スバルレガシィは、セダン&ステーションワゴンのラインナップで1989年に初代モデルがデビュー。
ツーリングワゴンは日本のワゴンブームをけん引し、レガシィ=スポーツワゴンの代名詞となり、長きにわたり君臨したが、現在はそのワゴンもレヴォーグに取って代わられた。
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セダンのB4はジャストサイズの4WDスポーツセダンとして人気を博してきたが、2009年にデビューした5代目で大型化したのが災いし、現在では存在感を失っている。
ここ数年日本ではビッグネームが苦しい状況にあり、消滅するモデルも少なくないなか、名門レガシィはどうなるのか? 遠藤徹氏が考察する。
文:遠藤徹/写真:SUBARU
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かつての栄光はどこへ?
現行レガシィB4のボディサイズは全長 4800 × 全幅 1840 × 全高 1500 mmはクラウンよりもワイドとなっている
新型レガシイはすでに北米を中心に海外では発売されているが、国内では2021年初めの投入と予想されている。
日本国内での2019年の登録台数は5024台、月平均419台にとどまっている。これはインプレッサ、フォレスター、レヴォーグ、WRXに次いで5番目であり、スバルのオリジナルモデルではBRZの次に少なく、ますます影が薄い存在になっている。
2019年1~12月の販売台数は、B4の1149台に対してアウトバックは3875台と3倍強だが、ライバルに対して苦戦が続いている
首都圏にある某スバル店の営業担当者によれば、「レガシイは海外での人気は高いが、日本では大幅な販売不振に陥っている。代が変わるにごとにボディサイズが大きくなりクォリティアップで上級シフトしており、価格も高くなっているので、お客さんがついて来なくなっている」、とコメントする。
さらに、「B4はセダン市場の縮小で存在価値がますますなくなっている。アウトバックは昨今のSUVブームで多少ニーズはあるが、モデルが古いので販売は頭打ち傾向にある。新型になれば多少望みはあると思われる」と苦悩を語る。
ツーリングワゴンはすでに消滅
2014年4月15日にステーションワゴンのレヴォーグがデビューしたわけだが、これはレガシイシリーズの主軸モデルである「ツーリングワゴン」を分離独立させ、実質的な世代交代をさせた。
レガシイシリーズ内で新型にすれば、海外ニーズに合わせてさらにサイズ&クオリティアップせざるを得ず、国内ではもっと販売が頭打ちにならざるを得ないとの配慮があった。
2009年にデビューした5代目が最後となったレガシィツーリングワゴン。ワゴンの不人気が逆風となったのは事実だが、自滅した感は否めない
レガシイシリーズはツーリングワゴンが抜けて、アウトバックとB4だけになったが、こちらだけでは戦力不足は否めない。
B4のセダン市場は縮小の一途でSUVのアウトバックも万全ではない。こちらはもともと北米のニーズが高く、これに呼応してあちらで先行投入し、その人気の高さを国内にも持ち込もうとの方針から発売になったという経緯がある。
B4は日本で販売しない!?
東京モーターショー2019でレヴォーグのプロトタイプを世界初公開し、東京オートサロン2020でより市販に近いプロトタイプを公開。発売は2020年秋が濃厚
次期型の国内投入は2020年末から2021年初めにかけて行われる見通しだ。
現行モデルもレヴォーグの投入半年後であった。次期型もレヴォーグが今年秋~冬に発売であることから、同じように半年のラグを設ける可能性が強い。
同様に北米仕様をベースに国内向けにアレンジされる。ただ従来のアウトバック&B4のラインナップから、B4が外れて、アウトバックのみになるのが濃厚である。
海外ではすでに販売を開始している新型レガシィB4は、最新のスバル顔が与えられてリフレッシュ。海外では人気が高いが日本で販売しない可能性が高い
パワーユニットは現行モデルが2.5L、NAなのに対して代わって新開発の1.8Lターボを搭載する。
今年秋にも発売する次期型レヴォーグと同じである。ターボはNAガソリンよりも50%増の出力&トルクアップに換算されるというからNAでは2.7Lに相当し、200ccぶんの性能向上が図られることになる。
手頃なサイズの4WDスポーツセダンとして認知されていたレガシィB4だが、海外重視のために大きく、高級になったため、日本での需要の期待は薄い
アウトバックが不振なら日本で消滅もある
B4同様にすでに海外では販売が開始されているアウトバック。日本への導入は新型レヴォーグとの絡みもあり、2021年になると言われている
このレガシイの新世代化は必ずしも同シリーズが将来的に国内で生き残れるかを意味しない。今後新型アウトバックが国内販売でさらなる低迷を続けるようであれば、モデル廃止に追い込まれる可能性がある。
ただグローバルでは北米、ヨーロッパを中心に好調な販売を続ける名門モデルであるから、引き続き生き残るのは間違いなさそうである。
現行モデルはあと約1年間販売を継続する見通しだ。
首都圏にあるスバル店でアウトバックの売れ筋であるリミテッド(車両本体価格366万3000円)にベースキッド(ブラック内装)、サウンドビルトインナビ、ETC2.0、ドライブレコーダー、グラスコート、メンテナンスキッドなど約53万円ぶんの付属品を付けて弾いて貰うと法定、法定外費用を含めて合計470万円弱と出た。
現行のアウトバックは確かに質感は高く高級感があるが、400万円を超える価格は、輸入車SUVもライバルとなるため苦戦が続いている
この見積もりからも、アウトバックもかなり高額になっていることがわかる。初回交渉の提示値引き額は30万円という。納期は約1カ月でごく普通の状況にある。
証言:首都圏スバル店営業担当者
戦略とは言え、なぜ北米など海外で販売を開始した時に日本導入しなかったのか? 完全に日本導入のタイミングを失った感あり
現行レガシイは2014年10月24日の発売で5年半近くが経過しているので、モデルが陳腐化し売れ行きまったくの不振状態にある。
今年末か来年初めには国内仕様もフルモデルチェンジの時期になると予想しているが、まだメーカーからは正式な連絡はない。
しかしレヴォーグは今年秋から冬に発売するというのを聞いているので、それから発売時期がある程度読める。
北米やヨーロッパ仕様はすでに発売になっているので、車両概要はおおよそわかる。
新型B4&アウトバックのインテリアはほぼ共通。センターコンソールにタブレットを埋め込んだような盾形モニターが特徴的で、質感も高い
現地仕様のパワーユニットは従来どおり2.5L、NAを搭載しているが、国内バージョンは次期型レヴォーグと同じ新開発の1.8Lターボを搭載すると聞いている。
アイサイトの最新デバイスを標準装備するが、同一ユニットはその前に発売する次期型レヴォーグに先に採用するはずである。
レガシイシリーズは次期型からアウトバックのみのラインアップになるわけだが、この状態において日本マーケットで生き残れるかは不透明だ。
新型車開発のスタンスが、どうしても海外ニーズに合わせて、サイズアップし、上級志向になるので、国内はますます売れなくなっている。
メーカーはグローバルで売れて収益が上がれば会社としてはOKという考え方だから、やむを得ない面がある。
このまま推移すると近い将来は日本市場から名門レガシイが消えてしまうかもしれない。
2021年から日本販売開始されることが有力視されているアウトバックの売れ方次第では、日本からレガシィが消滅することもある
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みんなのコメント
そして、MT車も・・・(あくまで個人的な意見です)
失われた30年、日本人だけが進化が止まってて大昔と同じ貧乏車・小型車を求めてるという、哀しさですよ。