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伏兵フェルッチの逆転なるか? 注目株が連ねるインディカーのルーキー・オブ・ザ・イヤー争い

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伏兵フェルッチの逆転なるか? 注目株が連ねるインディカーのルーキー・オブ・ザ・イヤー争い

 2019年シーズンのインディカー・シリーズではルーキーが大活躍している。

 コルトン・ハータ(ハーディング・スタインブレナー・レーシング)は、開幕2戦目のとなるサーキット・オブ・アメリカズで早くも初優勝し、開幕戦セント・ピーターズバーグで予選3位というセンセーショナルデビューを果たしたフェリックス・ローゼンクヴィスト(チップ・ガナッシ・レーシング)はインディアナポリス・モータースピードウェイのロードコースで行われた第5戦インディカーGPで初めてのポールポジションを獲得した。

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 ハータは特に予選でスピードを見せていて、第5戦インディカーGPから4戦続けてトップ5入り。初出場のインディ500でトップ5に食い込み、第10戦ロードアメリカで初ポールポジションを獲得している。


 しかし、開幕戦8位、第2戦優勝というスタートダッシュとは対照的に、3戦目からはレースでの成績が散々。第3戦バーバーから20位以下でのフィニッシュが4戦も続き、その後も12位が2回、18位が2回と並のルーキーと変わらないリザルトを積み重ね、トロントでの7位が優勝以外でのベストリザルトだ。

 ドライバーには責任のないメカニカルトラブルもあったが、第4戦ロングビーチ、第5戦インディカーGP、第9戦テキサス、第14戦ポコノとアクシデントが多いのも事実。

 ローゼンクヴィストにも決勝レースでの20番手以下という結果は3回ある。しかし、第13戦ミド・オハイオで先輩チームメイトのスコット・ディクソンに猛チャージしての2位フィニッシュで初表彰台を達成。それを含めてトップ5フィニッシュが5回あり、トップ10は8回とハータに比べて高い安定感を見せてきた。


 これは新興のハーディング・スタインブレナー・レーシングと、12回もタイトルを獲得しているチップ・ガナッシ・レーシングの違いでもある。

 ポコノでは1周目のアクシデントに巻き込まれて最下位の22位にランクされたローゼンクヴィストだが、ルーキー・オブ・ザ・イヤー争いではトップを走り続けている。

 ポールスタートだった第5戦インディカーGPで8位フィニッシュしてルーキーポイントのトップに躍り出た彼は、第13戦ミド・オハイオでの2位フィニッシュでシリーズランキング9位に食い込んだ。

 ハータは1勝しているが、ポイントスタンディングはトータル14位で、ルーキー3番手とポジションは低い。アクシデントによる4回のリタイアと、ダブルポイントのインディ500でメカニカルトラブルによる最下位となったことが大きく響いている。

 しかし、ポールポジション1回、予選トップ5が6回という予選でのパフォーマンスは高く評価され、マクラーレンとアロウ・シュミット・ピーターソン・モータースポーツ陣営が来シーズンに向けて獲得に動いたほどだ。彼はアンドレッティ・オートスポート陣営(現チームはAAと提携)残留の意向を明らかにしている。

 今年のルーキーについては開幕前からハータとローゼンクヴィストに話題が集中しがちだった。しかし、シーズンが終盤戦に入った今、サンティーノ・フェルッチ(デイル・コイン・レーシング)が彼らの間に入るルーキーポイント2番手にいる。

 しかも、ローセンクヴィストとのポイント差は第14戦ポコノ終了時点で13ポイントと小さい。F1出身のマーカス・エリクソン(アロウ・シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)もいる今年はまさにルーキー大当たりと呼べるシーズンとなっていて、ルーキーバトルは熾烈を極めている。

■ヨーロッパより母国の水が合ったフェルッチ
 ニューヨーク州のすぐ北のコネチカット州出身のフェルッチは、5歳の時点でF1ドライバーを目指してレーシングカートに乗り始め、その計画通りに2016年からGP3、2017年からGP2に参戦。ハースF1チームのテストドライバーを3年も務めた。

しかし、GP2でチームメイトのマシンにレース後に故意にぶつけたことなどからペナルティを課せられ、数レースへの出場停止となってチームから契約を解消された。

 接触事件にはそれに至る背景があったとサンティーノは主張するが、ヨーロッパではそれが受け入れられなかった。その結果、彼のF1への道は断たれ、インディカーにフォーカスすることになる。

