大容量バッテリーでは3日間分の電力を賄える
電気自動車(EV)や、プラグインハイブリッド車(PHEV)を所有し、それを家庭電源にも使える装置を持っていれば、停電の際に普段通りの生活を継続できる可能性は高くなる。真っ暗闇に、ぽつんと一件電気がともるということも不可能ではない。ただ、災害の状況にもよるだろう。
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先般の千葉県で台風15号の影響を受けたときのような何週間にも及べば、EVやPHEVの電気も使い切ってしまう。それでも、東日本大震災の折には電気がもっとも早く復旧した社会基盤であった。それまでの数日間のための備えとしては、安心感が高まるのは間違いない。
また、普段通りといういい方が、人によって違ってくるのではないか。EVのような大容量バッテリーが、ほぼ満充電の状態であれば3日くらいは家庭で日常的に使われる電力を賄える。ただし、EVからの電気を家庭へ戻せる装置が必要だ。装置の価格は、ニチコン社製で約40万円である。
クルマが単なる移動手段ではなく生活を支える機能のひとつに
PHEVは、EVよりバッテリー搭載量が少ないのと、充電されている電力を利用する場合は後付けのコネクターが必要になる。あるいは、100Vの電気を取り出せるコンセントが車内に設けられていれば、そこから家庭電化製品などの個別利用は可能だ。とはいえ、EVのような家全体(室内の電灯や冷蔵庫など)に電力を供給するのは難しい。
PHEVの場合、限られた容量のバッテリーの電気を使い切っても、ガソリンが燃料タンクに残っていればエンジンを回して発電し、バッテリーに充電した電力を利用することはできる。同じことは、ハイブリッド車(HV)にもいえる。
近年の気象状況の悪化からすると、電動化された車両を所有することで、停電による真っ暗闇という状況は回避することができるだろう。そして電源があることで、スマートフォンやテレビなど情報を入手する手段が生き延びられる。また、人工呼吸器など医療的な装置が必要な場合、それら機器を動かすことにも役立てられる。
エンジン車は、基本的に駐車している間は何の役にも立てない。だが、電動化されたクルマであれば止まっているときも役立てられる。それは緊急時だけでなく、太陽光発電など再生可能エネルギーを自宅や事務所に設置している場合には、電力をクルマに貯めておくことで、系統電力への依存を減らすことによって経済的な利点を得られる場合もある。
つまり、電動化すればクルマが単なる移動手段だけではなく、生活を支える機能の一つになるということだ。そこに、電動車両を所有する意味も生まれる。シェアリングビジネスが広がりを見せるなか、クルマを所有する意味が失われがちだが、こう考えると所有の価値も新たに見えてくるのではないか。
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