F1第12戦ハンガリーGPの決勝レースが行われ、メルセデスのルイス・ハミルトンが、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンとの激闘を制し、今季8勝目を挙げた。
ポールポジションはフェルスタッペン。前日に行われた予選でわずか0.018秒差でバルテリ・ボッタス(メルセデス)を抑え、自身初のポールポジションを獲得した。
決勝日のハンガロリンクは気温25度、路面温度48度というコンディション。スタートタイヤを選べる11番手以下のマシンは、ほとんどがミディアムタイヤスタートを選択。最後尾のダニエル・リカルド(ルノー)だけがハードタイヤを選んだ。
70周のレースが幕を開けると、フェルスタッペンがインサイドをきっちりキープし、ホールショットを奪った。ボッタスとハミルトンはサイド・バイ・サイドで2番手を争った。しかしボッタスはハミルトンとターン3で軽く接触し、さらにルクレールとも接触。これでボッタスはフロントウイングにダメージを負い、5番手まで落ちてしまった。また、6番グリッドのピエール・ガスリー(レッドブル)はスタートで出遅れ、10番手までポジションを落とした。
フェルスタッペンはファステストを叩き出し、DRSが使用可能となる3周目までにハミルトンに対し2秒以上のギャップを築く。一方ボッタスは1周につき2秒以上ペースが遅く、5周を終えたところでピットイン。フロントウイングを交換し、ハードタイヤを履いて復帰したが、最後尾20番手まで落ちた。
ハミルトンがペースを上げると、フェルスタッペンがそれに応じてファステストを更新するというハイペースの展開。これにフェラーリ勢はついていけず、10周を終えたところで、フェルスタッペンから10秒以上遅れることとなった。
マクラーレンはカルロス・サインツJr.が5番手、ランド・ノリスが6番手でランデブー走行。ガスリーは7番手のキミ・ライコネン(アルファロメオ)をなかなか抜けずに周回を重ねた。
トロロッソ勢は、チームメイト同士で12番手争いを展開した。19周目にサイド・バイ・サイドとなり、アレクサンダー・アルボンがコースオフ。ダニール・クビアトが前に出た。
トップ争いは2秒前後の差で続いていたものの、20周目前後からフェルスタッペンがペースダウン。無線でタイヤのグリップ低下を訴え、ハミルトンとのギャップは1.2秒ほどまで縮まった。メルセデスは、22周終わりでクルーがピット作業の準備をするも、ハミルトンはピットインせず。そのままフェルスタッペンとの差をさらに詰めていった。
先に動いたのはフェルスタッペン。25周を終えたところでピットに飛び込み、ハードタイヤへと交換した。新しいタイヤを手にしたフェルスタッペンは、アウトラップからハイペース。ハミルトンはピット作業での逆転は不可能と見て、ピットインを遅らせた。フェラーリ勢は、ルクレールが27周終わりにピット作業を行った。
その後、後続のマシンもピットイン。ノリスはタイヤ交換に時間がかかってしまい、9番手までポジションを落とした。
ハミルトンがピットに入ったのは、31周を終えたところ。作業に4秒かかってしまい、ハードタイヤで好ペースを刻んでいたフェルスタッペンの6秒後方でコース復帰となった。
しかしこれで火がついたのか、1分19秒台のタイムを連発したハミルトンは、フェルスタッペンとの差を一気に削り急接近。35周目にはトップ争いがテール・トゥ・ノーズ状態となった。
39周目には、フェルスタッペンが周回遅れにひっかかってしまう。この好機をハミルトンが見逃さず、ターン1で両車が完全に横並びとなった。イン側を守ったフェルスタッペンはなんとかこれを抑えるも、ハミルトンはまだ諦めず。ターン4でアウト側からオーバーテイクを試みるが、ランオフエリアに飛び出してしまった。これでハミルトンは一歩後退。フェルスタッペンのリードが2秒ほどに広がった。
ピットストップを遅らせていたベッテルは、40周目にようやくピットへ。ミディアムタイヤからソフトタイヤへと履き替えたが、タイヤ交換に6秒近くかかってしまった。
44周目、フェルスタッペンとハミルトンは、9番手までポジションを回復していたボッタスを周回遅れに。ハミルトンはチームからブレーキのケアをするように指示されながらも、フェルスタッペンとの差をまたしても縮め、1秒前後での接近戦が続いた。
ボッタスは46周を走り終えて2度目のピットイン。この間に、ハードタイヤでスタートしていたリカルドもピットに入った。
すると、ハミルトンも48周終わりで意表を突く2度目のピットイン。ミディアムタイヤへと履き替えた。残りの22周でフェルスタッペンとの21秒差を詰め、コース上で逆転するという作戦に切り替えたのだ。これに対し、レッドブルはフェルスタッペンをステイアウトさせた。
ハミルトンはファステストを叩き出すも、フェルスタッペンも自己ベストを更新して必死の応戦。見えない相手とのアタック合戦が続いた。
周回遅れの集団を切り抜け、前が開けたハミルトンは1分18秒台のファステストラップを連発しフェルスタッペンを猛追。残り10周でその差はメインストレート1本分、約11秒ほどとなった。
金曜日の雨でほとんどロングランが出来ていない中、タイヤが保つことを信じて逃げるフェルスタッペン。3番手のルクレールは50秒以上離れており、ハミルトンはタイヤが保たなかったらピットに入ればいいという状態だ。
64周目、ラップタイムが1分21秒台まで落ちたフェルスタッペンに対し、ハミルトンは1分18秒台とペースは落ちず。66周目、ハミルトンはついにフェルスタッペンを捉え、DRS圏内に入った。すでにフェルスタッペンには、ハミルトンに対抗できる余力は残っておらず、67周目の1コーナーでオーバーテイクを許してしまった。
残り4周というところで首位陥落したフェルスタッペンは、ピットインしソフトタイヤへ交換。ファステストラップのボーナスポイントを狙った。
2ストップ戦略を見事遂行したハミルトンが、そのままトップチェッカーを受けて今季8勝目となった。
フェルスタッペンは悔しい2位フィニッシュ。69周目に1分17秒103を叩き出し、意地のファステストラップを記録した。
3位は、68周目にルクレールをパスしたベッテル。しかしトップ2との差は歴然で、ハミルトンからは1分以上の差をつけられた。ガスリーは最後までサインツJr.を抜けず6位。なお、5位以下が周回遅れとなっている。
7位はライコネン。0.7秒差でボッタスを抑えた。ノリスが9位、10位のアルボンまでがポイントを獲得した。
ハンガリーGPの結果、ハミルトンはタイトル争いのリードを62ポイントまで拡大した。ランキング3位のフェルスタッペンは、ボッタスまで7ポイントに迫った。
これで、F1サーカスはつかの間の夏休みへ突入。次戦ベルギーGPは9月1日(日)に決勝レースが行われる。
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