■連載/金子浩久のEクルマ、Aクルマ
毎年2月初旬に神奈川・大磯プリンスホテルで開催される名物イベント、JAIA(日本自動車輸入組合)の合同メディア試乗会に参加した。輸入車ブランド各社が最新モデルを持ち込み、短時間ながらメディアやジャーナリストが試乗する。限られたシチュエーションながら、そこは、個性豊かなキャラクターが揃う輸入車ならではの発見がたくさん転がっており、試乗車を乗り換えるたびに新鮮な気分になるとともに、あらためてクルマの楽しさを思い知らされる。その片鱗をお届けするとともに、今が旬の輸入車たちを厳選して紹介したい。
ボルボ「S60 T80 Polestar Engineered」vsプジョー「508SW GT BlueHDi」
ボルボの4ドアセダン「S60 T80」を、ボルボ傘下の「ポールスター」がチューンした、長い車名の「S60 T80 Polestar Engineered」。一方の「508SW GT BlueHDi」は、プジョーのステーションワゴン「508SW」のディーゼルエンジン版だ。
「S60 T80 Polestar Engineered」は電気モーターとガソリンエンジンをひとつずつ搭載しているが、それぞれのパワーは見事に一体化され、違和感はない。ナチュラルな加速に新時代の高性能が表現されている。ただ、60km/h以下での乗り心地が引き締まり過ぎなのは好みが分かれる。「オーリンズ」社製ダンパーによる効果が出ていて、高速道路での安定性は抜群だ。併せて「Polestar Engineered」ならではのブレンボ製のブレーキは、タッチがとても良い。黄色いシートベルトが悪目立ちしている以外は外見は「S60」と変わらず、控え目で好感が持てる。ボルボの辛口セダンとも言うべきか。
「508SW GT BlueHDi」は対照的で、大型プジョーの例に漏れず、乗り心地はどこまでもマイルドで優しい。ディーゼルのパワーは必要十分だけれども、加速に不足はまったくない。低回転域からのトルクもたっぷりあるので、街中でも乗りやすい。セダンの「508」(※参考記事)の室内の広さとトランクの使いやすさはクラストップだったが、ステーションワゴンの「SW」となると、さらにそれ以上の恩恵を感じる。下手なSUVよりたくさん荷物を積める。
セダンも高く評価した運転支援デバイスとインターフェイスの優秀性も「508シリーズ」の長所だといえる。この2台はドイツ車とは違った魅力を持っていて、最新の運転支援デバイスを装備している点もアドバンテージとなっている。SUV人気の時代にあっても、しっかりと存在感を示している。
■関連情報
https://www.volvocars.com/jp/cars/new-models/s60/polestar-engineered
https://web.peugeot.co.jp/new508-sw/
文/金子浩久(モータージャーナリスト)
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