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<全日本モトクロス> 成田負傷で低迷 ランクトップに山本!~成田vs山本に注目していたら超新星登場!~

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<全日本モトクロス> 成田負傷で低迷 ランクトップに山本!~成田vs山本に注目していたら超新星登場!~

この週末は九州・熊本におりました。月刊オートバイでも推している、10月には阿蘇のどこかしらでバイクイベントやってます!な「熊本バイクマンス」のスタートイベントである「ホンダモーターサイクルホームカミング」取材だったんです。

熊本は晴天に恵まれましたが、本州に上陸した台風19号のおかげで、帰りの足を確保しなきゃならなかったチュートリアル福ちゃんは、残念ながらイベントを欠席してしまいましたが、イベントの舞台となった本田技研・熊本製作所にはたくさんのホンダ車オーナーと、もちろん他メーカー車のオーナー(その対比、この目で見た雰囲気で8:2くらい!?)も含めてバイク乗りが押しかけました。

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そして、このイベントが土曜だったもんだから、スケジュールのスキを見つけて、私は熊本製作所に隣接されているHSR九州で行なわれている全日本モトクロス第7戦・九州大会の取材にもお邪魔してきました。1本の取材で2本のネタを拾う、うーむ編集者のカガミですねぇ(笑)。
ちなみに全日本モトクロスの九州大会は今シーズン2戦目で、私もうまく2回とも取材に来られています。顔見知りのライダーには「あれ中村さん、他の会場には来ないのに熊本だけは来ますねぇ。馬刺しと焼酎、カラシレンコン目当てですね」と口撃されましたが、失礼な、お酒は飲めないし、今年は川越の関東大会も行ってるっちゅーねんw。

ここまでの全日本モトクロスIA1クラスは、6戦12レースを消化して、ランキングトップの成田亮(TeamHRC)を、チームメイトの山本鯨が4ポイント差で追う、という接近したチャンピオン争いの段階に差し掛かっています。この大会には、富田俊樹(TeamHRC)、古賀太基(ADA/SoCal MXTF=カワサキ)という、ふたりのAMAモトクロス帰りのライダーがスポット参戦。成田vs山本に注目が集まる中、このふたりが、大会を盛り上げることになりました。
富田は開幕戦・九州、第6戦・名阪に続く今シーズン2度目の全日本参戦、古賀はAMAモトクロス選手権参戦を数戦残しての帰国で、約1年ぶりの全日本。古賀は昨年のIA2クラスチャンピオン(当時ホンダ)で、今年はマシンをカワサキにスイッチ。ふたりとも、AMAモトクロス(スーパークロスじゃなくてアウトドアの方)が今シーズンの主戦場です。
モトクロス素人から言わせれば、AMAは、野球で言えばメジャーリーグですからね。このふたりは田中将大であり、ダルビッシュ有、それにAMAの250MXクラスには、同じく今大会にスポット参戦する渡辺祐介(Cycle Trader Rock River=ヤマハ)もいますから、渡辺は前田健太ってことでw。

関東を中心に台風19号が猛威を振るっていたというのに、開催前には開催が危ぶまれていた九州は、うまく台風の進路がそれたことで無事開催。土曜~日曜とも晴天に恵まれました。土曜は曇りベースでスケジュールが進行したんですが、特に日曜はカラッと晴れちゃって風も強く、コースが埃っぽいコンディション。毎回感心するのは、こういうコンディションの時って、観客の皆さん、ほこりよけのゴーグル、ちゃんと持ってきてる人が多いんだよねぇ。マディなコンディションの時はちゃんと長グツ履いてる人も多いし、観戦のスキルが高い! 私なんか、前半はホンダMCホームカミングの取材でしたから、出張の荷物を減らすべく、1本しかもってこなかったズームレンズ、埃でジャリジャリになるわ、最後には壊れちゃうわて、もうタイヘン。写真がちょっとショボいのはそういう事情だとご理解いただけると幸いです。

