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ライバルN-VANには勝てなかった?ハイゼットキャディーが生産終了した理由

掲載 更新 61
ライバルN-VANには勝てなかった?ハイゼットキャディーが生産終了した理由

ライバルのN-NANに圧倒されてしまった理由

軽商用車のハイゼットキャディーが2021年3月末で生産終了となった。軽スーパーハイトワゴンでもっとも高い全高を持つ(ダイハツではウルトラハイト系という新ジャンルを創出したと称している)乗用車「ウェイク」をベースに開発した2人乗りの商用車である。なお、ウェイクは生産を継続する。

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ハイゼットキャディーは、ウェイクの登場(2014年11月)から約1年半後の2016年6月にデビュー。FFレイアウトによる全高の高さ(1850mm)を室内・荷室空間に生かしたモデルで、荷室高は1235mm(車両中央部のデッキボードを外した場所では1455mm)を実現していた。ちなみに、軽キャブオーバーバンのハイゼットカーゴ(クルーズ系を除くハイルーフ)の荷室のスペックと比べると、キャディーは2人乗り時の荷室長が550mm短く(1310mm)、105mm狭く(1210mm)、高さは共通(1235mm)である。

インパネ各所には仕事で使いやすい収納が設けられ、助手席は前倒しするとテーブルになる。荷室はオール樹脂製でフラットな床面を実現。先進安全技術では衝突回避支援システムの「スマートアシストIII(発売当初はスマートアシストII)」をDグレードを除く全車に採用して、安全性にも配慮している。


ライバルN-VANも同じジャンル

さて、2018年7月には強力なライバルが誕生した。ホンダN-VANである。こちらも新ジャンルの軽商用車である。ポイントは現行N-BOXから採用した第2世代「N」プラットフォームをベースとした点で、センタータンクレイアウトによって低く平らな荷室床面を実現。荷室高は1365mmと低床プラットフォームが大きく寄与している。助手席部分も利用した荷室アレンジも見どころで、前席ドアとスライドドアの間はピラーレスとなっており、荷物の積み下ろしにも配慮している。

2020年の販売実績(届出台数)見ると、ハイゼットキャディーは584台。ライバルのN-VANは3万2391台だから、大きく水をあけられていた(ちなみにダイハツの商用車、ハイゼットカーゴは6万5103台も売れている)。ライバル同士、なぜこんなにも差が付いてしまったのだろうか?

N-BOXが約2年後発で、荷室のアレンジ、低い荷室フロア高(525mm=ハイゼットキャディーは595mm)、CVTのほかに6速MTが選べる…など優位点は多い。しかし、最大のアドバンテージは最大積載量と乗車定員ではないだろうか。ハイゼットキャディーは2人乗り・150kg積み。これに対してN-VANは4人乗り(2人乗りにアレンジ可能)・350kg積みである。N-VANは何と200kgも多く積めるのだ。それでは、なぜ最大積載量がそれぞれの数字に決められたのか?


ダイハツは軽積載を意図していた!
一言で言えば、開発時のコンセプトの違いである。

ハイゼットキャディーは開発時、新時代の軽商用車像を探るため、軽商用車を導入している事業者などにヒヤリングした。その結果、荷室使用率や平均積載重量が減少傾向にあることがわかったという。

その一方で、軽商用車への不満として室内の静粛性、足元の広さ、乗り心地などが上位にあがっており、軽乗用車を商用用途に使うケースが増加していた。女性やシニアの就業率の増加も踏まえて、これまでの荷物優先の発想を転換し、人の働きやすさに重点を置いた新型の軽商用車を企画することになった。

このようなコンセプトから、ハイゼットキャディーの最大積載量は150kgとなったのである。ちなみに、ウェイクのプラットフォームに対して、荷物による沈み込みを考慮した車高の確保、荷物を支える耐久性など商用車仕様としている。


一方、N-VANはアクティバンの後継車だから

対して、N-BOXは軽キャブオーバー商用バンの「アクティバン」の実質的な後継車ということで、荷物を多く積めることを前提条件とした。そのため、アクティバンと同じ2人乗車時350kgを実現している。プラットフォームはNシリーズへの展開を想定して、各モデルに対応するための専用設計の幅を持たせた構造とし、その基本構造を生かした効率的な補強で重量増加を最小限に抑えながら、軽バンとしての性能を達成している。

このように、両車ともに時代やニーズを読んで、コンセプトを決めたのである。しかしながら、積載のキャパシティは購入の決定を大きく左右したと思われる。商用車たるもの、積めないより積めたほうがいいからだ。なお、パーソナルユースを意識してスタイリッシュにまとめ上げたグレード「+スタイル ファン」の設定もN-VANの販売に貢献しており、じつは約5割の販売実績を誇る。

伝統のあるハイゼットの名称を冠しており、商用車のイメージを定着させることで商用車ラインアップの広がりを訴求。ハイゼットカーゴとは異なる層のユーザーの獲得を意識したと思われるが、販売動向によっては発売から時間が経過しているハイゼットカーゴの置き換えを意図していたのかもしれない。新時代のビジネスカーとして参入したハイゼットキャディーであったが、残念ながら浸透せずに生産終了となった。2016年~2020年までの販売台数は6569台だった。

〈文=ドライバーWeb編集部〉

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みんなのコメント

61件
  • 最初から2シーターに割り切ったのに、積載重量は乗用並みでは、軽貨物のヘビーユーザーには響かないでしょう。
  • N-VANは専用モデル、ハイゼットキャディーはWAKEのバン仕様。
    元々人気のなかったWAKEよりも仕事で使うならハイゼットカーゴの方を選ぶ人が多かったのだろう。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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