第一印象は「似合ってる」だった。オシの強い新しい顔にボディの力強さが負けていない。マッシブなシルエットには、海外のライバルにもひけを取らない風格すら感じる。大らかで自由な走りのテイストは、クロスオーバーらしい遊び心もまた満たしてくれた。(Motor Magazine 2020年1月号より)
フェイスリフトを機に「ダイナミックシールド」デザインを採用
消費税込み17万500円という「M」との価格差は、大きいか小さいか……。は、さておき、あえて言うなら三菱RVRの場合は、迷わず「G」にしておきなさい、と断言したい。なにしろ新しいGは、進化したダイナミックシールド顔が驚くほど似合っているのだ。
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パジェロが培ってきた「ヒトとクルマを守る形」に、ランサーエボリューションに代表される「高いパフォーマンス」のエッセンスを付け加えることで、三菱独自のヘリテージと革新を象徴するアコン「ダイナミックシールド」が成立した。アウトランダーを皮切りに三菱はこのデザインコンセプトを進化させ、エクリプスクロスでひとつの完成形を提示した。
RVRの最新のフェイスリフトは、そのエクリプスクロスの作法に倣っている。そしてその作法に欠かせないのが、ホイールアーチモールだ。RVR Gのそれはエクリプスクロスほど目立つ厚みはないけれど、あるとないとではワイド感が違う。そしてこのモール、残念ながらMではオプションでも設定されていない。
Gだけのカラーリングとなるサテンメッキとピアノブラックのコントラストが映えるグリルは、質感が高いところもポイントだ。それにしても、もともとマッシブなシルエットを持つRVRだがよりアグレッシブに進化したダイナミックシールドをまとっても、バランスがまった崩れていない。基本設計は2010年のデビュー時から変わっていないが、まるで当時からこの顔になることを予想して誂えていたかのようだ。
後ろ姿も同様だ。新しいテールランプのコンビネーションはなかなか刺激的なアレンジだが、バンパーサイドに追加されたガーニッシュとともに、見るからに上級感を引き立てている。そしてそんなテールまわりの安定感に、ボディラインが負けていない。8年近くの時間差があるとは思えない驚くべきフィット感だ。
ゆったりマイペースなスノードライブが似合う
見るからにマッシブなRVRのボディだが、乗り味でも非常に高い剛性感を感じることができる。もともとパジェロ譲りの優れたオフロード走破性も秘めているRVRだけに、相当な悪路を走ってもへこたれない強靭なボディが与えられているようだ。
さりげなくオフ寄りにセッティングされているためだろうか、ハンドリングは決してシャープではないし手応えに曖昧感を覚える時もある。しかしがっしりしたボディのおかげで、頼りなさを感じることは少ない。
どちらかと言えば気になるのは、ダイレクトに路面から伝わってくる振動の「硬さ」だろうか。とくに走り始め、まだタイヤが温まっていない間の乗り心地は少々ラフだ。しばらく走っているとかなりマイルドになってくるように思えたが、それでもひとり、もしくはふたりで乗っているとパツパツした印象が残る。
パワートレーンの味付けは、比較的マイルド。街乗りでゆったり流して走るのが似合うようだ。全開時の加速感はけっしてパワフルではないし、CVTのレスポンスにも、ややもっさり感が残っている。それでもアクセルペダルをパーシャルから軽く踏み込み、戻して、また踏み込んで……といった、やや控えめなペースで加減速を繰り返すような乗り方をする時には、かなり気持ちよく速度をコントロールできる。最近の都会派クロスオーバーに比べれば、総じて大らかでゆったりとした走りの印象だ。
もっともそれはたとえばこれからの季節、スキー場に向かう途中の雪道などでは抜群に扱いやすいかもしれない。となると、選ぶべきはGの4WDモデル。つまりは今回テストした仕様が、絶対的にオススメ!ということになる。(文:神原 久)
■三菱RVR G 4WD主要諸元
●全長×全幅×全高=4365×1810×1640mm
●ホイールベース=2670mm
●車両重量=1440kg
●エンジン= 直4SOHC
●排気量=1798cc
●最高出力=139ps/6000rpm
●最大トルク=172Nm/4200rpm
●駆動方式=4WD
●トランスミッション=6速CVT
●車両価格(税込)=255万5300円
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