さて、日曜のIA1クラス決勝ヒート1。このレースはちょっと事件が起こっていて、ここまでランキングトップの成田が、9月末にオランダで行なわれたモトクロス国別対抗戦「モトクロス・オブ・ネイションズ」でヒザを負傷。土曜の予選では、出走するものの、開始早々に再び負傷個所を痛めてリタイヤ。うーむ、この大事な時に、日本代表として出場したレースで負傷して、自分のチャンピオン獲得が危うくなるとは……。WBCで調子を崩してしまった松坂大輔というか、日本代表に選ばれた国際AマッチでケガしちゃったJリーグの選手というか……。
土曜に顔を見かけた成田に声をかけてみました。予選前でしたけど、少しだけ顔見知りなので、アキラ、何に数回しか来ない私みたいなのもちゃんと覚えてくれるんです。
――アキラ、ネイションズで膝ケガしたって、大丈夫か?
『大丈夫っす、問題ないっす』
うーむ、ここからもうひとつ掘り起こせない素人プレスの悲しさよ。まぁ、痛いっす、無理っす、とは言いませんよね。それでも成田、予選も完走できず、決勝に不安を残します。

決勝レース1では、富田が飛び出して古賀、山本、岡野聖(ヤマルーブヤマハ)、小方誠(カワサキTeamグリーン)らが好スタート。痛む膝をテーピングがちがちで出走した成田はもう、スタートから後方集団に埋もれてしまいます。
オープニングラップを終えて古賀がトップ! いやぁイキがいい! 全日本のトップカテゴリーであるIA1ではこれがデビューレースですから、並み居るセンパイたちを従えてスタートから速い! 富田、山本、岡野、小方が後方につけて、古賀vs富田のふたりが抜け出す感じ。ここに数周をかけて山本が追い付き、トップは3台の争いから、富田がやや脱落。トップ争いは古賀vs山本の一騎打ちっぽくなっていきました。

山本はジリジリと古賀に接近して、レース中盤にトップに浮上! それでも抜かれた古賀も背後から離れず、若い古賀の爆発力とベテラン山本のじっくりした強さの戦いが……と思ったら、古賀は21歳、山本は27歳ですから、そんな若手vsベテランっていう図式も簡単には当てはまりませんでした。山本君、イカつい顔立ちだって思っててごめんね。
3番手争いはレース中盤あたりに小方が富田をパス。小方はこのレースが3戦ぶりの復帰戦で、トップふたりにはついていけないものの、この位置を走っているってことは、復活してのコンディションも悪くなさそう。
トップ争いはラスト2周で古賀が逆転! おぉ、若いのがスピード出してきた、と思ったら、山本はそのまま無理に追わずに2位でフィニッシュ。もちろん、山本はチャンピオン争いがかかっていますから、無理に追っかけて最後の転倒(このパターン、山本は今シーズン、何度かやらかしています)を考えて2位キープを選んで不思議はないですね。3位は復活の小方が入りました。

優勝した古賀は全日本IA1デビューレースで優勝。IA2チャンピオンがAMAで腕を磨いて日本凱旋、ってレースでした。速かった、強かった! 思い切りとか、ジャンプの空中姿勢とか、全日本のみんなとはちょっと違っていて、山本もいつも以上にキレて追っかけてた――そんなレースでした。
一方、怪物ナリタもケガには勝てず、14位フィニッシュ。これでランキングは逆転されて2位となりましたが、思うに任せない体調のレースでは、我慢して我慢して、1ポイントでも持ち帰って最終戦で勝負、としか考えられませんからね。

レース2では、またも山本、古賀、富田が好スタート。後方に深谷広一(SRFチームSBE=スズキ)、岡野がつける展開。レース1とはうって変わって、1周目から古賀が2番手以下を引き離す展開。3秒ほど後方に山本、5秒ほど離れて富田、その3秒うしろに深谷、岡野という展開。おぉ、古賀がレース1の逆転に懲りてレースの組み立て変えてきたか、と思いました。

それでも、ジリジリと古賀に迫る山本。10周あたりを過ぎた時点で、なんと逆転に成功します。ロードレースと違って、こういう逆転劇が多いな、モトクロスは。序盤に3秒引き離したなら、ロードレースならそのまま逃げ切ることが多いけど、モトクロスはそうはいかない。路面にどんどん轍ができて走りにくくなったり、腕上がりが起こったり、疲れちゃったりね。
山本がトップ、2番手の古賀がバトルしている間も、ジリジリ迫る3番手富田、というオーダーの中、ラスト3周で古賀が再逆転。ヒート1ではこれで2位キープに切り替えた山本でしたが、今度は譲らず、山本も再々逆転! そのまま古賀もビタビタに背後につけますが、山本が抑えきって優勝! 0秒334差で古賀が2位に入って、3位に富田。成田は13位に終わりました。

