■リアルなバブル期の大学生の愛車とは!?
昭和の終わりから平成の最初のころは、いわゆるバブル景気と呼ばれた好景気が続いた時期です。
こんなクルマに女性はドン引き!? ドライブデートにふさわしくない車5選
その当時に大学生だった人は、どちらかというと親世代がバブルの恩恵を受けていたのではないでしょうか。
つまり、親にクルマを買ってもらえたという人が多く、大学生でもマイカーが持てた時代です。そんなバブル期に、大学生に人気のあったクルマを5車種ピックアップして紹介します。
●トヨタ「AE92型 カローラレビン/スプリンタートレノ」
トヨタの大衆車というと「カローラ」が知られていますが、2代目からは「レビン」、姉妹車の「スプリンター」では「トレノ」というスポーツグレードが存在しました。
そして、バブル景気の真っ只中に発売されたのがAE92型カローラレビン/スプリンタートレノ(以下、レビン/トレノ)です。発売は1987年で、この代からカローラ/スプリンターとも全車FFとなりました。
レビンとトレノの差は前者が固定式ヘッドライトで、後者がリトラクタブルヘッドライトでした。好みは分かれましたが、概ねどちらも同じくらい若年層に人気を誇ります。
なかでもレビンのスタイルはハイソカーブームをけん引してきた「ソアラ」を小さくしたようなイメージで、ソアラは高価で買えないけどレビンなら手が届く、という層が納得できるクオリティでした。
グレードは1.5リッターと1.6リッターのふたつのエンジンにより大きく分けられ、1.6リッターエンジンは先代のAE86型から継承した4A-GEU型を横置きに搭載。最高出力は120馬力を発揮し、気持ちの良い吹け上がりも先代から変わりありません。
AE92型レビン/トレノは、レースではホンダ「シビック」の後塵を拝しましたが、クルマとしての品質はさすがにトヨタ車というべきレビン/トレノの方が勝っていました。
●ホンダ「プレリュード」
ホンダ「プレリュード」と日産「シルビア」は、別名「デートカー」と呼ばれ、女性にも好まれてデートに似合うクルマとして人気を博します。
なかでも3代目プレリュードと、5代目のS13型「シルビア」がデートカーの代名詞的存在でしたが、プレリュードが1987年、シルビアが1988年発売だったため、まだまだ高価でした。
そこで、1982年発売の2代目プレリュードが、バブル期に中古車の値段もこなれており、大学生が乗るには適当なモデルとして人気がありました。
ドアミラーが解禁になった1983年式以降では、リトラクタブルヘッドライトと相まってスタイリッシュとなり、1985年には2リッター直列4気筒DOHCエンジンを搭載した「2.0Si」が登場したため、とくに人気となります。
●トヨタ「ソアラ」
トヨタ「ソアラ」は初代が1981年に発売され、ハイソカーブームをけん引し、幅広い層から絶大な人気を誇りました。
ボディはロングノーズの2ドアクーペで、全グレードで直列6気筒エンジンを搭載。デザインの美しさだけでなく先進的な装備も注目されました。
1986年には2代目が発売。スタイルは初代を踏襲したキープコンセプトで、こちらも高い人気を誇ります。
なかでも若者から熱い視線が送られたのが、2リッター直列6気筒ツインターボエンジンを搭載した「2.0GT-TWIN TURBO」で、当時の新車価格は320万6000円と、かなり高価でした。
そこで、大学生から人気があったのは初代の後期型の2リッターモデルで、やはりドアミラーが装備された1984年式以降がとくに人気がありました。
■走り屋の大学生に絶大な人気となった2台のスポーツモデル
●トヨタ「AE86型 カローラレビン/スプリンタートレノ」
AE86型レビン/トレノといえば、もはや説明がいらないほど、名前が知れ渡った存在です。
1983年に発売されたカローラ/スプリンターのスポーツグレードで、この代からセダンと5ドアハッチバックはFFにスイッチしますが、2ドアクーペと3ドアハッチバックのレビン/トレノはFRのままで、シリーズで最後のFR車となります。
メカニズムは比較的オーソドックスで、サスペンションはフロントがストラット、リアは5リンクリジッドアクスルで、当時としてはすでに時代遅れといっていい形式でした。
しかし、車重900kg台で最高出力130馬力(グロス)の1.6リッター直列4気筒の名機4A-GEU型を搭載し、素直な操縦性と限界の高さから峠を走る若者から人気を博します。
とくに、単なる速さよりも後輪駆動にこだわる層には代えがたい存在で、前出のAE92型が登場した後も手ごろな価格の中古車が多く、人気をキープしていました。
●ホンダ「シビック」
前述のとおり後輪駆動にこだわる人がいたのと同じく、速い前輪駆動にこだわる人も多くいました。
なかでもホンダ「シビック」はレースでの活躍から、FFはFRよりも遅いというイメージを払拭し、むしろFFの進化によって、癖のない安定した操縦性が多くの走り屋に認められていました。
当時、シビックのなかでも人気があったのは「ワンダーシビック」こと、3代目シビックです。
2代目シビックは初代のデザインを踏襲していましたが、3代目では設計思想を根本的に変えました。それまでのウリだった省燃費に加え、スポーティな走りにも重点が置かれました。
その結果、デザインもスクエアなイメージのロングルーフにガラッと変わり、自動車として初となるグッドデザイン大賞を獲得し、1983-1984日本カー・オブ・ザ・イヤーにも輝きます。
デビュー当初の上級グレードは1.5リッター直列4気筒エンジンを搭載し、最高出力100馬力(グロス)と決してパワフルではありませんが、車重815kg(25i、5速MT)の車体には十分なパワーでした。
しかし、ライバルのレビン/トレノが1.6リッターエンジンを搭載していることもあり、1984年に1.6リッター直列4気筒DOHCエンジンを搭載した「Si」グレードを設定。たちまち人気となります。
こうして、走り好きの大学生はシビック派かレビン/トレノ派に大きく分かれました。
※ ※ ※
現在、大学生でクルマを持つというのは、なかなか難しい状況です。とくに大都市圏では駐車場の問題などもあり、安いクルマであっても維持費がばかになりません。
バブルのころも同じ問題がありましたが、景気が良かったという面と、お金の使い方もいまと違うので、駐車場代を捻出できていたようです。
クルマ自体も安かったこともあり、1.6リッタークラスなら新車で150万円以下が普通でした。安ければ良いという考え方は間違っているかもしれませんが、いまのクルマの価格と維持費では、なかなか手が出ないというのが実情でしょう。
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