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【名車だったが迷走!!】発売前は高評価だったのに売れなかったクルマ6選

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【名車だったが迷走!!】発売前は高評価だったのに売れなかったクルマ6選

 クルマに限らず人でも商品でも「いい○○なのに」、残念ながら成功しなかったということはよくある。クルマは移動の手段であると同時に趣味性も大きく反映されるし、デザインひとつとっても好き嫌いの好みがわかれる。

 当記事では「高く評価されていたのに売れなかったクルマ」を、売れなかった理由も交えながら振り返る。

儚く消えたスバル R1の上質な魅力 軽より小さな超個性派!? 【偉大な生産終了車】

文:永田恵一/写真:NISSAN、HONDA、MAZDA、TOYOTA、SUBARU

【画像ギャラリー】いいクルマだったが苦戦し迷走した歴代日産レパード

日産レパードJフェリー

販売期間:1992~1996年
苦戦した要因:日本人受けしないデザイン

全長4880×全幅1770×全高1390mmの高級セダン。レパードは2代目で消滅の予定だったが、急遽インフィニティJ30を日本で販売することになりJフェリーに改名

元々北米を重視したデザインだったとはいえ、レパードJフェリーのタレ尻のデザインが不評だった。9代目ブルーバードもそれで苦戦した

 レパードは初代が2ドアと4ドア、2代目が2ドア、Jフェリーのサブネームが付いた3代目が4ドア、最後の4代目がセドリック&グロリアと違いがわからない4ドアとコンセプトが目まぐるしく変わったクルマである。

 そのなかで3代目のJフェリーはアメリカを主な市場に、当時のY32型セドリック&グロリアをベースにしながらソフトタッチな走りを持つなど、当時のトヨタ車ではアリストがライバルとなるモデルながらジャガーのようなキャラクターを持つ点が一部自動車メディアで高く評価された。

 しかしレパードJフェリーは機能的にはリアデッキの低さによるラゲッジスペースの広さくらいしか弱点はなかったものの、高級車の中でも優雅なコンセプトやスタイルが日本人には理解できず日本では成功せず、レパードは再び迷走に入ってしまった。

イタリアの高級皮革メーカーのポルトローナフラウ社製の本革シートの設定もあり、高級感は当時の日本車で最高峰だった

ホンダコンチェルト

販売期間:1988~1992年
苦戦した要因:地味過ぎた

イギリスのバンデン・プラ・プリンセスが甦ったという触れ込みで小さな高級車を目指していたが、あまりにオーソドックスで地味過ぎた

セダンとともに5ドアハッチバックもラインナップしていたが、同じ6ライトデザインを採用し、セダンとの識別がつきにくく埋没してしまった

 初代コンチェルトは、当時ホンダが英国ローバー社と結んでいた資本提携により初代レジェンドに続く共同開発車第二弾として登場した。

 当時のホンダ車は、「カッコいいけど全高が低いなど快適性は低い」というものが多く、初代コンチェルトのベースとなった4代目シビックもそのことは否めなかった。

 しかし初代コンチェルトはローバーとの共同開発で学んだこともあり、セダンとして必要な全高や当時のホンダ車が不足していたホイールストロークもシッカリ確保し、広い室内や乗り心地といった意味での快適性を確保。

カローラセダン、シビックセダン、ファミリアセダンといったコンパクトセダンとは一線を画した高級感のあるインテリアは魅力的だったが一般受けせず苦戦

 またスタイルは新しいものではないことが幸いし風格を持ち、そのスタイルに木と革を使ったイギリス的なインテリアが似合っていたおかげで小さな高級車としての資質もあり、一部自動車メディアでは高く評価された。

 しかし如何せん派手さに欠ける地味なクルマだったため、一般ユーザーには「ホンダらしさに欠ける」などと評価されてしまい、残念ながらドマーニを後継車に1代限りで姿を消してしまった。

初代マツダMPV

販売期間:1990~1999年
苦戦した要因:大きすぎた

全長4465×全幅1825×全高1755mmというボディサイズは現在では当たり前の大きさだが当時としてはもの凄く巨大なクルマとして敬遠されていた

 初代MPVは日本よりずっと早くミニバン文化が始まったアメリカに輸出された、FRのミニバンである。当時はバブルの絶頂期という時代背景もありMPVは日本でも販売され、FRでV6エンジンを積むだけにそれまでの1BOXカーとはまったく違う高級なフィーリングや格調を感じるスタイルが高く評価された。

 しかし同じ年に動力性能はMPVに劣るものの未来的なスタイルをした初代エスティマが登場したことや、2列目をキャプテンシートとした初代エスティマに対し初代MPVは3列目へのアクセスも考慮し2列目が狭いベンチシートだった点、価格の高さが原因で評価の割に販売は振るわなかった。

 ただ初代MPVが9年間販売されたことは、1990年代中盤からマツダがドン底となりなかなかフルモデルチェンジできなかったという事情もあるにせよ、MPVの基本設計の確かさのよるところもあったのも事実だ。

