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今季初のドライレースは想定外のアクシデント連発。auとKeePerのトムスがワン・ツー&レクサスが表彰台を独占【GT500決勝】

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今季初のドライレースは想定外のアクシデント連発。auとKeePerのトムスがワン・ツー&レクサスが表彰台を独占【GT500決勝】

 記録的な真夏日となった5月最後の週末。5月26日(日)に鈴鹿サーキットで開催された2019年スーパーGT第3戦は、au TOM'S LC500の中嶋一貴/関口雄飛組が予選ポールポジションからの流れを見事に維持して今季初優勝。2位にもKeePer TOM'S LC500が入り、トムスがワン・ツー・フィニッシュを飾ると同時に、関口自身はスーパーフォーミュラに続く2週連続の優勝を飾ることになった。

 2018年シーズンより8月真夏の1000kmから5月の300kmスプリントに変貌を遂げ、2年目を迎えた鈴鹿ラウンドは、日本上空を覆う熱波の影響を受け土曜予選日から気温30度越え、路面温度は48度に達する真夏日を記録。日曜決勝日に3万6000人のファンが詰めかけたサーキットは、この日も30度越えを記録する酷暑の1戦となった。

【順位結果】2019スーパーGT第3戦鈴鹿 決勝

 天候に翻弄された開幕2戦を経て、シーズン序盤での戦力総括の舞台となった鈴鹿では、予選でレクサス陣営のトムス2台がフロントロウを独占。一方、ニッサン陣営はウエイト搭載量が11kgに留まるカルソニック IMPUL GT-Rが4番手ながら、2戦連続2位表彰台獲得で49kg搭載のMOTUL AUTECH GT-Rは10番手と厳しいポジションに。

 対するホンダ陣営は予選Q2に4台を送り込むと、24kg搭載のARTA NSX-GTがセカンドロウ3番手に躍進。6番手MOTUL MUGEN NSX-GT以下、22kgの王者RAYBRIG NSX-GT、12kgのKEIHIN NSX-GTの3台がどこまでトムス勢を追えるかがファーストスティントの焦点となった。

 14時30分のパレード、フォーメーションラップを経てスタートした52ラップのレースは、フロントロウ2台のLC500、中嶋一貴と平川亮が後続への駆け引きを見せ、セーフティマージンを築いて1コーナーへ。隊列はそのままクリーンな立ち上がりでポジション変動なく推移すると、4周目のシケインでは7番手のRAYBRIG山本尚貴がMOTUL NSX-GT武藤英紀のインに飛び込み、前を追う体制を整える。

 続く5周目には5番手のカルソニックGT-R、ジェームス・ロシターがシケインのブレーキングでミスを犯しオーバーシュートし、ホームストレートへの加速でWAKO'S 4CR LC500に並ばれあっさりと後退。

 翌6周目のシケインでも、リアライズコーポレーション ADVAN GT-RとZENT CERUMO LC500が300クラスのバックマーカーを挟んで交錯すると、直後にはレースコントロールより24号車リアライズGT-Rにスタート違反でのドライブスルーペナルティが警告され、翌周にはピットレーンへと向かうことに。

 同じ周回では3番手走行中だったARTA NSX-GTもバックマーカー処理の間隙を突かれ、WAKO'S LC500、カルソニックGT-Rに先行を許す苦しい展開となる。

 42度の路面温度でスタートしたレースは10周目を終える頃には38度に落ち着き、トップ3台のLC500が1分50秒台でじりじりと逃げ始め、3番手WAKO'S LC500から4番手カルソニックGT-Rのギャップが5秒に拡大。さらに後方ではDENSO KOBELCO SARD LC500のヘイキ・コバライネンも速さを増し、11周目のスプーンでわずかにワイドになったKEIHIN NSX-GTをかわすと、13周目の1コーナーではMOTUL MUGEN NSX-GTのアウトから並びかけ7番手にまで浮上してくる。

■MOTUL AUTECH GT-Rがまさかのトラブル発生で130Rでクラッシュ
 ここから一旦はこう着状態となったGT500の車列だが、その静寂を破るかのようにMOTUL AUTECH GT-Rのロニー・クインタレッリが突如、白煙を上げながら18周目の130Rをオーバーラン。右フロントから火花を散らしながらスポンジバリアにクラッシュし、このアクシデントでセーフティカー(SC)が導入される。クインタレッリはマシンを降りてパドックに戻り、テレビ放送のインタビューには「フロントの右タイヤがバーストした。急なトラブルでびっくりしましたが、身体は問題ありません」と答えた。

 レース距離約3分の1を迎え、各陣営のピット戦略に差し掛かるタイミングでのアクシデントに加えて、首位au TOM'S LC500中嶋一貴が2番手に築いた3.3秒のマージンはこれで消滅。ホームストレートで隊列を整えたパックは、23周目SCアウトで仕切り直しのリスタートに。

 するとトップ勢を除いてNSX-GT勢が大挙してピットへとなだれ込み、ここで迅速な作業を見せたMOTUL NSX-GTがいち早くピットアウト。続く24周目にはトムスが戦略を分け、首位を行く36号車au TOM'Sからピットへ。同じくWAKO'S LC500、ARTA NSX-GTもピットレーンへと続くと、レクサス勢2台はモニター上で38秒5、38秒4とコンマ1秒の停止時間差でピットアウト。

