いくら人気でも市場に溢れていると査定額が下がることも
クルマを処分する際に「新車が売れている人気車だから高い査定を期待していたのにそうでもなかった」、「不人気車かと思ったのに、意外と高く査定してくれた」という正反対な結果は珍しい話ではない。
この違いが何かといえば、ズバリ野菜や鮮魚といった生鮮食料品のセリと同様の需要と供給のバランス。「メーカーが定価を決められる新車と異なり、中古車の値段はお客が買う値段になる」ということに尽きる。具体的な理由を挙げていこう。
人気車だから高額査定を期待していたのにそうでもなかったケース
1)中古車の流通が多いクルマ
トヨタ・アクアのようなクルマが該当するが、新車が売れているクルマはレンタカーとして短期的に使われていたものも中古車市場に流通するといった事情もあり、中古車もタマ数が豊富。そういったクルマだと中古車に対する供給が需要を上まわり、思ったより査定や中古車価格が安いということも起きやすい。
2)排気量が大きい(3リッター以上のクルマ)
トヨタ・アルファード&ヴェルファイア、日産エルグランドのようなクルマがわかりやすいが、例に挙げたラージミニバンだと純エンジン車はガソリンの2.5リッター級と3.5リッター級ということがある。後者だと実際には街乗りでなければパワーに余裕があるため燃費が悪くないことも多いのだが、それでも燃費が悪そうというイメージや自動車税の高さにより、新車・中古車ともにあまり人気がない。
そのためアルファード&ヴェルファイアのような人気車でも新車で買ったときには高かったのに、処分するときの査定は「新車価格の安い2.5リッター級ガソリン車と変わらなかった」ということはよくある。同じような話は、V8エンジンのような排気量の大きいエンジンを搭載したビッグセダンにも該当する。
3)登録済中古車が多すぎる
これは1にも関連し、メジャーな輸入車がいい例だ。メジャーなクルマの場合には日本車であれば工場の稼働などを維持するため、そして輸入車であればインポーターと本国との契約により決まった台数が必ず生産されたり輸入されることが多い。
その決まった数が需要を上まわった場合には新車を大幅に値引きするのだが、それでも売れなかったクルマは販売目標達成の際にメーカーやインポーターからもらえるインセンティブをいただくために、ディーラー自社で登録して売れたことにして、のちに登録済中古車として販売される。そういったクルマは走行距離1000km以下なのに最低でも新車よりザッと2割は安いため、結果普通に使った中古車の価格や査定がドンドン下落するということに陥りやすい。
新車が売れてなくても中古車では需要高なクルマも
査定が高いクルマの特徴
査定が高いクルマは中古車に人気がある、つまりポルシェの各車のように需要の割に数が少ないということになる。
1)輸出需要があるクルマ
SUVや生産から25年以上が経ち、右ハンドルでもアメリカに輸出できるようなクルマだと海外での需要があり、不人気車でも意外に査定が高いことは多々ある。
2)スポーツ系のクルマ
スポーツ系のクルマであればスポーツ系自体の台数が多くないだけに、不人気車でも極端に査定が安いということは少ない。
3)新車が売れなかった割に需要が多いクルマ
アウトランダーPHEVがいい例だが、このクルマは万能で、乗るたびに「素晴らしいクルマだなあ」と感じるのだが、三菱自動車の燃費不正騒動に巻き込まれたせいもありあまり売れていない。というクルマなので「中古車なら安いかも」と考える目ざとい人も少なくなく、中古車の需要が増え、結果的にそれほど流通が多くない中古車が意外に高いということが起きる。
4)マニアックなクルマ
例としてはカローラセダンのMTなど、確かに新車では希少なだけに査定も安いと思いきや、ATが苦手な高齢者層のようなピンポイントでも需要があれば、供給が少ないだけに査定が意外に高いことがある。
クルマは資産でもあるだけにリセールバリューは重要な要素なので、「リセールバリューばかりを重視して、乗りたいクルマに乗れない」というも本末転倒にせよ、クルマを選ぶ際にこのあたりのことも少し頭に置くといいだろう。また中古車を買う際には、前半で紹介したようなクルマを選ぶと使ったお金の割にいいクルマ、面白いクルマに乗れるということにつながり、こういったクルマは中古車で買う旨みが大きいと言える。
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