天才タマゴことエスティマでさえ大きすぎて敬遠する人が多く、コンパクト化したルシーダ/エミーナのほうにユーザーは流れていった

ホンダCR-Xデルソル

販売期間:1992~1999年
苦戦した要因:ユーザーはCR-Xの正常進化を求めていた

電動トランストップという武器を与えられたデルソル。その技術は当時として世界的に最先端を行っていたが、ユーザーが求めたのはそれではなかった

 シビックをベースとした2ドアファストバックだったCR-Xはスタイリッシュだけど、ジムカーナでは絶大な強さを持つ硬派なクルマで、この点がそれなりに支持されていた。

 しかしその後継車として登場したCR-Xデルソルは時おり大きなコンセプトの変化を行う当時のホンダらしくというか、電動タルガトップも持つ2人乗りの軟派なオープンカーに変身した。

 このコンセプトは環境問題がこの頃から注目されてきたこともあり、「速さではないクルマの楽しみ方の新しい形」として一部自動車メディアでは高く評価された。

ショートホイルベースのFFスポーツのCR-Xは若者に人気で、次期モデルの走りはどれだけ進化しているのか期待していたが、ホンダは走りではない方向に舵を切った

 だが一般ユーザーは自動車メディアほど変化が早くないこともあり、CR-Xのユーザーには完全にソッポを向かれ、オープンカーが欲しいユーザーはそのパイオニアでFRという魅力もあるロードスターを買うなど結果は踏んだり蹴ったりで、CR-Xはこのデルソルで絶版となってしまった。

 CR-Xの名を付けずデルソルとしてデビューしていればと惜しまれる。

トヨタプログレ

販売期間:1998~2007年
苦戦した要因:難解なデザインとユーザーは小さな高級車を求めていなかった

ボディサイズは全長4500×全幅1700×全高1435mmを今考えてもジャストサイズ。ただ小さな高級車という挑戦するにあたりこのデザインはあまりにも突飛すぎた

 プログレは当時のトヨタの直6エンジンを積むFRのプラットホームを使い、「小さな高級車」を目指したモデルだ。

 プログレはエンジンこそ2.5Lと3Lながらボディサイズはほぼ5ナンバーサイズで、その中に塗装やインテリアに代表されるクオリティはセルシオ級のものを持っており、クルマの内容に関しては自動車メディアで絶賛された。

 しかし当時のユーザーは前述のコンチェルトと同様に小さな高級車というコンセプトに魅力を感じず、近い価格のクラウンやベンツCクラスといったわかりやすいクルマを選んでしまった。

 初代プログレのクセのあるスタイルを理解できなかったという理由で、後に兄弟車のブレビスも加わるが、トヨタの挑戦は残念ながら失敗に終わった。

 だが高齢化が進んでいる現在の日本ではプログレのコンセプトは非常に魅力的なだけに、プログレのようなボディサイズやFRとはいかなくても、適度なサイズで高級な機能を持ったクルマというはほどほどの価格であれば受け入れられるような予感がする。

プログレの兄弟車としてミニセルシオといったわかりやすいデザインを採用したブレビスが追加されたが販売は大きく好転することはなかった

スバルR1

販売期間:2004~2010年
苦戦した要因:理想と現実のギャップ

日本人は1台のクルマで日常生活、レジャーのすべてをこなすのが一般的。ほぼ2シーターの軽自動車は欲しいと思っても買える人は限定される

 2003年登場のR2をベースにした軽自動車であるR1はオーソドックスな5ドアのR2に対し全長を110mm小さくした2ドア車かつリアシートは+2とすることで、スペシャリティでより取り回しの優れるというコンセプトを持つモデルである。

 そのため2人乗りと4人乗りという違いはあるにせよ、スマートフォーツーに近い面も持つ。

 R1は全体的に質感が高く、コンセプトも面白いモデルだった。

 しかし取り回しは普通の軽自動車でも十分いいからアドバンテージはなく、+2となるリアシートが中途半端、プレミアムな面もあるにせよ客観的に見れば内容のわりに高いというのは否めず、R1も近いコンセプトを持つツインやiQと同じく初代限りで姿を消してしまった。

エクステリアに負けないくらい斬新なインテリア。これもすばらしい、と評価したとしても、理想と現実のギャップに悩み、実際に購入する人は少なかった

★    ★    ★

 クルマはいいだけでは売れない、という典型を集めてみたが、改めて日本マーケットの特殊性、難しさを痛感する。

 何しろ日本人は飽きやすく、好みもコロコロ変わる。しかも流行に敏感ときているため、いったん軌道に乗れば物凄い人気になったりすることがあるのはそのためだ。そしてその逆もしかり。

 ここで紹介したクルマは、多数派にはなれなかったものの、選んだ人はそれ相応の満足感を得ていたことを最後に加えておきたい。

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