヨーロッパラウンドは閉幕。シーズン終盤あと7戦にルクレールはいくつ勝てるか、あるいはフェルスタッペンも……。これからは個人戦がピーキング・ゾーンに入っていくだろう。

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