第86回ル・マン24時間レースは、TOYOTA GAZOO Racingの8号車(中嶋一貴/セバスチャン・ブエミ/フェルナンド・アロンソ)が総合優勝。7号車(小林可夢偉/マイク・コンウェイ/ホセ・マリア・ロペス)とのワンツーフィニッシュを果たした。TMG(トヨタ・モータースポーツGmbH)の村田久武社長は、悲願達成の心境を語り、ル・マンの表彰台で君が代を流せて良かったと話した。
LMP1クラス唯一のマニュファクチャラーとして今季の世界耐久選手権(WEC)に参戦、ル・マン24時間レースに臨んだトヨタ。“勝って当然、勝たなくてどうする”。そんな計り知れない重圧の中で、見事に24時間を戦い抜いた。
大願成就! 8号車トヨタ、前年の周回数を大幅に上回り悲願のル・マン初優勝
総合優勝を果たしたトヨタの8号車TS050 HYBRIDは、プライベーターとの技術均衡化で厳しい性能調整が施される中でも、1周13.626kmとなったサルト・サーキットを388周走破。384周目にマシンストップを喫し、残りわずか数分のところで栄冠を逃した2016年のル・マンよりも長い距離を走り切った。
「今回、打算とか計算とかは一切なかったです。最初から自分たちが持っている力を全力で出して、スタートからゴールまでやりきったから、最終的にそういう数字(周回数)になったんだなという感じです」
村田社長は、そう今回のル・マンを振り返った。
「やっぱりル・マンはいろんなことを準備させてくれるレースで、ル・マンの神様が与えてくれる課題を解決できないチームは勝てないんだと思います。当然、速いクルマを持っていないチームは勝つ資格もないんだけど、その色んな課題に対応出来ることがル・マンに勝つ条件だとやっぱり思いますね」
「だから、チームオーダーとか小手先とか、力を隠すようなことは最後までしませんでした」
総合優勝に手が届きそうになりながら、トヨタは何度も苦渋を味わってきた。それでも、今年の目標は単なる優勝ではなく、トヨタの2台が揃ってワンツーフィニッシュを飾ることだったと村田社長は話した。
「レース前のブリーフィングで目標はトヨタの初優勝だと、みんなと確認したんです。『トヨタの初優勝ってどういうことだか分かる? ワンツーだよ』って」
「過去、自分たちのコンペティターだったアウディにせよ、ポルシェにせよ、きちっとワンツーで揃えてきていました。私たちはいつも優勝はするけど片方がいないとか、片方がリタイアしたりとか……それでは意味がないんです」
「チームの中に当然競争はありますが、片方がリタイアして片方が優勝しても何にも意味はないんだという話はみんなにしていました。だからみんなが色んなところで今年の目標はワンツーだと言ってくれていたみたいです」
「最後の最後に襷(たすき)を渡すのは可夢偉と一貴で、『ワンツーを獲るのに、もし精神的に不安定なことになるならオーダーを決めてもいいけど、どうしようか』と彼らを呼んで聞いたんです。そしたら『そんなの僕らに任せてくださいよ』と言われたので、任せました」
2番手を走っていたトヨタ7号車には終盤まさかのピットインミスがあり、セーフティモードでの走行を強いられた上、2度のペナルティを科された。しかし、そこにも過去の反省を活かした対策が施されていたという。
「小さいトラブルはありましたけど、昨年までのトヨタだったらその小さなほころびからリタイアとかを起こしていました。今年は破綻せずに、きちんとコントロール出来ました。最後のやつ(ピットインミス)だけは、もう一回やらないといけませんね」
「昔、(アレクサンダー・)ブルツが一回ピットインミスをやったんですよね。ここは一回ピットロードを過ぎてしまうと1周が13kmもあるのでダメージがでかくて、その時の反省が活かせたんだと思います」
「アンソニー(・デビッドソン)だってリザーブドライバーですけどきっちり役割を担ってくれているし、(アンバサダー兼アドバイザーの)ブルツだって色んな役割を担ってくれています。今回は本当にチームで頑張ったという感じですね」
表彰式では、ドライバーたちと共に表彰台に上がった村田社長。念願だったル・マンでの君が代を喜んだ。
「(表彰台に上がった時のことは)良い表現ができないですけど、君が代はみんなが喜んでいました。ここで君が代が流れるというのは気持ち良いですね。WECでは何回も聞いているから(日本人だけでなく)チームの子らも喜んでいました。ル・マンではよくドイツ国歌を聞いていましたけど、君が代が流れて良かったです」
「(ル・マン制覇を果たし)次はどうするってたくさん聞かれていますけど、そんなのは今どうでもよくって、今晩はみんなと朝まで飲みたいです」
Interview by Kunihiko Akai
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