昭和は遠くなりにけり…だが、昭和生まれの国産スポーティカーは、日本だけでなく世界的にもブームとなっている。そんな昭和の名車たちを時系列で紹介していこう。今回は昭和58年発売のトヨタ カローラレビン(AE86)だ。
やっぱりFRが楽しいとユーザーは大満足
トヨタ カローラレビン 1600GTアペックス:昭和58年(1983年)5月発売
日本のモータリゼーションをリードしてきたカローラは、生産累計台数を着々と伸ばし、名実ともに世界のカローラとして親しまれてきた。そのカローラも昭和58年(1983年)5月のフルモデルチェンジを機に、セダン系は時流に合わせて居住性/経済性に優れたFF(前輪駆動)方式に切り替えている。
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その一方で、FR(後輪駆動)方式を採用するモデルラインもまた残された。このFRモデルは、27(ニーナナ)系から親しまれてきたネーミングを継承。カローラ系はレビン、スプリンター系はトレノの名を冠したスポーツバージョンと位置づけられている。
中でも1.6Lの4バルブDOHCエンジンを搭載するレビン/トレノシリーズの最強バージョンは、型式名がAE86だったことから、FRファンの多くから愛情をこめて「ハチロク」の愛称で呼ばれるようになる。
基本的に同じコンポーネンツを採用するレビン/トレノのボディ構成は、3ドアハッチバック クーペと2ドアノッチバック クーペの2種類が用意された。市場では圧倒的に3ドアハッチバッククーペが多く出回っていたが、ラリー等の競技車両ベース車としては2ドアの需要もあった。
レビン/トレノの外観上の差は、フロントを構成するデザインの違いが一番大きい。カローラレビンはグリル付きで、初期型GTアペックスには、エアロダイナミックグリルも採用された。熱感知によって自動的にグリルが開閉する仕組みで、空力特性と暖房性能の向上が大きな目的だった。
一方のスプリンタートレノは、よりスポーティ度を高めるために、全車にリトラクタブルヘッドランプが採用されている。
両車の基本的ボディラインは、なめらかな曲線を基調に、ボディ前後を絞り込んだ流麗なデザインであった。特にそのころ盛んに使われ始めたドアミラーを設定することで、空力特性的にも優れたCd値は0.35(3ドア車)を実現している。
レビン/トレノのGT系に搭載されていたエンジンは1.6L DOHCの4A-GEU型で、当時の1.6Lとしてはトップクラスの最高出力は130ps/6600rpm、最大トルクは15.2kgm/5200rpmを発生していた。
4A-Gはトヨタを代表するスポーツエンジンだった2T-Gの後継機として新開発された4気筒の16バルブDOHCエンジンで、1気筒あたり4個のバルブをカムシャフトがダイレクト駆動していた。DOHCのメリットを生かすために、圧力センサーで走行状況に適した燃料を算出する新方式のEFI-Dを採用し、吸入抵抗になるフラップ式のエアフローメーターが取り払われている。
また、低中速域と高速域をバランス良く制御するための装置として、吸入ポートにT-VIS(トヨタ バリアブル インダクションシステム)を採用して、全域を効率良くカバーしていた。
この高性能な4A-Gは、モータースポーツの入門用としてワンメイクレースやジムカーナ、ラリー等に広く普及していった。
シャシコンポーネンツは当然ながらFFとは別設計となり、シンプルな構造となっている。サスペンションは先代を熟成させたもので、フロントが典型的なマクファーソン式ストラット、リアはラテラルロッド付4リンク/コイルのリジッドアクスル方式が採用されていた。
まだ、ローリング族など存在すらしていなかった1983年頃に、すでにサスチューニングとしてダンパーやスプリング交換などのパーツのほかにブッシュ類をピロボールにするなど、レーシングカー顔負けのスポーツチューニングも行われていた。もちろん、この背景にはモータースポーツとして盛んであったフレッシュマンレースやワンメイクレース用にトヨタが開発してきたレース用パーツが豊富に揃っていたことも大きく影響していたようだ。
トヨタ カローラレビン 1600GTアペックス 主要諸元
●全長×全幅×全高:4180×1625×1335mm
●ホイールベース:2400mm
●重量:940kg
●エンジン型式・種類:4A-GEU型・直4 DOHC
●排気量:1587cc
●最高出力:130ps/6600rpm
●最大トルク:15.2kgm/5200rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:185/70HR13
●価格:154万8000円
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