2位/1位で総合優勝は山本。1位/2位と同ポイントの古賀ですけど、モトクロスは同じ順位だったらヒート2の順位優先ですから、古賀が総合2位となりました。
「チャンピオン争いのことも考えながら、ヒート1は手堅く2位フィニッシュを選びました。ヒート2はそうはいかないぞ、って勝ちに出て、チャンピオンを獲るのにふさわしいレースができたと思います」と山本。レース前には4ポイント差で成田を追う立場でしたが、。最終戦を前に28ポイントのリードを作って最終決戦に臨みます。
総合2位に終わったものの、山本を最後の最後まで苦しめた古賀は、間違いなく今大会を盛り上げたひとり。古賀は福岡のライダーってこともあって、地元ファンも多かった! 福岡市内からでも、熊本HSRはクルマで2~3時間の近さだからね。
「1年ぶりに全日本で優勝できてうれしいです。AMAという厳しい世界で戦って、来年はスーパークロスに参戦する準備をしています。またいつか、成長して日本のレースに出たいです」と古賀。このスポット参戦で強烈なインパクトを残しましたから、世界最高峰のAMAスーパークロスに挑戦するなら、めっちゃ注目したい! 

IA1が450ccクラスで、250ccのマシンで争われるのがIA2クラス。このレースでは、ポイントリーダーの横山遥希(グリーンクラブ&パーク神戸=カワサキ)と大倉由揮(ヤマルーブヤマハ)が9ポイント差でチャンピオン争いの真っ最中。ここまで6戦12レースで、横山4勝、大倉4勝とがっぷり! レースでも、このふたりがチャンピオン争いにふさわしいレースを見せてくれました。

ヒート1では、その横山がホールショット、2番手に大倉が続き、3番手にはランキング3位につけている平田優(チームabe-G=ヤマハ)。すぐに大倉がトップに立ち、横山、平田が追う展開で3台がトップグループを形成する。このレースにスポット参戦する、これまたAMA帰りの渡辺祐介は、スタートに出遅れるも、中盤集団のなかでひとりだけ速いペースでぐいぐい挽回。レース中盤にはトップグループが4台になっていく感じになりました。
横山、大倉のふたりの20歳と、これもイキのいい若手ふたりを、34歳のベテラン平田が追い、そこにAMA帰りの渡辺が絡んでいく展開。世代闘争、日本とアメリカの走り比べは、まさにIA1クラスと同じですね。
結局、終盤に平田が横山をパスするも、横山が再逆転して大倉→横山→平田→渡辺の順でフィニッシュ。大倉はこれで横山まで6ポイント差に迫りました! いいぞいいぞ!

ヒート2では、ヒート1でスタートに失敗した渡辺が好スタートを切り、2番手に地元・GOSHIレーシングの石浦諒(=ホンダ)。GOSHIは、熊本県合志市(市の名前はこうし、にしごうし、なんだけど、企業名はゴウシ、です)のホンダ納入部品メーカーで、マフラーメーカーとしても知られていて、今ではMotoGPマシンにもネーム貼られてますよね。熊本じゃテレビCMばんばん流してます!
スタートはヒート1と逆に横山、大倉がミスって、平田が4番手あたり。展開は、渡辺がぐいぐい後方を引き離して、まさに独走。2番手争いでは平田が石浦をパスしますが、後方から追い上げてきた横山が平田に追いついて逆転! その頃、渡辺は完全にひとり旅でした。展開によっては、モトクロスだってこんな独走劇があるんですねぇ。

レースは渡辺→横山の1→2に、3位には石浦が平田を逆転して表彰台を獲得。これで2位/2位で総合優勝の横山と大倉のポイントギャップは12Pに拡大してしまいました。
「久しぶりの全日本で緊張もあったんですが、ヒート1はスタートを失敗。ヒート2はスタートを修正してスタートから前に出られたので、序盤でリードを作る作戦が実行できました。最終戦の菅生大会も出場します」と渡辺。

若手とベテラン、それに海外帰りのスポット参戦組がガチンコで戦った九州大会。ランキングトップが逆転してポイントギャップが広がったIA1と、差を縮めたけど最後はまた広がったIA2クラス。最終戦は2週間後の10/26~27。山本vs成田の決着、横山vs大倉のハタチの戦い、海外からのスポット参戦ライダーに日本勢がどう立ち向かうか、さらに私の今年4度目のモトクロス取材なるか、に注目が集まりそうです。最後のひとつには注目集まらないかw。

写真・文責/中村浩史

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