チャンピオンチーム、メルセデスのテクニカルディレクター、ジェームス・アリソンは新車W09のレーキ角に対する質問をサラッと流してしまった。「わずかにレーキを使っているが、大きな問題ではない」と。たしかに見た目は彼の言うとおりだが、メルセデスW09のフロアフロント部、バージボードの下部の処理が大幅に変わったのはなぜだろう。
これまでは櫛の歯の様なフロアスリットを前後方向に多数設置し、バージボード側面底部の空気流を床下へ導いていたが、W09では一般的なものになり、バージボードの前端下部にはスクープ(空気の取入れ口)が付いている。
メルセデスF1のハミルトン「『W09』で昨年型の欠点を修正。ドライバーふたりが常に強さを発揮できる車に」
これはフェラーリやレッドブルと同様の手法で、ポッド側面やアッパーフロアへのエアロ処理の一部だ。実際、メルセデスW09には昨年よりも明らかにレーキ角が付いているように見える。ただし、ロングホイールベースの基本は変えていないと言うのだから、それほど大きな角度のレーキは使えないということか。
W09は基本的にはレギュレーション対策を施したW08の発展型だが、規制されたシャークフィンはレギュレーションのギリギリいっぱいのサイズで搭載され、ウイングピラーとエクゾースト・テールパイプもフルカバーされている。
もちろん、ボディワーク後方は思い切りタイトに絞り込まれ、低く細くなってかなり前方からポッドエンドの排熱口に向かう。
ウイリアムスやフェラーリが搭載しているロワTウイングはこの時点での搭載はないが、ウイングピラーに極く可愛いミニ・ウイングをあしらい、わずかだろうがモンキーシートの欠落をカバーしていそうだ。
レギュレーション対策を除けば、かなり正常な進化型で、言わば保守的なW09だが、これに対してアリソンは「これまで成功してきた実績を捨ててまで革新を求めるリスクは冒さなかった」と話している。その言葉を裏返せば、つまり、これまでのアドバンテージで今シーズンも充分対応できるという自信の表れだろう。
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