 さらに25周目に逆転を期してピットへ向かった37号車KeePerだが、39秒5と前周作業のライバルよりわずかに遅れを取り、コースインしたニック・キャシディは2コーナーでau 関口雄飛に、続く逆バンク手前でWAKO'S大嶋和也にポジションを明け渡してしまう。

 しかしKeePerもタイヤのウォームアップが完了し、GT300クラスのバックマーカーも絡み始めると、レクサス同士3台の首位争いが激化。さらにその背後からはARTA野尻智樹も迫ってくる。

 すると30周目のシケインで混乱に乗じたKeePerキャシディがWAKO'S大嶋を強引にかわしてリベンジとばかりに2番手へ。さらにau関口に対しても背後で右に左にマシンを降り、ヘアピン立ち上がりで並走するそぶりを見せるなど、激しくプレッシャーを掛けていく。

 しかし32周目にはそのワイルドなテンションが祟ったか、KeePerキャシディが130Rでワイドになり再びWAKO'S大嶋を前に出すと、今度は大嶋がau関口に対してテール・トゥ・ノーズで隙を伺っていく。また同じ頃、上位浮上が期待されていたKEIHINは最終コーナーでクラッシュしてしまったようで、ピットロード出口付近のグラベルにマシンを止め、塚越広大はマシンを降りることに。

 30周時点で路面温度は37度とほぼ横ばいながら、1分54秒台後半がやっととマシンバランスに苦しむそぶりを見せるau関口に対し、WAKO'S大嶋、KeePerキャシディは1分52秒台と明らかに優勢。そのまま緊張感の高い接近戦が続くなか、今度は5番手を走行していたMOTUL NSX-GTにアクシデントが発生。

■レース終盤にもアクシデント、トラブルが連発する最中、レクサス陣営内バトルが最終局面に
 200Rでバックマーカーをアウトからかわそうとした中嶋大祐だったが、その際に輪荷重が高まったか左リヤタイヤが悲鳴を上げバースト。なんとかマシンを手なづけコントロールを維持したものの、そのままピットへ向かいレースからは脱落となってしまう。

 時計は16時を回り、レースは残り10周の時点でau TOM'S LC500、WAKO'S 4CR LC500、KeePer TOM'S LC500のトップ3が5秒圏内で精神戦を展開。

 ARTA NSX-GT、RAYBRIG NSX-GTはその10秒ほど後方を追う形となっていたが、43周目のデグナーでのバトルでカルソニック IMPUL GT-R、ZENT CERUMO LC500にかわされた際、5番手ジェンソン・バトンのデグナーひとつめの先で飛び出したGT300マシンがコースに戻ってくる際にRAYBRIGの左フロントにGT300のマシンがヒットしてダメージを受け、タイヤがバーストしてしまいスローダウン。ここで昨年チャンピオンもポイント圏外へ去ることに。

 すると45周目には首位のau関口雄飛が徐々にマージンを築き始め、残り5周の時点で2番手WAKO'S大嶋に対し5秒421のギャップを確保。

 するとGT300クラスの集団に遭遇した隙を突き、3番手KeePerキャシディが2コーナー立ち上がりからS字までのわずかな距離、そして狭いコース幅区間で30号車TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTを間に挟む3ワイドの荒技でWAKO'S大嶋を出し抜き再び2番手を奪還。48周目にしてついにトムスがワン・ツー・フォーメーションを取り戻す。

 するとファイナルラップに入ったところで5番手争いを展開していたカルソニック、佐々木大樹のGT-RがGT300との接触でダメージを受けた影響でホームストレート上で力なくスローダウン。バトルを展開中だったDENSO KOBELCO SARD LC500にかわされるばかりか、ピットロード出口にマシンを寄せ無情にも1周を残してレースを終えてしまう。

 そのまま16時27分に300kmのチェッカーを迎え、トムスが1999年以来のフロントロウ独占からのワン・ツー・フィニッシュ。最後の表彰台となる3位にもWAKO'S 4CR LC500が入り、レクサスが復活を証明するポディウム独占のリザルトとなった。

「スタートからクルマの感触は良くて、早めにマージンを作って楽をしたいと思っていたんですが、セーフティカーなどの波乱がありながら思惑どおりのレースができたと思います」と中嶋一貴が語れば、バトンを受けた直後はタイヤの発動に苦しんだ関口も「本当に苦しかったけど、300が絡んで後続が途切れたところでプッシュして、そこからペースが戻ってきてくれて良かった」と、2週連続優勝に安堵の表情。

 一方のホンダ勢はARTA NSX-GTが4位に入るも残るはトップ10圏外、ニッサンGT-R勢は相次ぐトラブルでリアライズコーポレーション ADVAN GT-Rの8位が最上位と、厳しい結果となった。

 初のドライ路面直接対決を終え中盤戦に突入するスーパーGTの2019年シーズン。次戦は海を渡った灼熱タイ・ブリーラムでの第4戦。レクサス独走か、ホンダ、ニッサンの意地が見られるか、シリーズの行方を左右する分岐点になりそうだ。

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