 デビューは2018年のデトロイトでのダブルヘッダーで、トータル4戦に出場し、ベストリザルトはソノマでの11位だった。

 今年からデイル・コイン・レーシングでフルシーズン出場を果たすことになったフェルッチは、スピードだけでなく、ゴールまでマシンを運ぶ能力の高さも見せて評価を上げている。

 20位以下はルーキーでは最も少ない2回に収め、トップ10フィニッシュも5回とまずまずの数字を残している。ベストリザルトはテキサスとポコノ、ふたつの高速オーバルでの4位フィニッシュ。どちらのレースでも恐れを知らない走りを見せていた。

 小柄で、カーリーヘア。フェルッチはその風貌の通りに陽気で、愛嬌があり、すっかりインディカーのパドックに受け入れられている。

 ドライバーとしての才能は彼自身がレースで証明しており、アメリカでの人気は急上昇中。無口でシャイなアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)と対照的な、天衣無縫のキャラクターで今後さらにファンを増やしていきそうだ。


 彼にネガティブな要素があるとすれば、最大のスポンサーである父マイケルが少々煙たがられる人物であるところかもしれない。

 彼はサンティーノのGP2時代、ドナルド・トランプの大統領選挙運動でのキャッチフレーズである“メイク・アメリカ・グレイト・アゲイン”をサイドポッドに掲げるようチームに要求し、“政治的メッセージはレギュレーション違反”とチーム及びFIAに拒絶されたなどという逸話を残している。

 GP2では事件から“危ないキャラクター”と捉えられがちだったサンティーノだが、インディカーで走り出してからの彼は“やんちゃ坊主”、あるいは“問題児”としてトラブルを引き起こしたりはしていない。

 レースぶりで先輩たちから苦情を寄せられたという話も聞こえてこない。“恐れを知らない”走りは、アクシデント回避の場面で発揮されたものだ。

 テキサスでもポコノでも、直感的なライン採りと驚異的マシンコントロール能力で大きなポジションゲインを達成。5台が絡んだポコノでの1周目、サンティーノは的確な判断を下してアウト側にラインを保持し、13番手スタートから5番手にまで大きくポジションを上げて1周目のコントロールラインに戻ってきた。

 彼より前のグリッドからスタートした5台がアクシデントに巻き込まれたのも事実だが、それらを除く3台をパスしたということだ。

「楽しく、エキサイティングな週末だった。地元が近いので、家族や友人も含めて120人ものゲストが来てくれていた。それだけの人たちが注目している中でのレースとあって、プレッシャーはとても大きかったよ」

「でも、トップ4走り続け、レースを楽しむことができた。デイル・コイン・レーシングが高い能力を持っているおかげだ。マシンが走り初めから速く、レールの上を走っているかのように安定していたからね。トップ3フィニッシュが狙えるマシンになっていて、一時は優勝の可能性すら感じていた」

「雨でレースは短縮された。それは仕方ない。4位でのゴールには満足すべきだと思う。ルーキーポイントでのゲインも果たせたし、ランキングは全体の12位にまで上がった。オーバル1レースを含めた残り3レースで、どこまでポイントランキングを上げられるか、楽しみだ」とサンティーノはポコノのレース後に話していた。



 ハータには技術提携関係にあるアンドレッティ・オートスポートの先輩ドライバー4人と、彼ら4台のデータという強い味方がいる。

 ローセンクヴィストには5度のタイトル経験を持つディクソンと、チップ・ガナッシ・レーシングという強力なチーム体制がある。

 対するフェルッチには、マシンセッティング能力の高い、チャンプカーで4回チャンピオンになっているセバスチャン・ブルデーというチームメイトがいる。

 アメリカントップオープンホイールでの経験が少ないサンティーノにとって、それは大きなメリットとなっており、短期間で多くのことを学ぶことができているようだ。

 もう2019年もシーズンも残るレースはショートオーバルのゲートウェイとロードコースのポートランド、ラグナセカの3戦だけ。ルーキー・オブ・ザ・イヤー争いは、ローセンクヴィストが逃げ切るか、フェルッチが逆転するか、大いに注目の集まるところだ。

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